木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


タガヤサン

Tagayasan

 

名称・・・鉄刀木(Bombay black wood)

その他呼び名・・・

テットウボク(*1)、ボンベイブラックウッド、キレット(タイでの呼び名)、ジャハール(マラヤでの呼び名)、紫鉄刀木(ムラサキタガヤサン)(ムラサキタガヤ)(*2)

科目・・・マメ科ジャケツイバラ亜科センナ(Senna)属(ナンバンサイカチ(Cassia)属(*3))・常緑広葉樹・環孔性散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Senna siamea
シノニム(異名):Cassia siamea Lam.(*4)

産地・・・タイ、インド、ミャンマーなど。今ではアジアに広く植栽されている。

色調・・・心材は濃褐色から黒褐色、帯紫黒褐色で、黄褐色の条斑(淡色の細い縞が多数規則的にある)がある。辺材は白っぽい淡色、灰白色。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗~粗、硬さ:硬~超硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.69~0.88

平均収縮率%(柾目方向):–

平均収縮率%(板目方向):–

曲げ強度MPa:120

圧縮強度MPa:58

せん断強度MPa:9.5~10.1

曲げヤング係数GPa:10.1

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):困難~超困難、鉋掛(カンナガケ):困難~超困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:困難~超困難、塗装性:中

用途・・・家具

床柱、指物、仏壇、象嵌、化粧用単板、ステッキ用材、器具、木槌、楽器、箸

価格・・・☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

シタン、コクタンと共に代表的な唐木の一つ。腐蝕に非常に強い為、長く続くという願いを適えるシンボルとして床柱にすると言われている。木材の重くて硬いさまが、まるで「鉄の刀のようだ」ということから「鉄刀木」の漢字が当てられる。Cassia属は世界の熱帯地域に広く分布し、美しい花を咲かせる種類もあり、庭園用や街路樹としても植えられている。

 

【その他色調等】:表面仕上げは良好で、磨くと美しい光沢を放つ。斑の模様不明瞭。材肌が現れた直後には黒色をしているが、空気に触れると紫色に変わる。材の柾目面にのみタガヤサンらしい個性の強い斑様を見ることができる。

【その他性質等】:辺材は柔らかい。粘りがあるが、乾燥に狂いやすい。材質は緻密。皮膚を侵す暗粉状物質が含まれている為、要注意。クリソファン・ハイドロアンスランという成分を含んでいる為、長時間製材、木工作業をすると木屑が目を刺激し、結膜炎などを起こす恐れがある。最も良質とされるのはミャンマー近辺産のものであるが、現在は資源保護の為輸出禁止となっている。

【その他加工等】:鉋は立刃のものを使用する。仕上げの段階では砥石で磨き肌を整える。仕上げは蝋またはイボタを用いて艶仕上げにする。稀にラックを使うこともあるが、漆を用いると色が黒くなる為、漆仕上げはしない。

【立木での性質等】:樹高15m、樹径0.5m。乾燥地帯での造林の際、厳しい条件にも耐える為造林樹種として使われていが、利用は木材としてより、小さいうちに伐採され燃料として使用されることが多い。

 

*1:「鉄刀木」と書いてタガヤサンと読みます。そのまま、テットウボクと読む場合もあるようです。
*2:タガヤサンの内、特に材色が紫色を帯びているものをムラサキタガヤサンと言う事があるようですが、ムラサキタガヤサンと言うと、アフリカ産でマメ科のウェンジを指す事もあります。
*3:Cassia属の和名をカワラケツメイ属とする資料もあります。
*4:学名が2つあるようです。(学名が複数ある時、それらを「シノニムである」と言います。)


タケ

Take

 

名称・・・竹(Bamboo)

その他呼び名・・・

真竹(マダケ)(苦竹(ニガタケ))、孟宗竹(モウソウチク、モウソウダケ)、淡竹(ハチク)、黒竹(クロチク)、女竹(メダケ)、矢竹(ヤダケ)、晒竹(サラシダケ)(白竹(シラチク、シラタケ))、清水竹(シミズダケ)、焼き竹(ヤキダケ)(*1)

科目・・・イネ科タケ亜科–(–)属・常緑草本植物・単子葉類(被子植物)

学名・・・

Phyllostachys bambusoides(マダケ)、

Phyllostachys heterocyala(モウソウチク)、

Phyllostachys nigra var.henonis(ハチク)、

Phyllostachys nigra var.nigra(クロチク)、

Pleioblastus simonii(メダケ)、

Pseudosasa japonica(ヤダケ)(*2)

産地・・・アジアの温暖湿潤地域

性質・・・木理:–、辺心材の境目:–、肌目:–、硬さ:中庸~硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.69

平均収縮率%(柾目方向):–

平均収縮率%(板目方向):–

曲げ強度MPa:101*

圧縮強度MPa:66*

せん断強度MPa:

曲げヤング係数GPa:

