木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


ハードメープル

Haadomeepuru2

 

名称・・・ハードメープル(Hard maple)

その他呼び名・・・

砂糖楓(サトウカエデ)、シュガーメープル、ブラックメープル、ロックメープル、イエローメープル、(鳥眼杢が現れたものを特に)バーズアイメープル

科目・・・カエデ科カエデ(Acer)属・落葉広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Acer saccharum(シュガーメープル)
Acer nigrum(ブラックメープル)

産地・・・カナダ、五大湖を中心とするアメリカ北東部

性質・・・木理:通直~(波状)、辺心材の境目:不明瞭、肌目:緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.57~0.70

平均収縮率%(柾目方向):0.18

平均収縮率%(板目方向):0.37

曲げ強度MPa:61

圧縮強度MPa:36

せん断強度MPa:10.2

曲げヤング係数GPa:7.8

加工性・・・鋸挽:容易~やや困難、鉋掛:やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:困難、塗装性:高

用途・・・造作材、家具

床材、壁用パネル、内装材、単板、器具柄、楽器材、ダンスホールの床、ボーリングのレーン・ピン、バット

価格・・・☆☆☆☆

無節材(2000x210x34㎜)100万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:25㎜、30㎜

 

その他・・・

ハードメープルは1種の樹種ではなく、シュガーメープルとブラックメープルの2種をまとめて呼ぶ名。表面仕上げは良好。絹糸状の光沢がある。ステインや艶出し加工で美しく仕上がる。衝撃に強く、割れにくい。年輪ははっきりしない。斑の模様不明瞭。樹高30~40m、樹径1.0m。日本のカエデと同様に白太が大きい程利用価値がある。赤味の中の擬芯材部は非常に硬く粘く、加工が困難な為使用に耐えない。心材は淡赤褐色だが、時々傷のある部分には緑黒色の條がある。乾燥の収縮は大きいほうである。釘、ネジ使用時には前もって穴をあけておく必要がある。樹液からメープルシロップやメープルシュガーをとる。材にもほのかな甘い香りがする。玉粒状の鳥眼杢(ちょうがんもく) が現れるものを「バーズアイメープル」と呼び、高級な家具材、楽器材として重用される。玉粒が多く、全面に均等に入るものは希少で大変高価である。波状木理が出る木はバイオリン杢=シカモアと呼ばれ珍重される。類似種として、少し軟らかい木質のソフトメープル類がある。

 

Birdseyemaple

バーズアイメープル

 

 

 

 

 

 

 

 

備考・・・

木目によってシカモアと呼ぶとありますが、「シカモア」といえば通常ホワイトシカモアという欧州産の別種類を指すと思います。
ハードメープルを、シュガーメープルとブラックメープルの2種にロックメープルを加えた3種を挙げる資料がありました。が、シュガーメープル=ロックメープルみたいです。また、ブラックメープルをシュガーメープルの亜種(学名:Acer saccharum ssp.nigrum)とする資料もありました。どちらの学名が正しいのかは不明です。


パイン

Ieroupain

 

名称・・・パイン(Pine)

その他呼び名・・・

イエローパイン欧州赤松(オウシュウアカマツ)、SPF(エスピーエフ)

科目・・・マツ科–(–)属・針葉樹・裸子植物

学名・・・

産地・・・北米、カナダ、ヨーロッパ

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭~やや不明瞭、肌目:緻密~粗、硬さ:軟~硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:弱~強

気乾比重:

平均収縮率%(柾目方向):

平均収縮率%(板目方向):

曲げ強度MPa:

圧縮強度MPa:

せん断強度MPa:

曲げヤング係数GPa:

加工性・・・鋸挽:容易、鉋掛:容易、釘打保持力:弱~強、糊付接着性:良好、乾燥:容易~やや困難、塗装性:やや低~中

用途・・・構造材、造作材、建具、家具

フローリング、壁材

価格・・・☆~☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・マツ科の針葉樹の総称。

 

