木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


トリスタニア

Torisutania2

 

名称・・・トリスタニア(Brush box、Northern brushbox)

その他呼び名・・・

ブラシュボックス(ブラッシュボックス)、ノーザンブラシュボックス

科目・・・フトモモ科トリスタニア(Tristania)属・常緑広葉樹・{散孔材/環孔材/放射孔材・被子植物

学名・・・Tristania conferta

産地・・・オーストラリア、東南アジア

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:{明瞭/不明瞭、肌目:緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):極強、磨耗耐久性:強

気乾比重:1.18

平均収縮率%(柾目方向):0.21~0.24

平均収縮率%(板目方向):0.33~0.38

曲げ強度MPa:111~220*

圧縮強度MPa:63~88*

せん断強度MPa:15.8~26.8*

曲げヤング係数GPa:13.8~19.9*

加工性・・・鋸挽:困難、鉋掛:困難、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:{良好/不良、乾燥:{容易/困難、塗装性:高

用途・・・構造材、デッキ材

フローリング、船舶、包装用、港湾、スポーツ器具、内装

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・105x20x4000(\350,000/㎥)

120x30x(4000、3700、3000、2700、2000)

105x30x(4000、3700、3000、2700、2000)

105x20x(4000、3700、3000、2700、2000)

90x20x(4000、3700、3000、2700、2000)

90x90x(4000、3700、3000、2700、2000)

70x50x(4000、3700、3000、2700、2000)

55x45x(4000、3700、3000、2700、2000)

 

その他・・・

樹高20m。色落ちも無く、赤褐色でほぼ均一。供給量は中程度。ビス止め用道穴要。硬質のため施工には専用工具が必要。加工仕上り良好。アクが出ないことが特徴で、ジャラの後継樹種として注目されている。他の樹種に比べ収縮率、膨張率が高い為、施工時には目地(隙間)を十分に確保する必要がある。水に濡れた際に樹液が染み出してきて下に垂れる場合もある。シリカの含有により切り口の色がはっきりしない。

 

備考・・・

学名のTristania confertaの他にLophostemon confertusという学名(?)とか、ブリスベンボックス(Brisbane box )、ビネガーツリー(Vinegar tree)、クィーンズランドボックス(Queensland Box)、ピンクボックス等、調べるほどに色んな名前がでてきます・・・日本ではほぼ「トリスタニア」のみで通っているようです。


ドロノキ

Doronoki2

 

名称・・・泥の木(Cotton wood、Japanese poplar)

その他呼び名・・・

泥柳(ドロヤナギ)、デロヤナギ、ドロ、ワタドロ、白楊(ハクヨウ)(*1)

科目・・・ヤナギ科ヤマナラシ(Populus)属・落葉広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Populus maximowiczii  Henry

産地・・・北海道及び本州中北部の寒地に自生。また、樺太、千島、朝鮮、中国東北、満州、シベリア、北米にも分布。

色調・・・心材はくすんだ淡い褐色、帯褐灰色、淡灰褐色。辺材は白色、灰白色。

性質・・・木理:やや交錯、辺心材の境目:やや不明瞭~ほぼ不明瞭、肌目:やや粗~やや緻密、硬さ:軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.33~0.42(平均値)~0.55

平均収縮率%(柾目方向):0.19

平均収縮率%(板目方向):0.19

曲げ強度MPa:44

圧縮強度MPa:27

せん断強度MPa:6.9

曲げヤング係数GPa:7.0*

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易~やや困難、釘打保持力:中、糊付接着性:良好、乾燥:やや困難~良好、塗装性:中

用途・・・

マッチの軸木、箸、経木、パルプ材、箱材、丸木舟、船縁、食器用箱、樽、弾薬箱、楊子、下駄、梱包材、ランバーコアの芯、木毛、炭(火薬の原料)

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

北米のほぼ全域にも広く生育しているが、東部のものは単にCottonwoodと呼ばれ、西部の樹種はBlack cottonwoodと呼び若干性質が違うとされている。金沢や姫路では中国から輸入したドロノキで楊子を作っている。薄くして着色し編んで工芸品を作る。ドロノキを墨にすると軽くて柔らかな木炭ができ、黒色火薬の原料にされる。同じ属の種にヤマナラシ(ハコヤナギ):Populus sieboldii などがあり、この類は一般にポプラと呼ばれている。このポプラの類は海外ではパルプの原料とされることが多く、その為に品質や成長の良いものを生産することを目標として品種改良の研究が行われている。

 

【その他色調等】:年輪はやや不明瞭。斑の模様不明瞭。ときに心材に不明瞭な濃い色の縞が現れる。時間が経つと緑灰色から暗灰色に変化する。

【その他性質等】:軽軟な材で、材の保存性は低い。アテ部が多い。硬さに粘りがあり、弾力性が強い。衝撃を吸収する性質があるため、弾薬箱に使われる。無味無臭なため、食器用箱や樽に使われる。

