木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


カリン

Karin2

 

名称・・・花梨(花欄・花林)(Chinese quince)

その他呼び名・・・

印度紫檀(インドシタン)(印度花梨(インドカリン))、ヤエヤマシタン、ナーラ(ナラ)(フィリピンでの呼び名)、リングア(リンクワ)、アンサナ(アングサナ)(インドネシアでの呼び名)、パドウク(パドック)(ミャンマーでの呼び名)、ニューギニアローズウッド(パプアニューギニアでの呼び名)、セナ(マレーシアでの呼び名)、本花梨(ホンカリン)、ビルマカリン(ビルマシタン)、プラドウ

科目・・・マメ科ソラマメ亜科シタン(Pterocarpus)属・広葉樹・環孔性散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Pterocarpus indicus Willd
Pterocarpus macrocarpus(ビルマカリン)

産地・・・タイ、ミャンマーなどの東南アジアに多く、フィリピンを経てニューギニアなど

性質・・・木理:かなり交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗、硬さ:極硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.52~0.74

平均収縮率%(柾目方向):0.12

平均収縮率%(板目方向):0.20

曲げ強度MPa:70~98

圧縮強度MPa:51~54

せん断強度MPa:10.5~11.4

曲げヤング係数GPa:10.4~12.1

加工性・・・鋸挽:やや容易~(困難)、鉋掛:やや容易~(困難)、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:中~困難、塗装性:注意

用途・・・造作材、家具

器具、楽器、装飾材、床柱、床廻り材、スライスドベニヤ、唐木細工、指物、三味線の胴、重構造材、車輌材、羽目板、床張

価格・・・☆☆☆☆☆~

無節材(2000x210x34㎜)150万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

唐木のひとつ。一般に均一な色調を示すことは少なく、縞模様になることが多い。表面仕上は良好。ただ仕上げ時に逆目が立ちやすい。ゆっくりと乾かさないと乾燥によって狂いやすい。磨くと光沢が出て美しい。バラ科の果樹・花木として知られるカリンとは全く別の種類。日本産ナシ科のカリンも榠櫨や花輪と書き全く別の樹種。同属の樹種にアフリカ産のアフリカンパドウク(学名:Pterocarpus soyauxii)がある。同属の類似の種類があり、ローズウッドなどはカリンとして扱われることがある。広義にはシタン類の一種で、中国名では紫檀とされる。斑の模様不明瞭。インドシナに生育し大木になる。通常の樹高は10m、樹径0.8m程度だが樹高30~45m、樹径1.8mにも達する。材の浸漬液(木材を削り試験管に入れて水を注いだもの)を太陽光にかざすと美しい蛍光を発する。シタンやコクタンの代替材として用いられることが多い。シタンよりやや軽軟で材質は劣る。

 

備考・・・

インドシタン=ナーラ=リングア(フィリピン、インドネシア産)が学名:indicusの樹種で、ホンカリン=ビルマカリン=パドウク=プラドウ(タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム産)が学名:macrocarpusの樹種として二つを分けようとしていることもあります。
同属の樹種にアフリカ産のムニンガ(学名:Pterocarpus angolensis)というのもあるみたいです。


キハダ

Kihada

 

名称・・・木肌(黄蘖、黄膚)(Amur corktree)

その他呼び名・・・

ヒロハノキハダ(*1)、樺太木肌(カラフトキハダ)、キワダ、シコロ(北海道や東北での呼び名・方言)、雌桑(女桑)(メグワ)(本桑と区別する時の呼び名)、黄柏(黄檗)(オウバク、オオバク)

科目・・・ミカン科キハダ(Phellodendron)属・落葉広葉樹・環孔材・被子植物

学名・・・Phellodendron amurense Rupr.

産地・・・北海道、本州、四国、九州に自生。中国、樺太、朝鮮半島にも分布。

色調・・・心材は緑色を帯びた黄褐色。辺材は白黄色、淡黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗~粗、硬さ:やや軟~やや硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.38~0.49(平均値)~0.57

平均収縮率%(柾目方向):0.15

平均収縮率%(板目方向):0.25

曲げ強度MPa:78

圧縮強度MPa:37

せん断強度MPa:11.3

曲げヤング係数GPa:7.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:中、乾燥:容易~中、塗装性:中