備考・・・

日本語でいう「松」のことですが、一般にはパイン材と言えば輸入材の松を言い、国産の松は指しません。ヨーロッパからのものだとオウシュウアカマツ、アメリカからのものだとイエローパイン、カナダからのものだとSPFのことを指すことが多いようです。その他ホワイトパインやポンデロサパインなど多種にわたりますので、業界では本来の樹種名で指示しています。


バルサムファー

Barusamu

 

名称・・・バルサムファー(Balsam fir)

その他呼び名・・・

バルサムモミ、バルサム、米樅(ベイモミ)(*1)、カナダバルサムノキ

科目・・・マツ科モミ(Abies)属・針葉樹・裸子植物

学名・・・Abies balsamea

産地・・・北米、主にニューイングランド地方

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:やや緻密~やや粗、硬さ:軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.42*

平均収縮率%(柾目方向):0.08

平均収縮率%(板目方向):0.20

曲げ強度MPa:49*

圧縮強度MPa:27*

せん断強度MPa:4.9*

曲げヤング係数GPa:8.3*

加工性・・・鋸挽:容易、鉋掛:容易、釘打保持力:中、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:高

用途・・・造作材、建具

箱材、パルプ、内装材

価格・・・☆

無節材(2000x210x34㎜)40万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:24㎜、34㎜

 

その他・・・

斑の模様不鮮明。樹高約20m。年輪は鮮明。白太も赤味も均一な白色で、パルプ原料としては最良の材質と称されている。ベイツガよりも軽くて強度も弱いが、狂いの少ない材質なので五大湖地方では建築材にされている。暑さには特に弱い。バルサム香がする木として知られ、木の色や硬さも似ていることからホワイトファーと同様の使い方をされている。精油は香料やガラスの接着剤として利用される。

 

備考・・・

「ミックスシロ」という呼び名があるという資料がありましたが、その1つだけで詳しくは不明です
流通ではベイツガとして取引されることもあります。入皮のようなカスレが出やすい材です。

 

*1:。ベイモミとも呼びますが、一般的にはベイモミとはバルサムファーを含めたモミ属をいくつかまとめた総称です。


ハルニレ

Harunire2

 

名称・・・春楡(Japanese elm)

その他呼び名・・・

アカダモ、コブニレ、エルム、ニレ(*1)

科目・・・ニレ科ニレ(Ulmus)属・落葉広葉樹・環孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Ulmus davidiana var. japonica  (Rehder) Nakai

産地・・・北海道、本州、四国、九州と広いが、大部分は北海道に産する。また、樺太(サハリン)、千島、朝鮮、中国、シベリアなど広域に生育する。

色調・・・心材は淡褐色、暗赤褐色、暗褐色。辺材は黄白色、淡灰白色。

性質・・・木理:ほぼ通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~強、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.42~0.63(平均値)~0.71

平均収縮率%(柾目方向):0.22

平均収縮率%(板目方向):0.42

曲げ強度MPa:78

圧縮強度MPa:39

せん断強度MPa:8.8

曲げヤング係数GPa:7.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):やや困難、鉋掛(カンナガケ):やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:困難、塗装性:中

用途・・・造作材、建具、家具、合板

器具材、車両材、枕木、彫刻

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、60㎜

 

その他・・・

一般に言うニレは、ニレ科の樹木の総称で、「ハルニレ」のほか「アキニレ」「オヒョウ」(*2)などがある。(*1)

 

【その他色調等】:木目は明瞭で美しい。コブや根に近い箇所(バール)には特に美しい杢が出る。斑の模様は繊細美麗。タモを赤くして油気を抜いたような木目の為、アカダモとも呼ばれる。

【その他性質等】:やや重硬。ねばりがあり、曲木に適する。割裂は困難。凍裂やカボチャ状になる欠点が多い樹種で、平均して原木が太い割には幅広材が採れない。

【その他加工等】:表面の仕上がりはあまり良くない。人工乾燥によって狂いの出ることが多い。

【立木での性質等】:樹高25~30m、樹径1.2mにも達する。北海道では大径木が産出され、北海道の広葉樹の中で量的に多い部類に入る。東北地方の山岳の渓流沿いの肥沃地にも大木が見られる。