加工性・・・鋸挽:{容易/困難、鉋掛:{容易/困難、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:{良好/不良、乾燥:{容易/困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・

床材、竹垣、竹小舞(塗り壁の下地)、すだれ、建築外部足場

価格・・・☆(*3)

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

3寸:直径約(30~35)x6000㎜

4寸:直径約(40~45)x7000

5寸:直径約(50~55)x7000

6寸:直径約(60~65)x8000

7寸:直径約70x8000

8寸:直径約80x8000

9寸:直径約90x8000

 

その他・・・

イネ科タケ亜科の多年生常緑草本植物のうち大型のものの総称。世界で600~1200種、日本でも150~600種あるとされる。一般的に用材として流通しているものは、そのうちの極わずか。マダケ、モウソウチク、ハチクの3種類は日本の三大有用竹とされる。マダケは竹の王様と言われ、用材として最も優れているため、流通している竹材の主流。メダケは昔は竹小舞として大量に使われたが、現在では極少。メダケとヤダケは笹に分類される。

 

備考・・・

ここでは「草本」(=草)として取り扱いましたが、竹を「木」とするか「草」とするか諸説あるみたいです。あと英名ではBambooですが、バンブーと竹と笹を区別しているみたいです。違いは、地下茎が横に這って生育繁殖するのが竹・笹で、地下茎が無く株立ち状になるものをバンブーというようです。また竹と笹の違いは、一般的には大型のものを竹、小型のものを笹と呼びますが、植物学的には「生長すると稈鞘(カンショウ:タケノコの皮)が落ちるのが竹、残って稈(カン:タケ・ササ類における茎)を包むのが笹」とするようです。 竹は2005年くらいから建築用材としてだいぶメジャーになってきた感じがします。良く目にするのは積層された床材くらいですけどね。ちなみに積層の仕方は縦と横の2タイプあります。(画像参照)

 

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*1:「晒竹(白竹)、清水竹、焼き竹」は竹の種類ではなく、加工された竹の呼び名です。晒竹とは、マダケやハチクを油抜きして曲がりを矯正し、天日干しした白くて美しい竹のことです。清水竹とは、若いメダケを磨いて曲がりを矯正したもので、表面が紙質で柔らかい感じがします。焼き竹とは、マダケの表面にバーナーで焼き色をつけたもので、薄い焼き色から、黒竹のような濃い色合いまで自由にできます。
*2:「Phyllostachys」はマダケ属、「Pleioblastus」はメダケ属、「Pseudosasa」はヤダケ属です。
*3:竹は通常㎥単価ではないでしょうから、比較になりませんが無理やりだすと50万/㎥くらいでしょうか。


ダケカンバ

Dakekanba2

 

名称・・・岳樺(Erman’s birch、Gold birch)

その他呼び名・・・

ダケカバ、草紙樺(ソウシカンバ)、エゾノダケカンバ、雑樺(ザツカバ)(原木でマカンバに対し)(*1)

科目・・・カバノキ科カバノキ(Betula)属・落葉広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Betula ermanii

産地・・・北海道~近畿地方、四国の亜高山帯に生える。千島、サハリン、朝鮮、中国東北、ロシア沿岸州、カムチャッカなどにも広く分布。

色調・・・心材は淡紅褐色から淡褐色。辺材は白色。もしくは心材、辺材ともに淡い黄白色、淡褐色。

性質・・・木理:通直~交錯、辺心材の境目:不明瞭、肌目:緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.68

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.31

曲げ強度MPa:103

圧縮強度MPa:47

せん断強度MPa:13.7

曲げヤング係数GPa:12.7

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:中、乾燥:中~やや困難、塗装性:注意

用途・・・造作材、家具、合板

建築内装材、フローリング、車両材、器具材、機械材、パルプ材、薪炭材、曲木細工、彫刻

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

材そのものの性質はほとんどマカンバと同等と考えて良いが、樹幹がマカンバのように素直でない。そのため木理が複雑になり繊維の方向も乱れているものが多い。コブ、腐れなどの欠点もより多く出ると思われる。材質的には同属のマカンバやミズメに劣る(*2)が、それらの代替材として用いられている。樹高10~15mで、大きいものは30mにも達する。樹径0.3~0.6m。年輪はやや不明瞭。材は均質である。乾燥で狂いが生じやすい。カバ材は逆目が多い為、塗装の際色ムラがでやすい。カバノキ属の寿命はシラカバに代表されるように短いものが多いが、ダケカンバは長寿である。

 

*1:ダケカンバは樹形が悪いなどの理由に加え、マカンバのような赤い心材を持たないため、「雑カバ」と称され低い評価を受けているようです。言い換えると材色の赤いマカンバの価値が高いということです。ちなみにシラカバも同様に、小径木が多いことと赤い心材を持たないため「雑カバ」と呼ばれるようです。
*2:一方では「ダケカンバは市場名を雑カバと呼ぶが、赤味が極く少なく、非常に美しい白味の多いものがあり、一般の取引では目白カバといっており、白味の質はマカンバより良く、ネジレもなく真直板や単板がとれるため、突板用として最適である。製材にしても良質で評価がよい。」という話もあります。