用途・・・造作材、家具

床柱、楽器材、内装材、器具材、薪炭材、指物、単板、天然木化粧合板

価格・・・☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

樹皮の内側が黄色な為「木肌」と呼ばれる。樹皮はベルベリンなどのアルカロイドを含み苦味が有り、生薬名を黄檗(おうばく)といい、健胃剤や火傷の医薬などとして用いる。古くから胃腸薬として知られ、陀羅尼助(だらにすけ)、御百草(おひゃくそう)、熊胆(ゆうたん)などが有名。また黄色の染色剤に用いる。着色してクワ材の代用として使われることがある。オオバノキハダ、ミヤマキハダなどの変種があり、木材は良く似ている。

 

【その他色調等】:光沢があり杢目が非常に美しい。仕上り面は特に良いとは言えない(*2)。年輪ははっきりとしている。道管が大きい為、肌目が粗い。長い時間空気に曝されていると褐色になっていく。

【その他性質等】:広葉樹としては比較的軽く、軟らかい。木材の保存(耐朽性)は低いが、クリに次いで水に強い木として用途に広がりを持っている。乾燥時に狂い易い点や、割れ易い点もある。

【その他加工等】:

【立木での性質等】:それほど蓄積は多くない。樹高25m、樹径1.0m近くにもなる。雌雄異株。幹はまっすぐで、成長が早い。樹皮にコルク層(樹の皮と材の間の部分)が発達していて厚い。10月頃に青黒いぶどうの粒のような丸い実がなる。香りが強く食べると苦いが、この実をシコノヘイと言い、駆虫薬として使う。

 

*1:「ヒノハノキハダ」や「ヒロノハキハダ」と言う事もあるかも知れません。たぶんヒロハノキハダの事だと思いますが。
*2:表面の仕上がりは良好とする資料もあります。


キリ

Kiri

 

名称・・・桐(Paulownia)

その他呼び名・・・

会津桐(アイズキリ)、南部桐(ナンブキリ)、備後桐(ビンゴキリ)、越後桐(エチゴキリ)、日本桐(ニホンギリ)、シラギリ、泡桐(ホウトウ)、白桐(ハクトウ)(前2つは中国での呼び名)

科目・・・ゴマノハグサ科(*1)キリ(Paulownia)属・落葉広葉樹・散孔材に近い環孔材・合弁花類(被子植物)

学名・・・Paulownia tomentosa

産地・・・日本に野生のものはなく、北海道南部以南で植栽される。最近ではブラジル、パラグアイ、マレーシア、中国、台湾、アメリカ等にも植栽されている。特に会津(福島県)、南部(岩手県)、備後(岡山県から広島県東部)、越後(新潟県)、茨城県などが著名な産地。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:やや粗、硬さ:軟、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.19~0.30

平均収縮率%(柾目方向):0.09

平均収縮率%(板目方向):0.23

曲げ強度MPa:34

圧縮強度MPa:20

せん断強度MPa:5.4

曲げヤング係数GPa:4.9

加工性・・・鋸挽:容易~中、鉋掛:容易~注意、釘打保持力:中、糊付接着性:良好、乾燥:容易~困難、塗装性:注意

用途・・・造作材、建具、家具

タンス、下駄材、楽器材(琴、琵琶など)、箱材、金庫の内箱材、器具、内装材、羽子板、人形、仮面、彫刻、火鉢

価格・・・☆☆☆☆

無節材(2000x210x34㎜)100万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

心材、辺材共くすんだ白色、淡灰白色、淡褐色。ときに材面がやや紫色を帯びることがある。アクが強く、アク抜きを怠ると年月を経て徐々に黒ずむ。会津桐、南部桐が有名。日本には中国から伝来したとされ、アメリカにも自生する。成長が早く短期間で木材が得られる樹種である。樹高10m。髄は空洞となる。日本の木材中最も軽い。研磨すると光沢が出る。熱伝導率が極めて小さく、発火しにくい。また火に対しては表面が直ぐに焦げて炭化しそれ以上の中が燃えなくなる。水に対する吸湿性、吸水性が著しく小さく、水分による収縮、膨張が殆どない。湿気を通過することが少なく、割れ、狂いが少ない。斑の模様不鮮明。桐は梅雨入り前に伐採され、梅雨の長雨にさらされて灰汁(アク)が抜け綺麗な白銀色になり冴えた光沢が出る。この方法以外では材色が冴えず使用後に木が動いて使い物にならないと言われる。日本桐の他に、台湾桐(タイワンギリ:Paulownia kawakamii)(*2)や九重桐(ココノエギリ:Paulownia fortunei)(*3)などの種類があるが見分けは困難。

 

