木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


ポプラ

Popura

 

名称・・・ポプラ(Poplar)

その他呼び名・・・

西洋箱柳(セイヨウハコヤナギ)(イタリアヤマナラシ、ピラミッドヤマナラシ)、コットンウッド(イースタンポプラ、カロリナポプラ)、アスペン(アメリカヤマナラシ、ホワイトポプラ、カナディアンポプラ)

科目・・・ヤナギ科ヤマナラシ(Populus)属(*1)・落葉広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・

Populus nigra var. italica (セイヨウハコヤナギ)
Populus deltoides (コットンウッド)
Populus tremuloides (アスペン)

産地・・・主に北米に分布。現在は全世界で栽培されている。米国東部(コットンウッド)。

色調・・・心材は淡褐色。辺材は白~黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:やや不明瞭、肌目:粗、硬さ:やや軟、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.38(アスペン)~0.40(コットンウッド)

平均収縮率%(柾目方向):0.13~0.24(コットンウッド)

平均収縮率%(板目方向):0.31~0.38(コットンウッド)

曲げ強度MPa:55~62*(コットンウッド)

圧縮強度MPa:31~35*(コットンウッド)

せん断強度MPa:6.3~7.0*(コットンウッド)

曲げヤング係数GPa:8.9~9.8*(コットンウッド)

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易~やや困難、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:良好、乾燥:容易~困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・造作材、家具、合板

内装材、モールディング、玩具、台所用品、ブラインド、包装材、パルプ材、ランバーコアの芯材、マッチの軸木

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)50万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:25㎜、30㎜

 

その他・・・

ヤナギ科ヤマナラシ属のいくつかの広葉樹の総称(*2)。原産地は不明で、欧州説、クリミア説、ヒマラヤ説がある。

 

【その他色調等】:辺材は広い。アスペンには材によって色合いにばらつきがあったり、木目に沿ってくすんだ縞が現れることもある。

【その他性質等】:ネジ・釘打に割れにくい。乾燥は早いが狂いやすく安定性に少々欠ける。乾燥すると無味無臭になる。材質はドロノキに準じる。

【その他加工等】:切削すると材が毛羽立ち、仕上げに手間を要することがある。

【立木での性質等】:樹高30m、樹径1.8m。

 

*1:属名の和名は「ヤマナラシ属」の他に「ハコヤナギ属」や「ドロヤナギ属」とも呼ぶようです。
*2:日本でポプラというと一般にはセイヨウハコヤナギ(Populus nigravar. italica )を指す事が多いようです。
*:最近(2007年)は中国産の合板にポプラが使われています。材質よりもメーカーのせいだと思いますが、精度が悪いです。厚みがバラバラで積層枚数も違ったりしますから驚きです。合板以外で一般に流通してるポプラはあまり聞かないです。


レッドメランチ

Reddomeranti

 

名称・・・レッドメランチ(Red meranti)

その他呼び名・・・

ライトレッドメランチ(アルモン、メランチテンバガ、メランチマジャウ、メランチサマック、マヤピス)、フィリピンマホガニー(フィリピンでの呼び名)、レッドセラヤ(サバでの呼び名)、レッドラワン(レッドフィリピンマホガニー、アカラワン)、ラワン(他のフタバガキ科の広葉樹も含めた総称としての呼び名)(*1)

科目・・・フタバガキ科ショレア(Shorea)属Rubroshorea亜属・広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・

Shorea spp.
Shorea negrosensis(レッドラワン)、
Shorea almon(アルモン)、
Shorea leprosula(メランチテンバガ)、
Shorea leptoclados(メランチマジャウ)、
Shorea parvifolia(メランチサマック)、
Shorea squamata(マヤピス)などを含む。

産地・・・タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン等の東南アジア。

色調・・・心材は淡桃色から濃赤褐色。辺材は淡色、淡い黄色から黄白色。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭~不明瞭、肌目:粗、硬さ:軟、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.48~0.74

