木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


セランガンバツー

Seranganbatu3

 

名称・・・セランガンバツー(Selangan batu)

その他呼び名・・・

バツー、バンキライ(インドネシアでの呼び名)、バラウ(マレーシアでの呼び名)、ヤカール、ギホ(フィリピンでの呼び名)、サル(サール)(インドでの呼び名)、玉檀(ギョクタン)(中国での呼び名)、イエローバラウ、パラウイ、チェンガイ、ボルネオオーク、テン、レッドセランガン(赤バツウ)、白バツウ

科目・・・フタバガキ科ショレア(Shorea)属(Shorea亜属)・常緑広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・

Shorea spp.
Shorea foxworthyi
Shorea laevis
Shorea astylosa
Shorea maxwelliana
Shorea robusta (サール、サル)、
Shorea guiso (ギホ)、
Shorea obtusa (テン)、
Shorea seminis などを含む

産地・・・インドネシア、インド、スリランカ(セイロン島)、マレーシア、フィリピン、ボルネオ島などの東南アジア

色調・・・心材は黄褐色、濃赤褐色、緑色を帯びた褐色など。辺材は淡色、淡黄色で時々灰色のしみがある。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:やや明瞭、肌目:緻密~やや緻密、硬さ:極硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.84~1.10

平均収縮率%(柾目方向):0.20

平均収縮率%(板目方向):0.43

曲げ強度MPa:113*

圧縮強度MPa:55*

せん断強度MPa:12.7*

曲げヤング係数GPa:15.7*

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):注意(やや困難)、鉋掛(カンナガケ):注意(やや困難)、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:注意、乾燥:注意(やや困難)、塗装性:中

用途・・・造作材、ウッドデッキ
柱、梁、根太、タルキ、敷居、土台、屋根板、器具の柄、重構造物、枕木、橋梁、波止場、船の骨組・甲板、車のスポーク、車軸、窓枠

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・90x20x2000(S4S(四面プレナー)・E4E(面取り)\300,000/㎥)

120x30x(4000、3700、3000、2700、2000)

105x30x(4000、3700、3000、2700、2000)

105x20x(4000、3700、3000、2700、2000)

90x20x(4000、3700、3000、2700、2000)

105x105x(4000、3700、3000、2700、2000)

90x90x(4000、3700、3000、2700、2000)

70x70x(4000、3700、3000、2700、2000)

55x45x(4000、3700、3000、2700、2000)

90x45x(4000、3700、3000、2700、2000)

 

その他・・・

セランガンバツーはインドネシアでの呼び名。セランガンバツーの「バツー」とは石という意味。比重の重いもの(0.84~1.09)をセランガンバツー(白バツウ)、比重の比較的軽いもの(0.8前後)をレッドセランガン(赤バツウ)と呼んでいる。

 

【その他色調等】:外観上はメランチ類と良く似ている。色調は外気に曝せば暗色に変色する。新しく切断した面は光沢があり、また時々蝋様に見える。

【その他性質等】:反り、割れ、ねじれなどにとても強く、耐久性においても10~20年あるといわれている。丸太が大きい為大断面をとることができる。害虫にも比較的強く、日本ではデッキ材として良く使用されている。欠点として材の中に木の成長中に入ったピンが見られることがある。

【立木での性質等】:地域によっては樹高50m、樹径1.0mの大径木もある。


セン

Sen

 

名称・・・栓(Castor aralia)

その他呼び名・・・

線木(センノキ)、針桐(ハリギリ)、山桐(ヤマギリ)、ボウダラ、ツブ(関西方面での呼び名)、オニセン、ヌカセン、テングウチワ

科目・・・ウコギ科ハリギリ(Kalopanax)属・落葉広葉樹・環孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Kalopanax septemlobus Koidzumi
シノニム(異名):Kalopanax pictus Nakai

