木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


ミズメ

Mizume

 

名称・・・水目(Japanese cherry birch)

その他呼び名・・・

水目桜(ミズメザクラ)、夜糞峰榛(ヨグソミネバリ)、梓(アズサ)、アズサカンバ、サクラ、コッパダミネバリ

科目・・・カバノキ科カバノキ(Betula)属・落葉広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・Betula grossa

産地・・・本州、四国、九州の深山に生える。

色調・・・心材は紅褐色。辺材は黄色を帯びた白色。黄白色。心材の色はマカンバに比較すると赤身が濃いといえる。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密~やや緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.60~0.72~0.84

平均収縮率%(柾目方向):0.18

平均収縮率%(板目方向):0.32

曲げ強度MPa:108

圧縮強度MPa:49

せん断強度MPa:14.7

曲げヤング係数GPa:13.7

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):中、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:中、乾燥:中、塗装性:中

用途・・・造作材、家具

器具材、床材、機械材、床柱、洋風の内装用材、漆器木地、版木、柄

価格・・・☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、60㎜

 

その他・・・

日本特産の材。蓄積量はあまり多くない。カンバのなかでは南方系で、関西より西でも目にすることがある。あまり大径木にはならない。樹高20m。年輪はやや不明瞭。表面仕上げは良好。割裂性は小さい。マカンバの特徴と同じく、製品になった時の安定性、材質の均一性などを持っている。木材の保存性は低く、辺材はヒラタキクイムシの害を受けることがある。材が硬くて弾力がある為、古くは梓弓(あずさゆみ)といってミズメで弓を作った。ミズメの名前は、枝でも幹でも傷をつけると水のように樹液をだすことからつけられた。この樹液には香りがあり、香気成分はサロメチール(サルチル酸メチルエステル)で、枝葉にもサロメチールのにおいがあるため、ヨグソミネバリとも呼ばれる。また、カンバの類は取引上よくサクラと呼ばれることがあり、ミズメも若い樹皮や材の外観がサクラに似ていることから、銘木界ではミズメザクラと称される。勿論サクラの類とは関係がない。家具や内装材にはミズメがサクラの名前で使われることが多く、現在では真正のサクラはほとんどないと思われる。

 

備考・・・

シロザクラやキングウッドと呼ぶという資料がありましたが、その一つしか確認できませんでした。真偽は不明です。ちなみにシロザクラと言うと色々あるようで、イヌザクラやミヤマザクラもシロザクラと言うようです。ただ建築用材でシロザクラというと、シラカバを指すことが多いでしょう。


メープル

Haadomeepuru2

 

名称・・・メープル(Maple)

その他呼び名・・・ハードメープルソフトメープル

科目・・・カエデ科カエデ(Acer)属・広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

産地・・・北米、カナダ

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:やや不明瞭~不明瞭、肌目:緻密、硬さ:やや硬~硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:強

気乾比重:

平均収縮率%(柾目方向):

平均収縮率%(板目方向):

曲げ強度MPa:

圧縮強度MPa:

せん断強度MPa:

曲げヤング係数GPa:

加工性・・・鋸挽:容易~やや困難、鉋掛:やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・造作材、建具、家具、合板

価格・・・☆☆☆~☆☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

カエデ科カエデ属の広葉樹の総称

 

備考・・・

日本語でいう「楓(カエデ)」のことですが、一般にメープル材と言えば北米、カナダ産のハードメープルを指す事が多いと思います。広い意味ではソフトメープル類も含めてメープルと呼ぶでしょう。


メルクシマツ

Merukusimatu

 

名称・・・メルクシ松(Merkus pine)(*1)

その他呼び名・・・

メルクシパイン、マークスパイン(*2)、スマトラパイン、ラオスマツ、ベトナムパイン、カンボジアマツ、ミンドロパイン(フィリピンでの呼び名)

科目・・・マツ科マツ(Pinus)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Pinus merkusii Jungh. et de Vriese.

産地・・・ミャンマーからインドシナ(ラオス、ベトナム、カンボジア)さらにフィリピン、インドネシア、マレーシアなど。

色調・・・心材は黄褐色~赤褐色。辺材は黄褐色~赤褐色、淡赤色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:やや不明瞭~明瞭、肌目:粗、硬さ:やや軟、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.39~0.69

平均収縮率%(柾目方向):0.18

平均収縮率%(板目方向):0.30

曲げ強度MPa:114

圧縮強度MPa:48

せん断強度MPa:9.3

曲げヤング係数GPa:12.7

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:中、乾燥:中、塗装性:注意~中

用途・・・造作材

集成材、化粧ベニヤ、杭、パレット、箱、パルプ

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・フリーバン:500x25x4200(集成材\250,000/㎥)

フリーバン:(600、500)x(36、30、25)x4200

 

その他・・・

二葉松の類。かつて天然のものがカンボジアからかなりの量が日本の市場に輸出され、その時カンボジアマツという名で呼ばれていた。カンボジアマツは日本のアカマツの代用として使われ、床柱にも適する。

 

【その他色調等】:独特の光沢を持つ。年輪はかなりはっきりとしているが、造林木の場合、特に幼齢の木材の年輪はそれほどでもない。このため、かつて天然木は高く評価され、造林木からの木材はあまり評価が高いとはいえない。年輪幅が一定であることが特徴。

【その他性質等】:日本産のアカマツ等に材質的に良く似ている。

【その他加工等】: 脂気が多いため塗装性が悪い。

【立木での性質等】:スマトラの山地にある造林地がよく知られていて、その造林地からの木材が日本に輸出されている。

 

*1:「メルクシ松」よりも「メルクシパイン」の呼び名の方が流通では良く使われている気がします。ただ調べた資料の中では「メルクシ松」と扱っているものが多かったのでトップ名称は「メルクシ松」にしました。
*2:マークスパインという呼び名は、メルクシパイン(Merkus pine)の英語読みなのでしょうか。自動車のマスタング(Mustang)をムスタングと呼んでいたようなものですかね?