【その他加工等】:切削などの加工性は良いが、鉋掛けの際に表面がケバ立ちやすく仕上がりは良好ではない。アテの部分は繊維が毟れて切削が容易でない。

【立木での性質等】:樹高は約15~30m、樹径1.0mに達し、あまり大径木にはならない。川岸の肥沃地に生育。蓄積量はあまり多くない。

 

*1:「白楊(ハクヨウ)」というと、ヤマナラシ(ハコヤナギ)=ポプラの別名でもあるみたいです。


ナラ

Nara2

 

名称・・・楢(Japanese oak)

その他呼び名・・・

水楢(ミズナラ)(大楢(オオナラ)、モンゴリナラ(*1))、ジャパニーズオーク、オーク、小楢(コナラ)(ハハソ、ホウソ、イシナラ(*2))、柏(槲)(カシワ)(*3)

科目・・・ブナ科コナラ(Quercus)属・落葉広葉樹・環孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Quercus crispula Blume (ミズナラ)
シノニム(異名):Quercus mongolica var. crispula (ミズナラ)
Quercus serrata (コナラ)
Quercus dentata (カシワ)

産地・・・北海道から本州、四国、九州、サハリン、樺太、南千島、朝鮮。特に北海道産が質・量ともに有名。

色調・・・心材は暗灰褐色、淡銀褐色。辺材は灰白色、淡灰白色。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.45~0.68(平均値)~0.90

平均収縮率%(柾目方向):0.19

平均収縮率%(板目方向):0.35

曲げ強度MPa:98

圧縮強度MPa:44

せん断強度MPa:10.8

曲げヤング係数GPa:9.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):(容易)~困難、鉋掛(カンナガケ):(容易)~困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:やや困難~困難、塗装性:高

用途・・・造作材、建具、家具、合板

床材、薪炭用、洋酒の樽材、枕木、器具材、運動具材、造船、単板、車両。

価格・・・☆☆☆

  • 無節材(2000x210x34㎜)80万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割

 

その他・・・

北海道産のものは「道産の楢」と呼ばれ有名。朝鮮の白頭山の山麓にも材質の良い楢がある。中国のモンゴリナラの変種と考えられている。楢は伐採すると大量の水を噴出するので別名で水楢と呼ばれる。英語で「オーク」と言えば普通「カシ」と訳されるが、欧米には常緑オーク類と落葉オーク類があり、オークという木はむしろコナラ・ミズナラ・カシワのような落葉オーク類を指す事が多い(*4)。「カシワ」は万葉の時代にはクヌギやナラとともに「ハハソ」と呼ばれていた。ちなみに中国で「柏」と書くと全く別のヒノキ科の針葉樹のことをいう。

 

【その他色調等】:年輪の境に沿って大きな道管が環状に並んでいる為、年輪がはっきりとしている。艶出しが良い。斑の模様鮮明。ナラをはじめブナ、カシなどは斑(ふ)が入るのが特徴であるが、斑が大きく虎の毛のような斑点模様に見えるものを虎斑(とらふ)と言う。放射組織が幅広く高いので特に柾目面に帯状の模様=虎斑(とらふ)がはっきりと現れる。この模様は家具に用いた時の大きな魅力となる。

【その他性質等】:大きな道管が環状に並んでいるような組織の為、成長が良いと木材の比重が高くなり硬くなる。逆に成長が悪いと軽軟になる。伸張・反張しやすく、特に乾燥の際割れが生じやすい。ブナ材とともに曲木の材料に適す。白樫と楢には導管孔内にチロースと呼ばれる繊維構造がありウィスキー等の醸造樽として使用しても液漏れが起こらない。

【その他加工等】:硬くて割れやすいので釘打ちの際には予備穴が必要。

【立木での性質等】:樹高15~20m、樹径0.6m。コナラは全国各地の平地や山野でごく普通に見られクヌギとともに雑木林を構成する代表的樹種。ミズナラは山地に多く分布する。

 

*1:モンゴリナラと呼ばれる事があるようですが、本来モンゴリナラというと中国産のQuercus mongolica を指します。日本産の通称モンゴリナラについては、大陸産とは別種のミズナラから分化したものという説が有力で、モンゴリナラと呼ぶのは不適当との見方が強いようです。その為フモトミズナラという新しい名称も考えられています。
*2:イシナラは材が重く硬いコナラの俗称のようです。
*3:カシワは通常ナラ材として取引されているようです。一般的にはナラと言えばミズナラを指すと思いますが、コナラや、カシワもナラと呼ばれるようです。
*4:「オーク」について上の説明だとちょっとわかりにくいかもですが、常緑オーク類=カシ、落葉オーク類=ナラということで良いと思います。西欧には落葉オーク類のほうが多いようなので、「オーク」を「カシ」と訳してしまうのは適切ではないと思います。


ニヤトー

Niyatou2

 

