木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


ゴムノキ

Gomunoki2

 

名称・・・ゴムの木(Para rubber tree、Rubber wood)

その他呼び名・・・

ゴム、パラゴム(パラゴムノキ)、パラウッド、ラバーウッド、ブラジルゴムノキ、イースタンオーク、イースタンホワイト

科目・・・トウダイグサ科パラゴムノキ(Hevea)属・広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Hevea brasiliensis

産地・・・東南アジア、南太平洋地域で造林されている。原産はブラジル北部のパラ州。

色調・・・心材辺材共、灰白色から淡黄色、淡黄白色。(心材が淡桃褐色のこともある)

性質・・・木理:通直~やや交錯、辺心材の境目:不明瞭、肌目:やや粗、硬さ:やや軟~硬、腐食耐久性(耐朽性):極弱~弱、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.64

平均収縮率%(柾目方向):0.08

平均収縮率%(板目方向):0.19

曲げ強度MPa:65

圧縮強度MPa:32

せん断強度MPa:10.4~11.3

曲げヤング係数GPa:9.2

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:注意~困難、塗装性:注意

用途・・・造作材、家具、合板

集成材にされて学習机やテーブルの甲板、パルプ原料、階段の手摺り

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・フリー板:500x30x2100(集成材\250,000/㎥)

フリー板:500x30x(2100、4200)

 

その他・・・

プレナー掛けする際、逆目になりやすい。青変菌に侵されやすく、水分の高い状態のままでひどい場合には黒い汚い木材になってしまう為、迅速に乾燥させる必要がある。ロクロ加工に向く。斑の模様不明瞭。大きな道管をもつ。採取される樹液、ラテックスは天然ゴムの原料とされ、その目的でマレー半島やジャワで植樹されていたが、ゴムの樹液は6年位で樹の勢いが衰え伐採する必要があり、木材の利用用途が開発された。木材としての利用は最近になってからで、合成ゴムが普及してきた為、ゴムノキは木材として売るために植林され始めている。約25年程度で伐採する為10~15cmの小径木で、一般には集成材として使わる。

 

備考・・・

余談ですが、イースタンオークやイースタンホワイトの呼び名は、商品名みたいな感じでメーカーとかが勝手に付けた呼び名かもしれません。


サイプレス

Saipuresu2

 

名称・・・サイプレス(Cypress)

その他呼び名・・・

ハードサイプレス、豪州桧(ゴウシュウヒノキ)、オーストラリアヒノキ、オーストラリアンサイプレス、サイプレスパイン、ホワイトサイプレス、ホワイトサイプレスパイン

科目・・・ヒノキ科カリトリス(Callitris)属(*1)・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・

Callitris glauca
Callitris intratropica、

Callitris columellaris

産地・・・オーストラリア。ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州内陸部の乾燥地帯に生育

色調・・・心材は赤味のある濃褐色、暗褐色。辺材は黄褐色、淡黄色。日に焼けると次第に褐色へ変化する

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.58~0.72*

平均収縮率%(柾目方向):0.21~0.24

平均収縮率%(板目方向):0.27~0.32

曲げ強度MPa:78~103*

圧縮強度MPa:40~53*

せん断強度MPa:9.9~11.9*

曲げヤング係数GPa:7.7~9.0*

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):やや容易、鉋掛(カンナガケ):やや容易、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:{良好/不良、乾燥:{容易/困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・構造材、造作材、建具、合板

土台、床材、壁材、デッキ材、エクステリア材、杭、柱、船舶、枕木、包装用、内装

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・105x30x2700(一等リブ付\400,000/㎥)

90x45x3000(一等S4S)

 

その他・・・

心材に含まれる成分が白蟻を寄せ付けない為、白蟻に強いと言われる。またその為に薬剤処理の必要がなく、人と環境に優しい木材と言える。日本のヒノキに似た爽やかな香りがする。経年変化によりシルバーグレーへと変色し、耐久性に影響のない程度の細かなひび割れと若干の反りが生じる。木肌に光沢が有り美しい。油分を多く含み水に強い。乾燥地で育つサイプレスは成長が非常に遅い為、硬い木が育つ。継続的な自然維持を目的に100年以上の立木しか伐採許可されず、伐採や製材にはオーストラリア政府のライセンスが必要。年間伐採量は約50万㎥。

