木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


マカンバ

Makanba2

 

名称・・・真樺(Monarch birch)

その他呼び名・・・

マカバ、鵜松明樺(ウダイカンバ)、サイハダカンバ、メジロ、メジロカンバ(*1)、樺(椛)(カバ、カンバ)(*2)、樺の木(カバノキ)、カバザクラ、サクラ、バーチ(*3)

科目・・・カバノキ科カバノキ(Betula)属・落葉広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Betula maximowicziana

産地・・・本州中部以北に分布し、多くは北海道に自生する。ヨーロッパや北米、東アジアなど北半球に広く分布。

色調・・・心材は淡い紅褐色、美麗紅褐色、褐色。辺材は淡い紅白色、帯黄白色、白色、淡い桃灰色。

性質・・・木理:ほぼ通直~不整、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.50~0.69

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.31

曲げ強度MPa:103

圧縮強度MPa:47

せん断強度MPa:13.7

曲げヤング係数GPa:12.7

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~やや困難、塗装性:注意~高

用途・・・造作材、建具、家具、合板

床材、器具材、敷居、洋風ドア、鉄道車両材、船舶内装材、机、サイドボード、ピアノのハンマー、スキー台、木彫用の版画台木、紡績用の木管、靴の木型、戦時中は航空機の外板やプロペラ(積層材で)

価格・・・☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、60㎜

 

その他・・・

年輪はやや不明瞭。均質な材。上品な風合いがある。表面の仕上げは良好。斑の模様不鮮明。ベニヤ材としては最高級品。曲げ加工に強い。シラカバがやせ地に育つのに対し、よく肥えた適潤地に生育していて、樹高25~30m、樹径1mくらいまでになる。北海道の代表的な広葉樹の一つだが、戦後の乱伐によって良質なものや、また赤味の濃いマカンバは希少になってきていて、近年入手が難しくなっている。赤身が小さく白太の深い丸太はメジロ(メジロカンバ)と呼ばれる。マカンバの樹皮はリング状に剥げ、油脂分が多く雨中でも火が消えずに良く燃える為、鵜飼の松明(たいまつ)に用いられたことから、鵜松明(うだい)の名前がつけられた。同属に、シラカバ、ダケカンバ、ミズメ(ヨグソミネバリ)などがある。シラカバのことをカバザクラと言うように、この種の木材を業界では「サクラ」と呼んでいるが、サクラとは全くの別種。ヤマザクラの代替材として使われることが多い。民芸家具で使われているミズメザクラと言われている物のほとんどはマカンバである。

 

*1:メジロカンバは、マカンバと他のカバ類との雑種であるとか、マカンバとは全くの別種ではないかという諸説もありますが、詳細は不明です。一般にはウダイカンバのうち心材率の低い(赤身の少ない)ものをメジロカンバ、心材率の高い(赤身の多い)ものをマカンバと呼んで分けていることが多いようです。
*2:「椛」と書いても「カバ」と読みます。ちなみにこの字は「モミジ」とも読みます。正確には「花」の部分は旧漢字の草冠(真ん中で離れている)で書くらしいです。
*3:バーチとだけいうと、北米産のイエローバーチを指すこともあります。


マサランドュバ

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名称・・・マサランドュバ(Macaranduba)

その他呼び名・・・

マニルカラ、マカランドュバ、マサラン、アマゾンチェリー、アマゾンジャラ、アマゾンウリン、ブラジリアンマニルカラ、キニヤ、ホースフレッシュ、カンドーレ、クメアバツ(前2つは原産地での呼び名)

科目・・・アカテツ科マニルカラ(Manilkara)属・常緑広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・

Manilkara spp.
Manilkara huberi Standley、
Manilkara bidentata A. Chev.、
Manilkara surinamensis Miq.(Manilkara bidentata ssp. surinamensis)などを含む。

産地・・・アマゾン、マットグロッソ地域、アマゾン河支流・タパジョス河流域、南米北部のスリナム

色調・・・心材は薄赤色(空気に触れると赤褐色に変わる)。辺材は赤味がかったベージュ色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:1.12

平均収縮率%(柾目方向):0.25~0.28

平均収縮率%(板目方向):0.39~0.44

曲げ強度MPa:176*

圧縮強度MPa:88*

せん断強度MPa:15.7*

曲げヤング係数GPa:22.0*

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):困難、鉋掛(カンナガケ):困難、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:{良好/不良、乾燥:困難、塗装性:高

用途・・・造作材、家具、デッキ材

橋梁部材、海洋構造物、根太、装飾材、階段、フロア材

価格・・・☆~☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・90x20x3000(S4S\400,000/㎥)

