木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


チーク

Teak2

 

名称・・・チーク(Teak)

その他呼び名・・・

マイサック(タイでの呼び名)、チューン(キューン)(ミャンマーでの呼び名)、ジャティ(ジャチ)(インドネシアでの呼び名)、テック(フランスでの呼び名)、柚木・油木(ユギ、ユキ)、チークノキ

科目・・・クマツヅラ科チーク(Tectona)属・落葉広葉樹・環孔材的な散孔材・合弁花類(被子植物)

学名・・・

Tectona grandis
Tectona hamiltoniana(Dahat Teak:ミャンマー固有種。絶滅危惧種)、

Tectona philippinensis(Philippine Teak:フィリピン固有種。絶滅が危惧されている)

産地・・・タイ、ミャンマー、ベトナム、インド、インドネシアなど

性質・・・木理:(通直)~交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):極強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.57~0.69

平均収縮率%(柾目方向):0.12

平均収縮率%(板目方向):0.20

曲げ強度MPa:90

圧縮強度MPa:41

せん断強度MPa:13.2

曲げヤング係数GPa:12.3

加工性・・・鋸挽:容易~(困難)、鉋掛:容易~(困難)、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~やや困難、乾燥:中~困難、塗装性:中

用途・・・造作材、建具、家具

キャビネット材、彫刻材、船舶材(甲板)、床材、車両、土木、枕木、薪炭、突き板、工芸品

価格・・・☆☆☆☆☆~

無節材(2000x210x34㎜)200万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

辺材の部分は比較的狭い。心材にしばしば暗色の縞を持つ。材面にロウ状の感触がある。仕上りは良好。乾燥過程で割れや反りが出にくい。シロアリなどの虫害に強い。耐水性に優れている。世界の最高級材のひとつ。板に製材した直後は材面があまり綺麗ではないが、年月が経つとロウ状の成分が材面に染み出て色の深みが増し、いわゆる「チーク色」の落ち着いた色合いとなる。現在は自然保護のため伐採禁止になっている所が多く、輸入が大変厳しくなっている。斑の模様明瞭。マホガニー、ウォルナットとともに世界の三大名木と言われる。チークの本場はミャンマーからベトナム。輸入されるチーク材は☆の印で等級が付けられて取引され、5ツ星が最高グレード。良材がとれるのはインド、タイ、ミャンマーなどだが、数も減ってきている為アフリカを含めてあらゆる場所で植林されている。特にインドネシアのジャワ島の造林木が市場材として有名。ベトナムではチークの植林が盛ん。チークの天然の産地は熱帯でも乾期と雨期がはっきりしている雨緑林帯と呼ばれる地域であるため、熱帯降雨林地帯に植えられたものからの木材は、品質的に劣るようである。雨季には落葉して成長を止める為、熱帯産の樹種としては珍しく年輪がわかる。独特の芳香がある。今ではスライスドベニヤやムクで内装、家具に主に使われている。樹高30~40m。

 

備考・・・

科目はテクトナク(Tectonacc)属とする資料もあります。


ツガ

Tsuga2

 

名称・・・栂(Japanese hemlock)

その他呼び名・・・

トガ、本栂(ホンツガ)、ツガマツ(トガマツ)

科目・・・マツ科ツガ(Tsuga)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Tsuga sieboldii Carr.

産地・・・本州南部から四国、九州を経て屋久島まで分布。北限は福島県八溝山周辺。特に高知県、和歌山県方面から天然の良質材が産出される。

色調・・・心材は淡褐色、淡黄色。辺材は淡色、帯褐色白色、淡黄色。

性質・・・木理:おおむね通直、辺心材の境目:(明瞭~)不明瞭、肌目:粗、硬さ:中~硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.45~0.50(平均値)~0.60

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.30

曲げ強度MPa:74

圧縮強度MPa:44

せん断強度MPa:8.8

曲げヤング係数GPa:7.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易(*1)、鉋掛(カンナガケ):容易(*1)、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~やや困難、塗装性:高