名称・・・ニヤトー(Nyatoh)

その他呼び名・・・

ニャトウ、ナトー(フィリピンでの呼び名)、パラキウム(パラキューム、パラクイム)、ペンシルシーダー(ペンシルシダー)(前2つはパプアニューギニアでの呼び名)、南洋桜(ナンヨウザクラ)、南方樺(ナンポウカバ)、スンタイ、チョルニ

科目・・・アカテツ科パラキウム(Palaquium)属・広葉樹・散孔材的な環孔材・合弁花類(被子植物)

学名・・・

Palaquium spp.
Palaquium erythrospermum、

Palaquium guttaなどを含む

産地・・・東南アジア、ニューギニア、ソロモン諸島、台湾、マレーシア、フィリピンからボルネオ島を経てフィジー方面まで、オーストラリア

性質・・・木理:通直~やや交錯、辺心材の境目:明瞭~(不明瞭)、肌目:粗~やや緻密~緻密、硬さ:やや軟~硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.47~0.89

平均収縮率%(柾目方向):0.21

平均収縮率%(板目方向):0.30

曲げ強度MPa:93

圧縮強度MPa:43

せん断強度MPa:10.8

曲げヤング係数GPa:12.7

加工性・・・鋸挽:容易~(困難)、鉋掛:容易~(困難)、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:中~やや困難、塗装性:中

用途・・・造作材、建具、家具

装飾用内装材、楽器材、敷居、額などの練物、キャビネット、仏壇

価格・・・☆☆

  • 無節材(2000x210x34㎜)50万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:24㎜、34㎜

 

その他・・・

多数の樹種からのもので、木材の組織は似ているが材質的にはかなり幅の広いものを含む。材に色むらがある。表面の仕上りは良好。中には微小シリカの結晶を含むものもあり、切削などの加工が困難な場合もある。斑の模様不明瞭。場所によって材の比重にバラつきがあり、軽いものには艶がなく装飾価値はない。重たい木は日本の真樺(マカバ)や桜(サクラ)に似た材質をしており、その代用としての用途が多い。白蟻に弱い。樹径40cm。ときに縞模様があらわれる。強度や耐朽性も個体差がありバラつく。一般に粘りにかける。木理が両逆目のわりには加工しやすい。樹種によってはサポニンを多く含む。Palaquium guttaからはグッタペルカ(樹液をかためたゴム状の物質)が採取される。乾燥に際しては反りや表面割れが生じやすい。

 

備考・・・

学名でアカテツ科のMadhuca philippinensisというのもニヤトーというみたいです。その資料は1つだけしか確認できなかったので、詳しくは不明です。


ネズコ

Nezuko2

 

名称・・・鼠子(Japanese red cedar)

その他呼び名・・・

黒檜(黒部)(クロベ)、クロビ、イヌビ(関東での呼び名)、ゴロウヒバ、クロベスギ

科目・・・ヒノキ科クロベ(Thuja)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Thuja standishii (Gordon) Carr.

産地・・・本州北部から中部、中国、四国地方に分布。多くは、中部の山地に生える。特に木曽谷周辺、隠岐島、紀伊半島中部、伊豆半島、房総半島等の山地。

色調・・・心材は黄褐色、くすんだ黄褐色、褐色、灰褐色。辺材は狭く、黄白色、白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:軟、腐食耐久性(耐朽性):中庸~強、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.30~0.36(平均値)~0.42

平均収縮率%(柾目方向):0.10

平均収縮率%(板目方向):0.19

曲げ強度MPa:49

圧縮強度MPa:29

せん断強度MPa:5.4

曲げヤング係数GPa:6.9

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:高

用途・・・建具、家具

天井材、障子、戸、和机、器具材、下駄、曲物、指物

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

日本特産。木曾五木の一つ。昔は樹皮を火縄に用いた。ネズコの名前は、材色が鼠色であることから。同じ属にアメリカ産のベイスギがある。

 

【その他色調等】:時間が経つと黒ずんでくる。斑の模様不明瞭。早材から晩材への移行がかなり急なため、年輪ははっきりと見える。年輪幅は狭い。

【その他性質等】:軽軟な材で、割れやすい。スギと同様に芳香を放つ。木曽谷周辺以外の木は大変枝振りが良い樹形ため、節が多く利用用途が少ない。

【その他加工等】:加工性は良いが、加工の時に細かい粉をふいたようになり易く、表面仕上げはあまり良好でない。

【立木での性質等】:樹高約30m、樹径0.8m程度。往々にしてねじれが出やすく、分枝も割合と低い部分からたくさん出る性質がある。樹皮は赤褐色で、鱗片状に剥がれる。植林されてなく、天然木のため木材としての生産量は少ない。ヒノキやサワラと混生し、他にアスナロやコメツガと混生している所もある。ヒノキやサワラに比べ寒地に良く耐え、やせ尾根や岩の間でも良く育つタフな木である。


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