産地・・・日本各地に自生するが、多くは北海道。またサハリン(樺太)、朝鮮、中国にも分布

色調・・・心材は淡灰白色、淡灰褐色、淡黄褐色、黄白色。辺材は淡黄白色、白色。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:(明瞭~)やや不明瞭、肌目:やや粗、硬さ:軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.40~0.52(平均値)~0.69

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.34

曲げ強度MPa:74

圧縮強度MPa:36

せん断強度MPa:7.4

曲げヤング係数GPa:8.3

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~中、塗装性:高

用途・・・造作材、家具、合板

下駄材、漆器下地、器具

価格・・・☆☆☆

無節材(2000x210x34㎜)75万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、46㎜

 

その他・・・

木材としては「セン」、樹木としては「ハリギリ」と呼ばれる。木材をオニセンとヌカセンと呼び2種あるとすることがある。オニセンは年輪幅が広く、より重硬で乾燥などで狂い易く、ヌカセンは年輪幅が狭く、より軽軟で加工し易い。ヌカセンは家具用に好まれる。一般に樹木の成長が良い若い時期に形成された木材では、年輪幅が広くなるので年輪内に占める環状の道管の部分の割合は少なくなり、繊維の部分の割合が増える。これによりその年輪内の細胞の壁の量が増え比重が増加することになる。逆に樹齢を重ねると年輪幅が狭くなり、比重は低くなる。合板用材としても広く使われ、特に北海道セン合板は海外で高い知名度がある。

 

【その他色調等】:年輪幅は極めて狭く明瞭。板目面は光沢が有り年輪模様が美しい。面白い杢を現わすものもある。木目が高級材のケヤキに似ることから、着色して代替品に使われることがある。違いはケヤキより軽いので判る。斑の模様不明瞭。

【その他性質等】:わりあい大径の材で欠点が少ない。比重の割りに強い。

【その他加工等】:狂いやすいので十分な乾燥が必要。

【立木での性質等】:樹高25m、樹径1m。北海道の東北部方面から良材が出材される。肥沃な地に生育する。枝は太く、若木の時に鋭いとげが多いことからハリギリとも呼ばれる。


ソフトメープル

Sohutomeipuru2

 

名称・・・ソフトメープル(Soft maple)

その他呼び名・・・

レッドメープル(アメリカハナノキ、ルブラカエデ、アカカエデ、ベニカエデ)、シルバーメープル(ギンカエデ、ギンヨウカエデ)、ボックスエルダー(ネグンドカエデ、トネリコバノカエデ)、ビッグリーフメープル

科目・・・カエデ科カエデ(Acer)属・広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Acer rubrum(レッドメープル)、

Acer saccharinum(シルバーメープル)、

Acer negundo(ボックスエルダー)、

Acer macrophyllum(ビッグリーフメープル)

産地・・・アメリカ東部、西海岸地域、カナダ

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:やや不明瞭、肌目:緻密、硬さ:やや硬~硬、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.53(シルバーメープル)~0.61(レッドメープル)

平均収縮率%(柾目方向):3(シルバーメープル)~4(レッドメープル)

平均収縮率%(板目方向):7.2(シルバーメープル)~8.2(レッドメープル)

曲げ強度MPa:61(シルバーメープル)~92(レッドメープル)

圧縮強度MPa:36(シルバーメープル)~45(レッドメープル)

せん断強度MPa:10.2(シルバーメープル)~12.7(レッドメープル)

曲げヤング係数GPa:7.8(シルバーメープル)~11.3(レッドメープル)

加工性・・・鋸挽:容易、鉋掛:やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・造作材、建具、家具、合板

モールディング、パレット、梱包材、枕木、壁パネル、バターのコンテイナー、楽器

価格・・・☆☆☆(*1)

