木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


ヒノキ

Hinoki

 

名称・・・桧(檜)(Japanese cypress、Hinoki cypress)

その他呼び名・・・

木曾檜(キソヒノキ)、尾州檜(ビシュウヒノキ)、扁柏(ヘンパク)(中国での呼び名)、ヒノキサイプレス

科目・・・ヒノキ科ヒノキ(Chamaecyparis)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Chamaecyparis obtusa (Sieb. et Zucc.) Endl.

産地・・・本州中部から四国、九州。天然生としては木曽(長野県)、裏木曽(岐阜県)、高野山(和歌山県)、高知県西部など、人工林としては尾鷲(三重県)、吉野(奈良県)、天竜(静岡県)、東濃(とうのう)(岐阜県)、美作(みまさか)(岡山県)、和歌山のものが有名

色調・・・心材は黄白色ないし淡紅色、黄褐色。辺材は淡い黄白色色、淡黄色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:(明瞭)~やや不明瞭、肌目:緻密、硬さ:中庸~やや硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.30~0.38(平均値)~0.45

平均収縮率%(柾目方向):0.12

平均収縮率%(板目方向):0.23

曲げ強度MPa:74

圧縮強度MPa:39

せん断強度MPa:7.4

曲げヤング係数GPa:8.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:高

用途・・・構造材、造作材、建具、家具

曲物材、彫刻材(仏像など)、木型、桶、蓄電池のセパレーター、風呂桶

価格・・・☆☆☆(*1)

無節材(2000x210x34㎜)80万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

日本特産種。寺院建築をはじめ高級建築材として使われる。木曾ヒノキ林は、秋田スギ、青森ヒバとともに日本三大美林のひとつといわれる。木曾檜は尾州檜の名でも有名。またサワラ、アスヒ(アスナロ)、コウヤマキ、ネズコ(クロベ)とともに「木曾五木」と呼ばれる。ヒノキはこの木を擦り合わせて火をつけた事から由来する。ただし語源とされる「火の木」はヒノキの「ヒ」と火の「ヒ」の発音が異なる為専門家の間では間違いと言われている。ちなみに中国で「檜」はビャクシンのことを指すようである。大きな木材が必要な時には外国産の近縁の木材(タイヒ、タイワンスギ:var.formosanaなど)が使われている。

 

【その他色調等】: 表面を上手に仕上げると特有の光沢を出すことができる。斑の模様不明瞭。1年間に形づくられる細胞の形の変化が少ない為年輪はあまりはっきりしない。

【その他性質等】: 木理は均質。狂いが少ない。耐湿、耐水性が良い。特有の芳香を放つ。ヒノキは伐採されてから200年位までは圧縮、曲げなどの諸強度はやや上昇しその後は緩やかに減衰し始めるが、衝撃曲げ吸収エネルギーは伐採後300年迄の間は30%程度低下するもののそれ以降は殆ど変わらないと言う学術報告がある。ちなみにケヤキは伐採後300年辺りから急激にセルロースの崩壊と結晶化が始まり脆くなるのでヒノキより耐久性が乏しいと言われている。

【その他加工等】:

【立木での性質等】:樹高30~40m、樹径0.5~1.5m。雌雄同株。ヒノキは中腹から尾根筋にかけて山の斜面に良く育つ。長野県の木曾から岐阜県の裏木曾一帯の木曽谷及びその周辺の飛騨地方と和歌山県高野山、高知県西部に良い材質のヒノキがある地域として知られている。日本ではスギに次いで造林面積が広い。スギと比べて成長が遅い。

 

*1:価格は木曾檜になると、また格段にアップすると思われます。


ヒバ

Hiba

 

名称・・・檜葉(Hiba arborvitae、Aomori cypress)

その他呼び名・・・

翌檜(アスナロ)、アスヒ、シロビ、アテ(マアテ、クサアテ、カナアテ)、アテビ、ヒノキアスナロ(*1)、青森ヒバ、能登ヒバ、羅漢柏(ラカンハク)、羅漢松(ラカンショウ)