ヤマザクラ

Yamazakura2

 

名称・・・山桜(Wild cherrytree)

その他呼び名・・・

本桜(ホンザクラ)、桜(サクラ)、シロヤマザクラ、オオヤマザクラ(エゾヤマザクラ、ベニヤマザクラ)、カスミザクラ(オクヤマザクラ)

科目・・・バラ科サクラ亜科サクラ(Prunus)属・落葉広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Prunus jamasakura
又はPrunus donarium Sleb. var.spontanea

産地・・・本州、四国、九州、朝鮮半島

性質・・・木理:ほぼ通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:中~やや硬、腐食耐久性(耐朽性):中、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.48~0.62~0.74

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.31

曲げ強度MPa:103

圧縮強度MPa:44

せん断強度MPa:9.8

曲げヤング係数GPa:11.8

加工性・・・鋸挽:容易~中、鉋掛:容易~中、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:中~やや困難、塗装性:中~高

用途・・・造作材、家具

器具、楽器材、彫刻材、燻煙材(スモークチップ)、版画の台木、ソロバン玉、漆器の木地、薪炭

価格・・・☆☆☆☆☆~

無節材(2000x210x34㎜)200万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

蓄積量は少ない。年輪はやや不明瞭~やや明瞭。心材は褐色で時に暗緑色の縞模様を呈する。磨くと光沢が出る。均質で狂いは少ない。粘りがあり、もろくない。斑の模様不鮮明。樹高20m。割裂しやすいので注意が必要。生育中の虫の害を受け易い。その為か、材にはその傷あとが癒合した組織(ピスフレック)の小さい斑点が多数出ている。ヤマザクラは日本で最もポピュラーで香りの強い燻煙材として人気が高い。樹皮は秋田県角館町の樺皮細工という工芸品などに使われている。家具材などでサクラといっているのは、ほとんどがカバノキ類である。日本に自生するサクラ類には大島桜(オオシマザクラ)、エドヒガン、マメザクラ、丁字桜(チョウジザクラ)などがあり、これらの材はヤマザクラとほぼ同様。その他サクラ類には、本州中部以北、北海道、南千島、サハリン、中国東北部、シベリアなどに分布するシウリザクラ(Prunus ssiori)、北海道、本州、四国、九州に分布するウワミズザクラ(Prunus grayana)など多数の種類、品種がある。木材として利用される量は少なく、むしろ貴重な材料となる。ヤマザクラの樹皮の内側から桜皮と呼ばれる生薬がとれ、煎じて咳の薬としたり、エキスを鎮咳薬として使う。マカンバあるいはミズメなどのカンバ類の木材のことをサクラ、あるいはカバザクラ、ミズメザクラと呼んで、あたかもサクラ類の木材であるように取り扱っているが、カンバ類は色がやや似ている程度で、材面はずっと均一で変化がない。それらと区別するためにヤマザクラはホンザクラと呼ばれる。

 

備考・・・

ヤマザクラの学名は2つあるようです。学名をつけるのに分類学上混乱があったことが原因のようです。ちなみにvar.spontaneaとは「自生する」という意味の学名らしいです。


ラジアータパイン

Rajiatapain2

 

名称・・・ラジアータパイン(Radiata pine、Monterey pine)

その他呼び名・・・

ラジャータパイン、ラジアタ松(ラジアタマツ)(ラジアータマツ、ラディアタマツ)、ニュージーランド松(ニュージーランドマツ)、ニュージ松(ニュージマツ)、チリ松(チリマツ)、モントレーマツ、モントレーパイン

科目・・・マツ科マツ(Pinus)属・針葉樹・裸子植物

学名・・・Pinus radiata

産地・・・ニュージーランド、オーストラリア、チリ、南アフリカなど。原産は北米のカリフォルニア(モントレー地区)。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭~やや不明瞭、肌目:粗~やや粗、硬さ:やや軟~硬、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.44

平均収縮率%(柾目方向):0.10

平均収縮率%(板目方向):0.24

曲げ強度MPa:69

圧縮強度MPa:32

せん断強度MPa:8.8

曲げヤング係数GPa:8.3

加工性・・・鋸挽:良好~やや困難、鉋掛:中~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:良好~やや困難、塗装性:注意

用途・・・構造材、下地材、建具、家具、合板

ウッドデッキ、梱包用木箱、パレット、割箸、パルプ、杭、集成材、床材

価格・・・☆

  • メーカー・・・

一般流通サイズ・・・シキ板:200x27x4000(一等\50,000/㎥)

 

その他・・・

南半球で広く植栽されている。日本に大量に輸入されているのは全て造林木。年輪幅が非常に広いことが多い。また大きい節が多数出る為木材としては低い評価を受けている。大きな節が出てくると加工しにくくなるが、節の無い部分の加工は容易。成長の早い樹の幹の髄に近い部分では年輪があまりはっきりしないことが多いが、外側へ行くとマツ類らしい年輪を形づくるようになる。樹心に近い部分の強度は低い。葉が三本一組になる三葉松の仲間。成長が非常に早い木で、20年で樹高25~30mになる。ニュージーランドでは植林してから25~30年サイクルで伐採し植林する輪伐で木材を生産している。斑の模様不明瞭。仕上り面は良好。マツ科特有の樹脂が非常に強い。防腐処理をして一般構造用材に使われるが、建築では主に下地材として使われる。


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