備考・・・

キリを分類するとニホンギリとタイワンウスバギリ、チョウセンギリ(Paulownia coreana Ueki)、ラクダギリに細分されるそうです。このうちチョウセンギリは材質も良く長命で銘木が多いようで、会津桐はこの種であると言われています。またウスバギリ(Paulownia elongata)という種類もあるようですが、詳細は不明です。
あと生産地名をつけた名称で「島桐」というのもあるようですが、これも詳しく分かりませんでした。

 

*1:ノウゼンカズラ科、もしくは独立のキリ科とする意見もあります。

*2:台湾桐はおもに中国や台湾産のようです。
*3:九重桐は中国、台湾のほか、南米で植栽されているようです。


クスノキ

Kusunoki

 

名称・・・樟(楠(*1))(Camphor wood、Camphor tree)

その他呼び名・・・

クス、アオグス、イシグス、ナンジャモンジャ(ナンジャモンジャノキ)(*2)

科目・・・クスノキ科クスノキ(Cinnamomum)属(*3)・常緑広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Cinnamomum camphora (L.) Presl

産地・・・本州(関東以南)、四国、九州などの暖地、特に海岸に多い。台湾、中国、済州島にも分布。

色調・・・心材は帯黄紅褐色、黄褐色、紅褐色~部分的に暗緑を帯びた褐色。辺材は淡黄白色、灰白色~淡黄褐色。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭(なだらか)~やや不明瞭、肌目:(緻密~)やや粗、硬さ:やや軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):(弱~)強、磨耗耐久性:中

気乾比重:0.41~0.52(平均値)~0.69

平均収縮率%(柾目方向):0.13

平均収縮率%(板目方向):0.25

曲げ強度MPa:69

圧縮強度MPa:39

せん断強度MPa:9.8

曲げヤング係数GPa:8.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~やや困難、鉋掛(カンナガケ):容易~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~注意、乾燥:中~やや困難、塗装性:中

用途・・・造作材、建具、家具

欄間、床柱、仏壇、彫刻用材、タンスの引き出し、衣装箱、器具、楽器、木象嵌、木魚、庭園樹、街路樹、古代には丸木舟

価格・・・☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、45㎜

 

その他・・・

「楠(*1)」は南国から渡来した木を意味する。材や葉から樟脳(しょうのう)が採取される。

 

【その他色調等】:心材の色はどちらかといえば不安定。材はくすんだように見えることもあるが、根瘤(こんりゅう)が付きやすく時に玉杢や葡萄杢などの美しい杢が出ることもある。斑の模様不鮮明。年輪ははっきりしている。仕上りは中庸。

【その他性質等】:耐湿性に優れる。材のままでも芳香が強く、虫害を防ぐ効果がある。

【その他加工等】:乾燥時に狂いが出やすい。加工は容易だが、逆目を起こし易い。

【立木での性質等】:樹高は20m以上、樹径2.0mに達する。成長が早い上に長命。鹿児島県、熊本県、宮崎県には天然記念物の指定を受けている大木がある。特に鹿児島県の「蒲生(かもう)のクス」は有名で目通り周囲約24m、樹高30m、推定寿命850年。

 

*1:一般的に「楠」の字はクスノキと読みますが、本来は中国のタブノキを指す字で、タブノキと読む事があるようです。
*2:見慣れない立派な樹木に対して地元の人々が付けた愛称のようなもので、モクセイ科のヒトツバタゴもこう呼ばれるようです。
*3:和名をニッケイ属と呼ぶ事もあります。


クモスギ

Kumosugi

 

名称・・・雲杉(Dragon spruce)

その他呼び名・・・

云杉(ウンスギ)、雲南杉(ウンナンスギ)、中国スプルース、ドラゴンスプルース

科目・・・マツ科トウヒ(Picea)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Picea asperata

産地・・・中国の雲南省・四川省、チベット。

色調・・・心材、辺材共淡い黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:{緻密/粗、硬さ:やや軟、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.5

平均収縮率%(柾目方向):

平均収縮率%(板目方向):

曲げ強度MPa:

圧縮強度MPa:

せん断強度MPa:

曲げヤング係数GPa:

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:{良好/不良、乾燥:{容易/困難、塗装性:高

用途・・・造作材、建具

碁盤・将棋盤

価格・・・☆

無節材(2000x210x34㎜)40万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:24㎜、30㎜、34㎜

 

その他・・・

日本のエゾマツと同属。北米産スプルースと比べても遜色はなく、値段はこちらの方が安い。

 

【その他性質等】:材の安定性は良いが割れやすい。マツ科特有の臭いや樹脂分は少ない。