タモ

Tamo2

 

名称・・・梻(Ash、Swamp ash)

その他呼び名・・・

谷地梻(ヤチダモ)、オオバトネリコ、シオジ(東北地方、新潟県での呼び名)(*1)

科目・・・モクセイ科トネリコ(Fraxinus)属・落葉広葉樹・環孔材・合弁花類(被子植物)

学名・・・Fraxinus mandshurica var. japonica

産地・・・北海道。本州北・中部(長野県以北)にもごく僅か分布。サハリン、シベリア、樺太、朝鮮、中国にも生える。

色調・・・心材はくすんだ褐色、帯褐色灰白色、淡黄暗褐色。辺材は淡い黄白色。

性質・・・木理:ほぼ通直~やや交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗、硬さ:やや硬い、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.55~0.65

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.31

曲げ強度MPa:93

圧縮強度MPa:43

せん断強度MPa:10.8

曲げヤング係数GPa:9.3

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:強、糊付接着性:中~良好、乾燥:中~困難、塗装性:注意

用途・・・造作材、家具、合板

床廻り材、器具材、土木材、運動具材(バット、ラケット、スキー板など)、化粧用単板。

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)50万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、45㎜

 

その他・・・

同属にアオダモ、トネリコ、シオジ、ホワイトアッシュなどがあり、シオジはヤチダモとして流通。タモはシオジより全体に灰色がかり、銀色の輝くような冴えはないが落ち着いたシックな感覚の木材である。

 

【その他色調等】:年輪は明瞭。時に縮杢(ちぢみもく)などの美しい杢を有する。根際材などに美しい杢が出る。斑の模様不明瞭。表面の仕上げは中くらい。

【その他性質等】:弾力性に富む。材質は北に上がるにつれ糠目(ぬかめ)物が多くなる。ロシア産のタモは糠目物が多く色も冴えない。中国産のタモはほとんど北海道産のものとかわらない。成長が良く年輪幅が広いと比重が高く重厚、成長が悪いと逆に軽軟になる。運動具材には強い成長の良いもの、家具材には加工のしやすい成長の悪いものが好まれる。

【立木での性質等】:高さ25m、直径1m。根本からてっぺんまで幹が真っ直ぐ(直幹)である。湿った山地に多い。北海道の日高や十勝方面で植林が盛ん。

 

*1:本来「シオジ」というと、同属で別種のFraxinus spaethiana を指します。


タブノキ

Tabunoki2

 

名称・・・椨の木(Red laurel)

その他呼び名・・・

犬楠(イヌグス)、タマグス、タブ、ダマ、ダモ、クスダモ、アカタブ、シロタブ、(*1)

科目・・・クスノキ科タブノキ(Machilus)属・常緑広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Machilus thunbergii  Sieb. et Zucc.
シノニム:Persera thunbergii  Kosterm.

産地・・・本州南部から四国、九州、沖縄に自生、瀬戸内海地方には生育していない。朝鮮中南部や台湾、中国にも分布。

色調・・・心材は紅褐色、帯黄紅褐色。辺材は灰白色、淡褐灰白色、淡黄褐色。

性質・・・木理:やや交錯~交錯、辺心材の境目:明瞭(~不明瞭)、肌目:粗、硬さ:軟~硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重: 0.50~0.65(平均値)~0.77

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.36

曲げ強度MPa:69

圧縮強度MPa:39

せん断強度MPa:11.8

曲げヤング係数GPa:8.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):中~やや困難、鉋掛(カンナガケ):中~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:不良、乾燥:中~困難、塗装性:中

用途・・・造作材、家具、合板

器具材、床板、枕木、木魚

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

用途はクスノキと同じ。樹皮はタンニンを含み黄褐色の染料にもする。線香材料の杉粉を固める粘質材として椨粉(タブノキの樹皮から採る)が使われる。

 

【その他色調等】: 斑の模様不鮮明。如鱗杢(じょりんもく)や玉杢の出やすい木で、瘤杢(こぶもく)は美欄(びらん)とか舞葡萄(まいぶどう)と賞されて、花台などの装飾品に使われ人気がある。小口面の年輪はおおむね明瞭だが、柾目・板目面ではやや不明瞭。材の赤みが強いものをアカタブ、赤みが少ないものをシロタブと呼ぶ。

【その他性質等】: アカタブの方がシロタブよりも良質材とされる。割裂性は小さい。

【その他加工等】:仕上がりは中程度。

【立木での性質等】:主に、暖地の海岸地方に生え、樹高15~20m、樹径1.0mに達する。

 

*1:中国名では「楠」みたいです。