ナラ

Nara2

 

名称・・・楢(Japanese oak)

その他呼び名・・・

水楢(ミズナラ)(大楢(オオナラ)、モンゴリナラ(*1))、ジャパニーズオーク、オーク、小楢(コナラ)(ハハソ、ホウソ、イシナラ(*2))、柏(槲)(カシワ)(*3)

科目・・・ブナ科コナラ(Quercus)属・落葉広葉樹・環孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Quercus crispula Blume (ミズナラ)
シノニム(異名):Quercus mongolica var. crispula (ミズナラ)
Quercus serrata (コナラ)
Quercus dentata (カシワ)

産地・・・北海道から本州、四国、九州、サハリン、樺太、南千島、朝鮮。特に北海道産が質・量ともに有名。

色調・・・心材は暗灰褐色、淡銀褐色。辺材は灰白色、淡灰白色。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.45~0.68(平均値)~0.90

平均収縮率%(柾目方向):0.19

平均収縮率%(板目方向):0.35

曲げ強度MPa:98

圧縮強度MPa:44

せん断強度MPa:10.8

曲げヤング係数GPa:9.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):(容易)~困難、鉋掛(カンナガケ):(容易)~困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:やや困難~困難、塗装性:高

用途・・・造作材、建具、家具、合板

床材、薪炭用、洋酒の樽材、枕木、器具材、運動具材、造船、単板、車両。

価格・・・☆☆☆

  • 無節材(2000x210x34㎜)80万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割

 

その他・・・

北海道産のものは「道産の楢」と呼ばれ有名。朝鮮の白頭山の山麓にも材質の良い楢がある。中国のモンゴリナラの変種と考えられている。楢は伐採すると大量の水を噴出するので別名で水楢と呼ばれる。英語で「オーク」と言えば普通「カシ」と訳されるが、欧米には常緑オーク類と落葉オーク類があり、オークという木はむしろコナラ・ミズナラ・カシワのような落葉オーク類を指す事が多い(*4)。「カシワ」は万葉の時代にはクヌギやナラとともに「ハハソ」と呼ばれていた。ちなみに中国で「柏」と書くと全く別のヒノキ科の針葉樹のことをいう。

 

【その他色調等】:年輪の境に沿って大きな道管が環状に並んでいる為、年輪がはっきりとしている。艶出しが良い。斑の模様鮮明。ナラをはじめブナ、カシなどは斑(ふ)が入るのが特徴であるが、斑が大きく虎の毛のような斑点模様に見えるものを虎斑(とらふ)と言う。放射組織が幅広く高いので特に柾目面に帯状の模様=虎斑(とらふ)がはっきりと現れる。この模様は家具に用いた時の大きな魅力となる。

【その他性質等】:大きな道管が環状に並んでいるような組織の為、成長が良いと木材の比重が高くなり硬くなる。逆に成長が悪いと軽軟になる。伸張・反張しやすく、特に乾燥の際割れが生じやすい。ブナ材とともに曲木の材料に適す。白樫と楢には導管孔内にチロースと呼ばれる繊維構造がありウィスキー等の醸造樽として使用しても液漏れが起こらない。

【その他加工等】:硬くて割れやすいので釘打ちの際には予備穴が必要。

【立木での性質等】:樹高15~20m、樹径0.6m。コナラは全国各地の平地や山野でごく普通に見られクヌギとともに雑木林を構成する代表的樹種。ミズナラは山地に多く分布する。

 

*1:モンゴリナラと呼ばれる事があるようですが、本来モンゴリナラというと中国産のQuercus mongolica を指します。日本産の通称モンゴリナラについては、大陸産とは別種のミズナラから分化したものという説が有力で、モンゴリナラと呼ぶのは不適当との見方が強いようです。その為フモトミズナラという新しい名称も考えられています。
*2:イシナラは材が重く硬いコナラの俗称のようです。
*3:カシワは通常ナラ材として取引されているようです。一般的にはナラと言えばミズナラを指すと思いますが、コナラや、カシワもナラと呼ばれるようです。
*4:「オーク」について上の説明だとちょっとわかりにくいかもですが、常緑オーク類=カシ、落葉オーク類=ナラということで良いと思います。西欧には落葉オーク類のほうが多いようなので、「オーク」を「カシ」と訳してしまうのは適切ではないと思います。