平均収縮率%(柾目方向):0.12

平均収縮率%(板目方向):0.26

曲げ強度MPa:56

圧縮強度MPa:.32

せん断強度MPa:8.5

曲げヤング係数GPa:7.2

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~中、塗装性:中

用途・・・造作材、建具、家具、合板

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

赤ラワン類(*1)の木で約70種が知られている。ダークレッドメランチを含めて扱うことがあるが、ダークレッドメランチとは材の色調や重厚さが大きく異なる。市場でライトレッドメランチと呼ぶのは、Shorea属のRubroshorea亜属の樹種のうち赤色系でしかも淡色の木材のグループであるため、植物の分類とは必ずしも一致していない。むしろ商取り引き上のグループといえる。本マホガニーの代替材としても用いられる。

 

【その他色調等】:柾目面にリボン杢が認められる。丸太の小口にブリットルハート(縦の繊維が無くなる状態)が認められる。同一樹種であっても、心材の色が生育環境によってずっと濃色になり、ダークレッドメランチといっても差支えないような赤褐色になる。また比重もそれに伴って高くなる。

【その他性質等】:メランチ類の特徴といえるのは軸方向細胞間道(樹脂道)が同心円状に長く連続していること。道管の直径が大きいため、肌目は粗い。辺材はヒラタキクイムシの害を受け易い。丸太の中心部から採取した木材は脆心材という脆い木材の部分を含むので注意。

【その他加工等】:防腐剤の注入は難しいとされている。

 

*1:ラワンは色合いで大きく分けられて、白ラワン類と赤ラワン類、そして黄ラワン類があるようです。レッドメランチはこの赤ラワン類に入るのでしょう。
その他の呼び名で書いた「アルモン」はホワイトラワンに分類されるという資料もありました。ライトレッドメランチ(アルモンなど)は本来レッドメランチと分けるのかも知れません。


ホワイトアッシュ

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名称・・・ホワイトアッシュ(White ash、Small seed ash)

その他呼び名・・・

アメリカタモ、北米タモ、アメリカトネリコ、アメリカアッシュ、アメリカンホワイトアッシュ、ボルチモアアッシュ、オレゴントネリコ(オレゴンアッシュ)、グリーンアッシュ、アッシュ

科目・・・モクセイ科トネリコ(Fraxinus)属・広葉樹・環孔材・合弁花類(被子植物)

学名・・・

Fraxinus americana
Fraxinus pennsylvanica(グリーンアッシュ)、

Fraxinus excelsior(アッシュ)、

Fraxinus latifolia、Fraxinus oregona(オレゴントネリコ)、

Fraxinus anomala、

Fraxinus berlandierana、

Fraxinus caroliniana、

Fraxinus cuspidata、

Fraxinus dipetala、

Fraxinus gooddingii、

Fraxinus greggii、

Fraxinus nigra、

Fraxinus papillosa、

Fraxinus pro

産地・・・北米全域。中東部に多い。ヨーロッパ、西アジア。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗、硬さ:やや硬、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.69

平均収縮率%(柾目方向):0.18

平均収縮率%(板目方向):0.29

曲げ強度MPa:125

圧縮強度MPa:51

せん断強度MPa:13.4

曲げヤング係数GPa:12.2

加工性・・・鋸挽:容易~中、鉋掛:容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~中、塗装性:中

用途・・・造作材、建具、家具、合板

運動器具、バット素材、装飾材、化粧用単板、箱材、フローリング

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)60万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

スチーム曲げに適している。表面の仕上りは良好。ステインや艶だし加工で美しく仕上がる。日本のタモやトネリコ、シオジなどに類する。直径1.0m。ヤチダモより少し重く、より粘り、強度がある。衝撃に強い。ただ育った場所により材の性質に差が出て、キリのように軟らかい材もある。24x7.5x300cmの規格品のフリッチが主で丸太の輸入は少ない。市場で取り扱われるホワイトアッシュの類の木材には、グリーンアッシュが含まれているとされている。素地着色を施すと逆目に色が吸い込まれ、色ムラを発生しやすい。