150x(40、30)x(2100~4200・300㎜間隔)

120x(30、20)x(2100~4200・300㎜間隔)

105x(30、20)x(2100~4200・300㎜間隔)

90x20x(2100~4200・300㎜間隔)

90x90x(2100~4200・300㎜間隔)

70x70x(2100~4200・300㎜間隔)

70x45x(2100~4200・300㎜間隔)

 

その他・・・

 

【その他色調等】: 表面滑らかで光沢がある。辺材は3~5cm。

【その他性質等】: 乾燥に応じて歪み、ひび割れ等が出やすい。耐久力にすぐれ腐食菌、シロアリに対する抵抗力がある。特にフナクイムシに対する抵抗が強いので海洋構造物に良い。ウリンに比べ樹液が染み出しにくい。寸法安定性があり、ねじれや曲がりも少ない。難燃性が強く耐酸性もある。

【その他加工等】: 密度の高い鋸挽、鉋掛は高馬力が必要。釘打ちは不可能で、道穴、ボルト締めが必要。

【立木での性質等】:樹高は30~40m、樹径1m前後の大木。

 

備考・・・

ウリンとかイペなどと含めて、ハードウッド、アイアンウッドとも呼ばれています。マカランドュバ自体はあまり有名な木ではないので、売り手が色んな名前を付けて売り込んでいる感じがします。東南アジア産の同属(マニルカラ属)の木でクメア(アイリスローズ)という木もあるようです。。。と思いましたがほかの資料ではアイリスローズは中南米産のマメ科となっていますね。詳細は不明です。


マコレ

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名称・・・マコレ(Makore)

その他呼び名・・・

アガモクウエ(ナイジェリアでの呼び名)、バク、アバク(ガーナでの呼び名)、チェリーマホガニー(イギリスでの呼び名)、アフリカンチェリー(アメリカでの呼び名)、マコーレ(マコレー)

科目・・・アカテツ科–(Tieghemella)属・常緑広葉樹・環孔性散孔材・合弁花類(被子植物)

学名・・・Tieghemella heckelii A.Chev

産地・・・熱帯西アフリカ。コードジュボワール、ナイジェリア、ガーナ、シェラレオネ、ガボン、象牙海岸

性質・・・木理:通直~(交錯)、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):強~極強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.66

平均収縮率%(柾目方向):0.19

平均収縮率%(板目方向):0.29

曲げ強度MPa:101

圧縮強度MPa:53

せん断強度MPa:14.3

曲げヤング係数GPa:10.1

加工性・・・鋸挽:容易~やや困難、鉋掛:容易~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:中~困難、塗装性:中~高

用途・・・造作材、建具、家具、合板

楽器、フローリング、彫刻材、突き板(スライスドベニヤ)、キャビネット、壁パネル、造船、海水用の合板

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)60万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、40㎜、46㎜

 

その他・・・

時に濃淡の縞を有するものもある。材により色調に幅がある。木質は均質。仕上げ面には美しい光沢がある。材中にシリカ(ケイ酸石灰)を含み、加工機の刃物の磨耗を早めたり損傷することもある。細かい木粉が鼻の粘膜を刺激し炎症をおこす為、加工は注意が必要。シロアリなどの虫害に強い。カバ材やマホガニー、ミズメ、マカンバなどの代用として使われる事が多い。斑の模様不明瞭。樹高25m、樹径1.5m。釘打の際など、やや割れやすい。美しいリボン杢が現れるのが特徴。粘りがなく曲げに弱い。日本に輸入される数少ないアフリカ材のうち、良く知られているものの代表のひとつ。どちらかというとマカンバやサクラ類のような材面をもつ。湿気があるところで鉄に接すると、黒く汚染することがある。

 

備考・・・

「アメリカンチェリーともいう」という資料が一つだけありましたが、その名前はバラ科の別種類がありますので、その他の名称には入れませんでした。


マツ

 

名称・・・松(Pine)

その他呼び名・・・

黒松(クロマツ)、赤松(アカマツ)、琉球松(リュウキュウマツ)、姫小松(ヒメコマツ)、這松(ハイマツ)、紅松(ベニマツ)、屋久種子五葉(ヤクタネゴヨウ)、肥松(コエマツ)(脂松(ヤニマツ))、アイグロマツ

科目・・・マツ科マツ(Pinus)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・

産地・・・北海道から屋久島まで

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭~やや不明瞭、肌目:緻密~粗、硬さ:軟~硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~強、磨耗耐久性:弱

気乾比重:

平均収縮率%(柾目方向):

平均収縮率%(板目方向):

曲げ強度MPa:

圧縮強度MPa:

せん断強度MPa:

曲げヤング係数GPa:

加工性・・・鋸挽:容易、鉋掛:容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易、塗装性:中~高

用途・・・構造材、下地材、造作材、建具、家具

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

主に日本産のマツ科マツ属の針葉樹の総称。日本では6種類(*1)が自生する。二葉松類の3種類(アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ)と、五葉松類の3種類(ヒメコマツ、ベニマツ、ハイマツ)である。一般にはこれら全てをマツと称しているが、多くはクロマツ、アカマツの事を指すこともある。オマツ、メマツとも呼ぶことがあるが、雄雌の区別ではなく、葉がやや太めで葉先が尖っている男性的なものをオマツ(=クロマツ)、葉が細く葉先がやわらかいものをメマツ(=アカマツ)と呼ばれていたものが定着した。またコエマツ(ヤニマツ)とは樹種を指すのではなく、アカマツ、クロマツの大径木や老木の根に近い部分からとれる脂(ヤニ)の多い材のことである。コエマツ(ヤニマツ)はアカマツよりもクロマツの方が良いものが取れると言われていて、力強く明瞭な杢目と飴色の光沢を持ち、床の間の地板として人気が高い。
クロマツとアカマツの間の雑種があり、アイグロマツと呼ばれている。この木材の性質は極端な例を除けば、クロマツやアカマツとほとんど同じと考えられる。

 

*1:日本に自生するマツには他に、絶滅危惧IB類とされている五葉松類のヤクタネゴヨウと、ヒメコマツの変種とされている五葉松類のキタゴヨウがあります。


マホガニー

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名称・・・マホガニー(Mahogany)

その他呼び名・・・

桃花心木(マホガニー)、ホンジュラスマホガニー、オオバマホガニー、本桃花心木(ホンマホガニー)

科目・・・センダン科マホガニー(Swietenia)属・常緑広葉樹・散孔材(環孔材)・離弁花類(被子植物)

学名・・・Swietenia macrophylla King.

産地・・・中米、および南米のコロンビア、ベネズエラ、ペルー、ボリビア、ブラジルなど。主にホンジュラス、中央アメリカ。

性質・・・木理:通直~ほぼ通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密~やや粗、硬さ:やや硬~硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.51~0.65

平均収縮率%(柾目方向):0.13

平均収縮率%(板目方向):0.19

曲げ強度MPa:80

圧縮強度MPa:46

せん断強度MPa:8.9

曲げヤング係数GPa:10.4

加工性・・・鋸挽:容易~中、鉋掛:容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:容易~中、塗装性:高

用途・・・造作材、家具

彫刻材、楽器、模型、内部装飾材、高級車のダッシュボードやハンドル、シフトノブ、キャビネット、スライスドベニヤ、高級器具、理化学器械の箱

価格・・・☆☆☆

無節材(2000x210x34㎜)80万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜

 

その他・・・

金色の光沢がある。長い間、光にさらすと色合いが濃くなる。柾目面にはリボン杢が現れることがある。寸法安定性に優れる。また天然乾燥の速度も速く、狂いや割裂も少ない。斑の模様不明瞭。粘りがある。比重の割に強度大。表面の仕上りは良好。一見するとメランチ類・ラワン類などに似ている。世界的な銘木のひとつで、特に欧米で高く評価されている。ホンジュラス産のいわゆる「ホンジュラスマホガニー」が最高級とされるが、現在では伐採禁止にされている。今では有用な造林樹種として、アフリカや東南アジアなどの熱帯地域で植栽されている。またボリビアからメキシコを通り南部アメリカまで広く植林されている。マホガニーには上述の種類の他にウェストインディアンマホガニー(キューバマホガニー、スペインマホガニー)(学名:Swietenia mahagonii Jacq.)が知られているが、こちらは西インド諸島に産し、かつてはこちらの方が良質とされていた。しかし現在ではほとんど市場に出てくるようなものはなくなり、入手可能なものは学名:Swietenia macrophyllaのみとされている。ただしこれも最近は丸太材の輸入は不可能で製材品として輸入される。ウェストインディアンマホガニーよりも肌目は緻密だが比べると軽くて弱い。ドイツの顕微鏡メーカー(ツアイス)はマホガニーの収納箱だけしか使わない。

 

備考・・・

マホガニー属には、あとメキシコマホガニー(学名:Swietenia humilis Zucc.)という種類があるようです。同じセンダン科のアフリカンマホガニーやサペリもマホガニーの名で呼ばれることがあるようです。
「桃花心木」と書いて「マホガニー」と読ませるようです。知らなきゃ読めないですよね・・・