 

備考・・・

日本で流通しているサイプレスはほとんどが既製品でしょう。
「サイプレス」を日本語でいうと「桧」ですが、建築関係で樹種を指して「サイプレス」と言う場合は一般的にはこの豪州桧を指すと思います。
精油をアロマオイルとして使われている地中海地方東部産の「サイプレス」は、イタリアンサイプレスやイタリアイトスギと呼ばれる学名をCupressus sempervirensというヒノキ科イトスギ属の樹種で、ここで挙げているサイプレスとは別種類です。全く関係ないですが、ゴッホの『糸杉と星の見える道』の糸杉がこのイタリアンサイプレスらしいです。ちなみに、アロマオイルの世界では、材木の世界でいう「サイプレス(学名:Callitris intratropica)」を「ブルーサイプレス」と呼んでいるようです。

 

*1:科目をカリトリス亜科glauca属とする資料や、ヒノキ属とする資料もありました。詳細は不明です。


サペリ

Saperi

 

名称・・・サペリ(Sapelli、Sapele)

その他呼び名・・・

サペレ、サペリマホガニー、サペリウッド、ゴールドコーストシーダー(*1)

科目・・・センダン科エンタンドロフラグマ(Entandrophragma)属・落葉広葉樹・環孔材(*1)・離弁花類(被子植物)

学名・・・Entandrophragma cylindricum Sprague

産地・・・西アフリカ、中央アフリカ、ガーナ、ナイジェリアなど熱帯降雨林一帯。シエラレオネからコートジボワール、カメルーン、コンゴを通ってウガンダまで分布。

色調・・・心材は初め桃色、淡紅色を呈すが、時間の経過とともに赤褐色から紫褐色に変化、暗桃褐色。辺材は淡い黄白色、灰白色、白色。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密(~粗)、硬さ:やや硬~硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重: 0.64~0.68

平均収縮率%(柾目方向):0.19

平均収縮率%(板目方向):0.29

曲げ強度MPa:158

圧縮強度MPa:75

せん断強度MPa:7.4*

曲げヤング係数GPa:13.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~やや困難、鉋掛(カンナガケ):やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:中~良好、乾燥:困難、塗装性:中~高

用途・・・造作材、建具、家具

床材、壁パネル、内装材、突き板、楽器、化粧合板、造船、指物

価格・・・☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、45㎜

 

その他・・・

マホガニーに似ることから、その代用として使われる。

 

【その他色調等】:心材の色はいわゆるマホガニー色。柾目面には、柔組織の帯が規則正しく配列した、美しいリボン杢が現れる。斑の模様不明瞭。白太の部分は割りと厚い。表面仕上は中~良好。仕上り面は美しく出来る。材面に光沢がある。

【その他性質等】:ピンホールが出やすい。板目取りした場合、曲りや割れが出やすいので、柾目取りすること。

【その他加工等】:両逆目部分は鉋掛けがやや困難。乾燥時に狂いやすく長時間を要するが、乾燥後の狂いは少ない。

【立木での性質等】:樹高約30m、樹径約1.5mに達する大木。

 

*1:ゴールドコーストシーダーと呼ぶ事もあるようですが、そう呼んでいる資料は少ないです。
*2:散孔材とする資料もありました。


サワグルミ

Sawagurumi

 

名称・・・沢胡桃(Japanese wingnut)

その他呼び名・・・

川胡桃(カワグルミ)、藤胡桃(フジグルミ)、ヤス、山桐(ヤマギリ)(*1)、コグルミ、(*2)

科目・・・クルミ科サワグルミ(Pterocarya)属・落葉広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Pterocarya rhoifolia Sieb. et Zucc.