科目・・・ヒノキ科アスナロ(Thujopsis)属(*2)・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・

Thujopsis dolabrate (アスナロ)
Thujopsis dolabrata var. hondae (ヒノキアスナロ)

産地・・・北海道南部から本州、四国、九州。特に青森県の美林が有名

色調・・・心材は淡黄色。辺材は黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:やや不明瞭、肌目:緻密、硬さ:やや軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.37~0.45(平均値)~0.55

平均収縮率%(柾目方向):0.19

平均収縮率%(板目方向):0.27

曲げ強度MPa:74

圧縮強度MPa:39

せん断強度MPa:7.4

曲げヤング係数GPa:8.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:良好~やや困難、塗装性:中

用途・・・構造材、造作材、建具、家具

土台、根太、船舶材、土木材、枕木、器具、風呂桶、漆器素地

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

日本特産。平泉の中尊寺がヒバを使って建てられている。「最高のヒノキに明日にはなろう」の意味でアスナロとも呼ぶ。木曾五木の一つに数えられる。また日本三大美林の一つに数えられ、青森ヒバと呼んで取引される。北海道から東北地方に分布しているものは「ヒノキアスナロ」、東北地方から能登半島にかけては「アテ」、本州以南・四国・九州の高い山地でみられるものは「アスナロ」と呼ばれている。輸入材のベイヒバとは同一種ではない。

 

【その他色調等】:表面の仕上げは良好。斑の模様は不明瞭。

【その他性質等】:特有の匂いがある。アテが出やすい欠点がある。水湿によく耐える。乾燥段階で干し割れしやすい。年輪内の細胞の形の違いが少ない。抗菌性のあるヒノキチオールが存在することで注目されている。

【立木での性質等】:アスナロは関東平野より以西に分布。アスナロ変種とみられるヒノキアスナロは北海道の渡島半島南部から日光付近を南限として分布している。主に下北半島と津軽半島に群生。能登半島では広く造林されている。

 

*1:ヒノキアスナロはアスナロの変種ということらしく2つを分けている場合もあるようですが、どちらも「ヒバ」で良さそうです。ちなみに有名な青森ヒバはアスナロではなくヒノキアスナロの方なんですね。
*2:科目をヒノキ属とする資料もありますが、「Thujopsis」はアスナロ属でヒノキ属は「Chamaecyparis」のようですから、アスナロ属で良いと思います。アスナロ属はアスナロのみの一属一種のようです。


ヒメコマツ

Himekomatu2

 

名称・・・姫小松(Japanese white pine)

その他呼び名・・・

五葉松(ゴヨウマツ)、五葉(ゴヨウ)、姫五葉(ヒメゴヨウ)、北五葉(キタゴヨウ)(北五葉松(キタゴヨウマツ)、ヒダカゴヨウ)(*1)、マルミゴヨウ、キクゴヨウ

科目・・・マツ科マツ(Pinus)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・

Pinus parviflora (ゴヨウマツ=ヒメコマツ)、

Pinus parvifloravar. pentaphylla (キタゴヨウ)(*2)

産地・・・北海道から九州までの山地に自生。

色調・・・心材は淡黄紅色~淡紅色、淡黄薄褐色。辺材は淡黄白色、白色、黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:やや明瞭~明瞭、肌目:やや緻密、硬さ:軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.36~0.45~0.56

平均収縮率%(柾目方向):0.14

平均収縮率%(板目方向):0.25

曲げ強度MPa:69

圧縮強度MPa:34

せん断強度MPa:7.8

曲げヤング係数GPa:6.9

加工性・・・鋸挽:容易、鉋掛:容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易、塗装性:高

用途・・・造作材、建具、家具

天井板、鴨居、敷居、仏壇、彫刻、漆器木地、ピアノ響板、鋳物の木型

価格・・・☆

無節材(2000x210x34㎜)40万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜

 