 

*1:ニレというと、一般にはハルニレを指す事の方が多いようです。
*2:オヒョウは木材自体よりも樹皮の方が有名で、強靭な繊維がアイヌ民族衣装の厚司(あつし)や縄にされます。材質は狂いやすい木で嫌われています。


ビーチ

Beech2

 

名称・・・ビーチ(Beech)

その他呼び名・・・

アメリカンビーチ(アメリカブナ)(*1)、ヨーロピアンビーチ(ヨーロピアンブナ、ヨーロッパビーチ、ヨーロッパブナ、欧州椈(オウシュウブナ))(*2)

科目・・・ブナ科ブナ(Fagus)属・落葉広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Fagus grandifolia(アメリカンビーチ)、

Fagus sylvatica(ヨーロピアンビーチ)

産地・・・アメリカ東部全域(主として中西部及びアパラチアン地域に多い)、ヨーロッパ各地。

色調・・・心材は淡紅褐色から濃紅褐色、乳白色(暗褐色の偽心)、赤褐色。辺材は紅白色、白色、淡褐色。

性質・・・木理:通直あるいは不規則、辺心材の境目:不明瞭、肌目:緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.63~0.72

平均収縮率%(柾目方向):0.20

平均収縮率%(板目方向):0.45

曲げ強度MPa:102

圧縮強度MPa:50

せん断強度MPa:13.8

曲げヤング係数GPa:11.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・造作材、建具、家具、合板

床材、食品容器、食器棚、衣装箱、チーズボード、樽、楽器材、轆轤(ろくろ)細工、防腐処理をして鉄道枕木

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:26㎜、45㎜、60㎜

 

その他・・・

衝撃に強く、粘りがある。スチーム曲げに適している。色調は、アメリカンビーチがヨーロピアンビーチに比べやや色が濃く、色むらがある。ヨーロピアンビーチの方が色が淡く上品。材面に放射組織の小さな斑点が現れるのが特徴(ヨーロピアンビーチ)。木目に布目模様の杢模様がある。斑の模様明瞭。表面仕上がりは美しいく、ステイン塗装仕上げや、艶出し加工による仕上がりも美しい。乾燥は早いが、乾燥収縮が大きく、反り、表面割れ、木口割れなどを起こしやすく、また変色しやすい。加工は容易だが鋸を噛んだり、孔あけの際に焦げたりすることがあり、また釘を打つ際に割れることがある。釘打やネジは予め穴を開けた方が良い。無味無臭な材のため、食品容器や、食器棚、衣装箱、フローリングに適する。腐りやすい為、湿気のあるところでの利用には不適である。害虫の被害も受けやすいが、浸透性があり防腐処理に適している。オハイオ河及びミシシッピイ河渓谷地域に分布するものが最も大きくなるとのことで、処によっては樹高30m、樹径3.5mになるものもある。日本産のブナ材と良く似ていて区別しにくい。白太(辺材)はシロブナ、赤味(心材)はアカブナのように見える。

 

備考・・・

ビーチといえばブナ類のことを指しますが、ブナ類は産地によってアメリカ産、ヨーロッパ産、日本産の3つに大きく分けられると思います。一般的には「ビーチ」と呼べば日本産以外のアメリカ産かヨーロッパ産を指すでしょう。

 

*1:アメリカンビーチをイエローバーチや、ポプラと呼ぶことがあるかも知れませんが、それぞれカバノキ科や、ヤナギ科の別種類があります。そう呼ぶことがあるのかの真偽も不明です。
*2:ヨーロピアンビーチをイングリッシュビーチや、ターキッシュビーチ、フォレストビーチなどと呼ぶことがあるようです。これも真偽不明です。