用途・・・構造材、造作材

柱、土台、長押、鴨居、敷居、器具材、梱包材、パルプ材、車両、枕木

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

近年は伐採もわずかな為、木材として目に触れることは、非常に少ないと言える(*2)。近縁種の同属に日本産のコメツガ(Tsuga diversifolia )や北米産のカナダツガなどがある。関西地方ではツガの土台と柱で作った家屋は最高のものとして、高い評価を受けている。また、床の間廻りに関西で多用されている。樹皮から得られるタンニンは、漁網の染料にも用いられる。徳川時代の礼服として着用された裃(かみしも)の中に入れて使う腰板は信州産のツガ材に限ると言われていた。

 

【その他色調等】:光沢を持つ。斑の模様不明瞭。小口や柾目から見て、年輪が大変はっきりしている。天然のツガの成長は一般にゆっくりしているため、年輪の幅が狭く、製材品の材面はいわゆる糸柾になっている。年輪の濃い色の部分は夏に育った夏材部、白い部分が春に育った春材部といい、その変化はツガ属特有のもの。

【その他性質等】:木質は針葉樹の中では重硬。鼠にかじられる被害が少ない材質の為、土台や柱に賞用される。割裂性は大きい。狂いやすい。樹脂分成分が多く、脂条(やにすじ)も出やすい。

【その他加工等】:ツガを鉋(かんな)で削ると、材面に白い粉が筋状に見えることがある。かつてはこれを鉱物質の結晶のためとされてきたが、近年になってフロコソイドという有機物質であることがわかった。

【立木での性質等】:樹高30m、樹径1.0mの大木も稀ではない。幹はおよそまっすぐだが、先細りで多少曲がっていたりする。標高が400~1,600m位の乾燥した尾根筋や急斜面を好んで繁殖する。モミとの混生が普通で、ブナ、ミズナラなどの落葉広葉樹やヒノキ、カヤなどの針葉樹、カシ類などの常緑樹としばしば混生して現れる。雪の多い裏日本にはほとんどなく、表日本側に偏る。

 

*1:加工性にやや難があるとも言われます。針葉樹の中では硬い部類に入ることが理由でしょうか。
*2:ツガの名前で日本で良く使われているものは、正確には北米産のベイツガのことです。


ツバキ

Tubaki

 

名称・・・椿(Camellia)

その他呼び名・・・藪椿(ヤブツバキ)、カメリア

科目・・・ツバキ科ツバキ(Camellia)属・常緑広葉樹・環孔材的な散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Camellia japonica

産地・・・本州、四国、九州。朝鮮、中国。

色調・・・心材、辺材共に紅淡褐色、紅褐色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~高、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.81

平均収縮率%(柾目方向):0.19

平均収縮率%(板目方向):0.28

曲げ強度MPa:78*

圧縮強度MPa:45*

せん断強度MPa:15.7*

曲げヤング係数GPa:8.8*

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):やや困難、鉋掛(カンナガケ):やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:容易~困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・

床柱、漆器木地(盆、椀などの)、算盤玉、折尺、農耕具の柄、ブラシの柄、バイオリンの弦の糸巻き棹(サオ)、煙草パイプ、タンスの取手、高級な炭、印材。

価格・・・☆☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

斑の模様不明瞭。樹高18m、樹径0.5m程度。大径木が少なく、樹形が悪い。日本中の椿の大木は殆ど伐採され、現在では入手の難しい材である。銘木としては、皮肌を生かして皮付丸太として床柱、壁止めなどに使用される。また重硬で均一な材質のため、柘植(ツゲ)材の代用として細工物やこけしなどにに使われた。柾目面が美しい。磨くと光沢が出る。割裂は非常に困難。輪切りした材は木口割れが非常に少なく、木口に彫刻する印鑑に適した材質である。茶花(ちゃばな:茶室に生ける草花)として好まれ、侘助(わびすけ)、明石潟(あかしがた)、大虹(おおにじ)、秋風楽(しゅんふうらく)、白唐子(しろからこ)、光源氏(ひかるげんじ)、熊谷(くまがい)、京牡丹(きょうぼたん)、荒獅子(あらじし)、大神楽(だいかぐら)、羽衣(はごろも)、都鳥(みやこどり)など多くの園芸品種が作られた。

 

備考・・・

木材で流通しているのは、銘木として丸太状のものがほとんどではないでしょうか。ツバキの木目を広い面で見る機会は少ないかもしれません。


トチノキ

Totinoki2

 

名称・・・栃の木(橡)(Japanese horse chestnut)