 

備考・・・

ヨーロッパや西アジア産のもの(=アッシュ:Fraxinus excelsior)もホワイトアッシュと言うようです。でもホワイトアッシュと言えば通常は北米産のものの事を指すと思います。
英名がたくさんあったので一応挙げておきます。Biltmore Ash、Biltmore White Ash、Canadian Ash、Cane Ash、Ground Ash、Mountain Ash、Quebec Ash、Red Ash、Smallseed White Ash、White River Ash、White Southern Ash、Dwarf Ash、Singleleaf Ash


ホワイトウッド

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名称・・・ホワイトウッド(White wood)(*1)

その他呼び名・・・

欧州唐桧(オウシュウトウヒ)(ヨーロッパ唐桧(ヨーロッパトウヒ)、ヨーロッパスプルース、ヨーロピアンホワイトウッド、ノルウェースプルース、ドイツ唐桧(ドイツトウヒ)、ドイツ松(ドイツマツ)(*2))、北洋蝦夷松(ホクヨウエゾマツ)(ソ連蝦夷松(ソレンエゾマツ)、スプルース、エリアンスカヤ(現地ロシアでの呼び名))

科目・・・マツ科トウヒ(Picea)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・

Picea abies (オウシュウトウヒ)、
Picea jezoensis (ホクヨウエゾマツ)(*3)

産地・・・欧州全域、ロシア連邦、シベリア大陸、中国北東部、黒竜江周辺、千島列島、樺太、北海道

色調・・・心材は淡い黄桃色、極淡黄白色。辺材は黄白色、極淡黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:やや緻密、硬さ:軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.47~0.6

平均収縮率%(柾目方向):0.16~0.18

平均収縮率%(板目方向):0.28~0.36

曲げ強度MPa:68*

圧縮強度MPa:30*

せん断強度MPa:7.8~8.8*

曲げヤング係数GPa:9.3*

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易~やや困難(樹脂による障害)、釘打保持力:やや弱、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:注意

用途・・・構造材、下地材、建具

梱包用材、器具材、パルプ用、集成材、ヴァイオリンの表板、ピアノの響板

価格・・・☆

メーカー・・・ストゥーラエンソティンバー(フィンランド)

一般流通サイズ・・・間柱:105x27x3000(KD#1\80,000/㎥)

集成管柱:105x105x3000

カリスジ:105x27x4000

間柱:105x27x3000

72x33x(3000、4000)

 

その他・・・

北米産のスプルース類の代替材として利用られていた。ヨーロッパではオウシュウアカマツと共に最も普通に見られる造林樹種の一つ。ヨーロッパではクリスマツツリーとしてもよく使われる。

 

【その他色調等】:鉋(カンナ)の削り面には光沢が有り、仕上りは良好。斑の模様不鮮明。色が白く揃っていて、節は小さい。

【その他性質等】:乾燥による収縮が比較的小さく、狂いが少ない。脂条が多く見られる。音響的性能が優れている為、楽器用材としても使われる。北海道産エゾマツより比重がやや重たい。比較的欠点が少なく、材質も均一で歩留まりの良い製材原料である。

【立木での性質等】:大陸では樹高30~50m、直径0.6~1mに達するが、スカンジナビア半島のものはあまり大きなものはない。

 

備考・・・

オウシュウトウヒとホクヨウエゾマツを分けている場合も有ります。どちらもホワイトウッドと呼びますが、一般にホワイトウッドと言うと、オウシュウトウヒ(=ヨーロッパ産)の方を指す事が多いかもしれません。

 

*1:米国でホワイトウッドというとイエローポプラ(ユリノキ)を指す事があるようです。もちろん上でいってるホワイトウッドとは別物です。
*2:ドイツマツというと、ジャーマンスプルース(学名:Picea excelsa )を指す場合もあります。
*3:学名をPicea jezonensis とする資料もいくつかありましたが、たぶんPicea jezoensis で良いと思います。ちなみに北海道産のエゾマツも、いわゆるホクヨウエゾマツとは生育地や環境が違う為、性質は若干異なるようですが学名はPicea jezoensis で同じです。