産地・・・北海道南部から本州、四国、九州に分布。

色調・・・心材は淡い黄白色。辺材も淡い黄白色。

性質・・・木理:やや通直~交錯、辺心材の境目:不明瞭、肌目:やや粗~粗、硬さ:軟、腐食耐久性(耐朽性):弱~極弱、磨耗耐久性:弱

気乾比重: 0.30~0.45(平均値)~0.64

平均収縮率%(柾目方向): 0.14

平均収縮率%(板目方向): 0.30

曲げ強度MPa:83

圧縮強度MPa:41

せん断強度MPa:11.8

曲げヤング係数GPa:10.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~注意、鉋掛(カンナガケ):容易~やや困難、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易、塗装性:中~高

用途・・・家具、建具

下駄材、マッチの軸木、器具材、経木、抽斗(ひきだし)側板、パルプ、細工物

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

桐材に似ることから「山桐」と称することもある(*1)。樹皮は皮箕(かわみ)と言い山小屋等の屋根葺きに使われる(*3)。家具の抽斗(ひきだし)側板には板幅を接いで幅広材にして家具メーカーに供給されている。

 

【その他色調等】: 材面に変色や腐朽が入りやすい。斑の模様不鮮明。年輪はあまりはっきりとしていない。道管の直径がかなり大きい為、肌目は粗くなる。

【その他性質等】: 桐に次いで軽い。割れやすい欠点がある。

【その他加工等】: 鉋(かんな)の刃切れはあまり良くなく、毟(むし)れが出やすい為、表面の仕上がりはあまり良くない。

【立木での性質等】:主に、山中の谷間、沢沿いの湿地帯に群生する。樹高約20m、樹径1.0mになる。あまり大径木にはならない。樹幹は直状で枝下が長く利用部分が多いが、枝は良く出たがり、比較的枝が太くなる。蓄積量は少ない。

 

*1:ヤマギリというと一般にはウコギ科のセンを指すと思います。ただ、キリの代用で下駄材として使われるサワグルミなどをヤマギリと俗称するようです。
*2:その他の呼び名で、寿香木と呼ぶこともあるようです。
*3:また樹皮(内皮)は寿光皮とも言い、樹皮の外側の皮を除去して柔らかくし、巻き合わせて作ったお盆は美しく耐久性のある名品らしいです。


サワラ

Sawara2

 

名称・・・椹(*1)(Sawara cypress、Sawara cedar)

その他呼び名・・・

科目・・・ヒノキ科ヒノキ(Chamaecyparis)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Chamaecyparis pisifera Endl.

産地・・・本州北部から中部、中国地方を経て九州に至る。長野県木曾地方、岐阜県飛騨地方などの本州中部の山岳地帯に多い。

色調・・・心材はくすんだ黄褐色、帯黄淡褐色、紅色を帯びた黄褐色。辺材は白色、黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密(~ヒノキと比べるとやや粗)、硬さ:軟~中、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:中

気乾比重: 0.28~0.34(平均値)~0.40

平均収縮率%(柾目方向): 0.09

平均収縮率%(板目方向): 0.22

曲げ強度MPa:54

圧縮強度MPa:32

せん断強度MPa:4.9

曲げヤング係数GPa:5.9

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:中

用途・・・造作材、建具、家具

器具材、桶、障子・襖(ふすま)の組子の材、庭木、生垣、飯びつ

価格・・・☆☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

日本特産。江戸時代には木曽五木の一つに指定され保護されていた。サワラの樹名は「さわらか」(=サッパリとした)からきている。変種としてオウゴンシノブヒバ(別名、日光ヒバ)、ヒヨクヒバなど葉の美しい園芸品種がある。台湾のベニヒ(紅檜)も類似種である。

 

【その他色調等】: ヒノキに比べ光沢や香気がない。斑の模様不明瞭。年輪はややわかる程度。

【その他性質等】: 水湿によく耐える。ヒノキから香りと光沢を抜いた様な感じの材質をしていて、ヒノキよりかなり劣る。脂壷(やにつぼ)が見られる。

【その他加工等】: 割れやすい。

【立木での性質等】:樹高は30~35m、樹径1.0mに達する。葉は細く、裏面の白斑がX字(もしくはV字)形で、ヒノキのY字形と区別できる。木曾谷、伊那谷、赤石山系の千頭(長野県)、水窪(みさくぼ)(静岡県)、秩父(埼玉県)、塩原(栃木県)、飛騨(岐阜県)七宗(ひちそう)山の山岳周辺の渓流沿いに純林の形成が見られる。

 

*1:「花柏」とも書くようです。こう書いて「さわら」と読むのかどうかは不明です。