その他呼び名・・・

栃(トチ)、七葉樹(シチヨウジュ)、オオトチ、クリトチ

科目・・・トチノキ科トチノキ(Aesculus)属・落葉広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Aesculus turbinata

産地・・・北海道、本州、四国、九州。特に東北地方、北海道南部に多い。中国

性質・・・木理:やや交錯、辺心材の境目:不明瞭、肌目:緻密、硬さ:やや軟、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.53

平均収縮率%(柾目方向):0.15

平均収縮率%(板目方向):0.28

曲げ強度MPa:74

圧縮強度MPa:39

せん断強度MPa:9.3

曲げヤング係数GPa:7.8

加工性・・・鋸挽:容易~やや困難、鉋掛:容易~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:やや困難、塗装性:中

用途・・・造作材、家具

器具材、楽器材、彫刻材、椀や盆などの刳物(くりもの)、床の間の地板、玩具、化粧用単板

価格・・・☆☆☆☆

  • 無節材(2000x210x34㎜)100万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・割板:60㎜

 

その他・・・

材面には絹のような光沢がある。年輪の境はあまりはっきりしない。細胞の並び方が特殊な為、板目面に著しいリップルマーク(さざ波模様)が現れることがある。表面の仕上りは良好。乾燥が不十分だと狂いやすい。偽心あり。斑の模様不鮮明。粘りがあるので曲木に適する。樹高25~30m、樹径2mに達する大木もある。低山地帯の谷筋や山腹の水分の多い肥沃な土地に群生する。一般的に利用価値の少ない木で、白太だけが利用される。類似種のマロニエ(セイヨウトチノキ)はパリの街路樹として有名。栃の実には苦味があるので色々な工夫をしてから、すりつぶして栃餅を作る。

 

備考・・・

学名をAesculus carneaとする資料もありましたが、これはマロニエ(セイヨウトチノキ)と米国産のアカバナトチノキを交配したベニバナトチノキのことを指すようです。


トドマツ

Todomatu

 

名称・・・椴松(Todo fir、White fir)

その他呼び名・・・

赤椴松(アカトドマツ)、ネムロトドマツ

科目・・・マツ科モミ(Abies)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Abies sachalinensis Mast.

産地・・・北海道、千島、サハリン(樺太)、シベリア。

色調・・・心材は黄白色、淡黄白色、白色。辺材は黄白色、白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:粗、硬さ:軟、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.35~0.44(平均値)~0.52

平均収縮率%(柾目方向):0.14

平均収縮率%(板目方向):0.35

曲げ強度MPa:64

圧縮強度MPa:32

せん断強度MPa:6.4

曲げヤング係数GPa:7.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):中~容易、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:中

用途・・・構造材、下地材

土木、器具材、パルプ材、電柱、坑木

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・サンギ:48x24x3650(一等\60,000/㎥)

 

その他・・・

エゾマツとともに北海道の主要な針葉樹。北海道ではエゾマツとともに「エゾ・トド」と一括して呼ばれ、本州でのスギのように住宅の柱や板に使われる。植物学上はアカトドマツとアオトドマツ(*1)に分けられているが、普通にはアカトドマツを指す。

 

【その他色調等】: 入皮、ヤニツボ、大きい生節、あてなどの傷があらわれやすい。斑の模様不明瞭。心材(赤味)は着色しないで成熟するので淡黄白色のパルプ色をしていて辺材(白太)との区別が困難。年輪は明瞭な為綺麗な板目材面をしている。

【その他性質等】: この木の枝は幹の樹皮との連結がなく、個別に樹皮を作る様に成長するので節は死節となる。板目では節部が欠落して穴になる欠点がある。トドマツ特有の「水喰(みなくい)」という異常に水分の多い部分が(心材の部分でも辺材の部分と同じように)随所に出来る欠点を持つ。木材、特に節に一種のくさい臭いがある。元来、軸方向細胞間道(樹脂道)はないが、なにかの障害を受けると外傷樹脂道が出来ることがある。保存性は低いが、土木用に用いた場合にはエゾマツよりも腐りにくいとされている。

【立木での性質等】:樹高約30m、樹径1.0m。

 

*1:アオトドマツはトドマツ(アカトドマツ)の変種とされ、学名はAbies sachalinensis var. mayriana Miyabe et Kudô です。