ホワイトオーク

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名称・・・ホワイトオーク(White oak)

その他呼び名・・・

アメリカンホワイトオーク、ウェスタンホワイトオーク、アパラチアンオーク、チェリーオーク、チェストナットオーク、ポストオーク、オーバーカップオーク、スワンプチェストナットオーク、チンカピンオーク、バーオーク、スワンプホワイトオーク、ライブオーク、オレゴンホワイトオーク、ノーザンホワイトオーク、サザンホワイトオーク

科目・・・ブナ科コナラ(Quercus)属・落葉広葉樹・環孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Quercus alba L.(ホワイトオーク)
Quercus prinus(チェストナットオーク)、

Quercus stellata(ポストオーク)、

Quercus lyrata(オーバーカップオーク)、

Quercus mishauxii(スワンプチェストナットオーク)、

Quercus muehlenbergii(チンカピンオーク)、

Quercus marcrocarpa(バーオーク)、

Quercus bicolor(スワンプホワイトオーク)、

Quercus vieriniana(ライブオーク)、

Quercus garryana(オレゴンホワイトオーク)

産地・・・北米大陸一帯に広く分布。中でもアメリカ東部やカナダに多い。ヨーロッパにも見られる。

色調・・・心材は淡黄褐色、灰褐色、淡褐色ないし濃褐色、褐色、赤褐色、時に桃色を帯びる。辺材は淡黄白色、白色、淡白色、淡褐色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗~やや粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.68~0.75

平均収縮率%(柾目方向):0.21

平均収縮率%(板目方向):0.39

曲げ強度MPa:121

圧縮強度MPa:59

せん断強度MPa:13.7

曲げヤング係数GPa:14.1

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~やや困難、鉋掛(カンナガケ):容易~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:中~良好、乾燥:やや困難、塗装性:中

用途・・・造作材、家具、合板

床材、船舶材、枕木、ウィスキーやブランデーの樽材、桶材、化粧用単板、器具

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)50万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、60㎜

 

その他・・・

ホワイトオークは次のいくつかの樹種の総称。ホワイトオーク(White oak)、チェストナットオーク(Chestnut oak)、ポストオーク(Post oak)、オーバーカップオーク(Overcup oak)、スワンプチェストナットオーク(Swamp chestnut oak)、チンカピンオーク(Chinkapin oak)、バーオーク(Bur oak)、スワンプホワイトオーク(Swamp white oak)、ライブオーク(Live oak)。産出地によりノーザンホワイトオークとサザンホワイトオークを区別して販売することもある。大きな放射組織がある為、柾目面に美しいシルバーグレイン(虎斑:とらふ)が現れる。斑の模様鮮明。仕上りは良好。衝撃に強い。丸太により材色の違いが大きい為注意が必要。釘打は穴あけ加工が望ましい。ヒラタキクイムシの虫害にあいやすい。レッドオークと比べると狂いが出やすい。辺材の幅は狭い。一般に収縮率が高い為、乾燥の際に狂いが出たり板目面に小割が入りやすい。樹径1.5m。ホワイトオークの導管孔にはチロース繊維構造を持っていて、樽にして液体の容器にしても液漏れせずに通気もする。この特性はウィスキーやブランデーの醸造に最適でオークの持つタンニンが酒に溶け込み芳醇な香りを醸し出す。「オーク」という言葉はカシ類とナラ類を意味しているが、ホワイトオークは後者で日本のミズナラに良く似ている。ただミズナラよりも全体的に木目が荒く、色が白いのが特徴。

 

備考・・・

「ホワイトオーク」というと、特定の樹種であるQuercus albaを指す場合と、似ている樹種を総称している場合とがありますが、一般的には後者の方が多いようです。ホワイトオークの中でライブオークだけは日本のカシに近く常緑で、半環孔材のようです。