その他・・・

日本特産。樹高20~30mに達するものもある。樹径0.6m。年輪幅は狭く均一。アカマツやクロマツなどの二葉松に比べ木目が細かく軽軟で狂いが少ない。生節の現れることが多い。比較的ヤニが少なく、しかも均等に入っているので扱いやすい。心材に近いほど落ち着いている。素直な木なので、割れが入りにくいようである。加工時は割れやすいので注意が必要。早材から晩材への移行は緩やかな為、肌目はアカマツ等に比較すると精。かなり脂っぽい感じがあるのも特徴。五葉松(ごようしょう)に属し、針状葉が5本ずつ束生する。斑の模様不明瞭。本州中部以南のゴヨウマツは木材としての利用は少なく、盆栽や庭園観賞用である。用材として使われる木はキタゴヨウマツで尾根筋に多く自生している。搬出に費用が掛かるが、乾燥したものは狂いが少なく木型材に最適で、削り上りが非常に良いため自動車、機械、事務機等の模型の製作に使われる。蓄積が少なくなり、ロシアから輸入されるチョウセンマツ(チョウセンゴヨウ)で代替されている。

 

備考・・・

ちなみにダイオウショウ、シロマツが3本葉です。

 

*1:細かく言うと、キタゴヨウはゴヨウマツ(=ヒメコマツ)の変種になります。
*2:学名の変更があったようで、以前はキタゴヨウはPinus pentaphlla、ゴヨウマツはPinus pentaphlla var. himekomatsu という学名で、ゴヨウマツがキタゴヨウの変種という扱いだったそうです。また当時はキタゴヨウの方をヒメコマツと呼んでいたようです。それなのにキタゴヨウではなくゴヨウマツの学名のほうに「himekomatsu」の文字が入ってるのは、分かりにくいですよね。少し分かりにくいのでまとめると、現在はヒメコマツと呼ばれるゴヨウマツは本州中南部以南に多く、盆栽や観賞用が主で、一方、キタゴヨウは本州中部以北や北海道に多く、木材としての利用が多い。以前はキタゴヨウをヒメコマツと呼んでいた。・・・ということでしょうか。関係ないですけど、ゴヨウマツの正式な学名はPinus parviflora Sieb. et Zucc.です。「Sieb.」とはあのシーボルトのことらしいです。彼が命名者なんですね。


ビャクダン

Byakudan2_2

 

名称・・・白檀(Sandal wood)

その他呼び名・・・

サンダルウッド、老山白檀(ロウザンビャクダン)

科目・・・ビャクダン科ビャクダン(Santalum)属・常緑広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Santalum album

産地・・・インド、インドネシア、ティモール島、東南アジア、オーストラリア

性質・・・木理:やや交錯、辺心材の境目:不明瞭~明瞭、肌目:緻密、硬さ:極硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.84

平均収縮率%(柾目方向):

平均収縮率%(板目方向):

曲げ強度MPa:{000

圧縮強度MPa:{00

せん断強度MPa:{00.0

曲げヤング係数GPa:{00.0

加工性・・・鋸挽:やや困難、鉋掛:やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・造作材

囲炉裏框、仏像彫刻、宝石箱、櫛、ペーパーナイフ、扇子、線香の原料

価格・・・☆☆☆☆☆~

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・ほぼ丸太の状態

 

その他・・・

斑の模様不明瞭。インドの葬儀には欠かせない香木でかなりの量が消費される。デカン高原のインド西側のマイソール周辺で採れるものが最高とされ、老山白檀(ロウザンビャクダン)という別称で呼ばれる。インドビャクダンは少し黄色を帯びた灰白色で、使い込むと黒ずんでくる。インドネシアに入ると木も太くなり、木目が荒く黄色味が強くなってくる。長い直材は殆ど無く曲がった材が多く、1m前後の長さで直径も20cmが大きい材となる。白太は白色で無臭だが、赤味は高貴な白檀色という卵白色で芳香がある。茶室の炉には最高の框材とされる。ビャクダンには堅く赤い偽心がある。材面は油状の感触がある。強烈な芳香があり、香油(白檀油)の原料ともされる。半寄生性の樹木のため栽培は大変困難で年々入手が難しくなり、インド政府によって伐採制限、輸出制限がかけられている。そのため、丸太に少し彫刻をして彫刻品として出荷される。

 

備考・・・

ビャクダンのことを中国名では「栴檀(センダン)」というようですが、いわゆるセンダンはセンダン科の別の樹種です。
最近はアロマテラピーにも使われているようです。環孔材とする資料もありましたが、材を見ると環孔材という感じではないですね。価格的には、たぶん製材品ではほぼ売られていないでしょうから書いてませんが、無理やり㎥単価を出すと600万はするでしょうか。


ブナ

Buna2

 

名称・・・椈・橅・山毛欅(Beech)

その他呼び名・・・

シロブナ、ソバグリ、ソバノキ、ブナノキ、ホンブナ、(イヌブナ、クロブナ)

科目・・・ブナ科ブナ(Fagus)属・落葉広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・

Fagus crenata
Fagus japonica(イヌブナ)

産地・・・北海道南部から本州、四国、九州。特に東北が主産地

性質・・・木理:ほぼ通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:緻密、硬さ:やや硬~硬、腐食耐久性(耐朽性):極弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.63

平均収縮率%(柾目方向):0.18

平均収縮率%(板目方向):0.41

曲げ強度MPa:98

圧縮強度MPa:44

せん断強度MPa:12.7

曲げヤング係数GPa:11.8

加工性・・・鋸挽:中庸、鉋掛:中庸、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:中、乾燥:注意、塗装性:高

用途・・・造作材、家具

主に脚物家具、床板、スキー板、ベニヤ材、玩具材、楽器の鍵盤、器具、漆器木地、曲木、靴木型、日用品、パルプ

価格・・・☆

無節材(2000x210x34㎜)35万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、45㎜

 

その他・・・

山の奥地に多く生育する。関東以南では暖帯林が温帯林に変わる山地内で見られるが、東北地方では平地に生育ブナの純林も残っている。日本の広葉樹の中で最も蓄積量が多い樹種。広葉樹の人工林はまれで、ブナもほとんど植林されていない。ただ北海道函館の七飯のガルトネル・ブナ林と呼ばれる人工林は、もうかなり老いてはいる(明治2、3年の植林)がブナ人工林の成功例として名が知られている。樹高25m、樹径1.5m。本来、心材は無く全て辺材であるが、しばしば不斉円形の濃色の部分を持ち、これを不正常な心材ということで偽心材と呼んでいる。この偽心材の部分には何重にも縞があり菊花の模様となることがある。材は均質だが、腐朽や狂いははなはだしい。しかし近年人工乾燥法が発達し狂いを除去することが出来るようになり木工家具の材料として見直されるようになってきた。現在では蓄積は非常に少なくなり、かつてブナに頼っていた家具工業はその代替材を探すことに努めている。曲木加工に適する。放射組織が広く、高い為板目面ではゴマのような濃い色の点となり、柾目面では帯状の模様(虎斑:とらふ)となる。板目面ではいわゆる樫目(?)を呈し、柾~追柾面に米粒大の斑(ふ)が現れるのが特徴。年輪はあまりはっきりしない。木材に防腐剤を注入しにくい。西欧では「森の女王様」と呼ばれ、昔から尊敬され親しまれてきている。

 

備考・・・

同属の樹種にイヌブナ(Fagus japonica)があります。クロブナとも言うようですが、材質がブナより少し劣るようです。このイヌブナを含めてブナという場合もあります。
「山毛欅」と書いてブナと読むようですね。当て字と思いますが、この字は本来、中国ブナ(Chinese beech:Fagus engleriana?)の一種のことを指すみたいです。でも詳細は不明です。