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

ソフトメープルは、木質が似ている材を総称して呼んだ名で、ソフトメープルという名の種類があるのではない。ソフトメープル類の樹種のうち用材として重要なのは、レッドメープル、シルバーメープル、ボックスエルダーの3種類。心材は淡褐色から淡赤褐色、淡褐灰色(偽心赤褐色)、時々灰色あるいは緑色を帯びたり、あるいはかすかに紫色を帯びることがある。辺材は灰白色、ほぼ白色。年輪はあまり鮮明でない。美しく仕上がる。ゆっくり乾燥し、狂いはほとんどない。虫害には弱い。斑の模様不明瞭。木理が曲がりくねることもある。シルバーメープルはハードメープルと混生しており、ビッグリーフメープルはオレゴン州に生育している。シルバーメープルにはWhite、River、Water、Swampなどの樹種があり、東部で庭園樹として植林されている。またボックスエルダーも東部にある。樹径1m。ビッグリーフメープルは材質がやや柔らかな木材。ハードメープルよりも一般的に25%程度柔らかいとされる為、強さ硬さへの要求度が特に高くなければほとんどハードメープルと同様に使用されている。時に虫穴からゴミが入ってできた暗い縞模様をもつ材は、壁パネルや家具などに賞用されている。

 

備考・・・

ボックスエルダーは、三つ葉楓種でThree-leaved MapleやAsh-leaf Mapleなどの樹種があるようです。

 

*1:平割材などでは、あまりばら売りをしていません。バンドルで買うか、少量ならハードメープルを使った方が無駄はないでしょう。


ダークレッドメランチ

Dakureddomeranti2

 

名称・・・ダークレッドメランチ(Dark red meranti)

その他呼び名・・・

セラヤ、レッドラワン(レッドフィリピンマホガニー、アカラワン)、ネメス、タンギール(フィリピンマホガニー)

科目・・・フタバガキ科Shorea属Rubroshorea亜属・広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・

Shorea spp.
Shorea pauciflora(ネメス)、

Shorea curtisii(セラヤ)、

Shorea negrosensis(レッドラワン)、

Shorea polysperma(タンギール)などを含む

産地・・・タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどの東南アジア

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭~(不明瞭)、肌目:粗、硬さ:やや硬、腐食耐久性(耐朽性):やや弱~中、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.48~0.55~0.74

平均収縮率%(柾目方向):0.15

平均収縮率%(板目方向):0.28

曲げ強度MPa:100

圧縮強度MPa:49

せん断強度MPa:10.0

曲げヤング係数GPa:11.7

加工性・・・鋸挽:容易~中、鉋掛:容易、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:良好、乾燥:注意、塗装性:注意

用途・・・建具、家具、合板

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

柾目面にはリボン杢が認められる。丸太の小口のブリットルハート(縦の繊維がなくなる状態)が認められる。ライトレッドメランチを含めると約70種ある。この類の木材はShorea属のRubroshorea亜属の樹種からの木材のうち濃色のものをいう。この類の一種であるタンギールはフィリピンマホガニーと呼ばれ、米国市場へさかんに輸出されたことがある。本物のマホガニーとは全く違う木材だが、色が似ていることからこう名付けて売り込んだのだと思われる。メランチ類の特徴である同心円状に配列する軸方向細胞間道(樹脂道)が多数はっきりと見える。濃色の木材だが成長が良いとライトレッドメランチのように淡色になり比重が低くなるので見分けがつかなくなる。気乾比重がライトレッドメランチ類は0.64以下、ダークレッドメランチ類は0.64以上0.80以下というような区別の仕方がされている。元来この類がラワンやメランチ類の典型的なもの。南洋材のなかのいわばスタンダードといえる。辺材はキクイムシ類の害を受ける。防腐剤の注入はしがたい方である。乾燥時に狂いが出やすい。

 

備考・・・

その他の呼び名にある「レッドラワン」というと、レッドメランチもそう呼ぶことがあるようです。ただ本来はダークレッドメランチのほうが近い感じがします。


タウン

Taun2

 

名称・・・タウン(Taun)

その他呼び名・・・

マトア、カサイ、マルガイ、ソロモンマホガニー、ニューギニアマホガニー、蕃竜眼(バンリュウガン)

科目・・・ムクロジ科ポメティア(Pometia)属・常緑広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Pometia pinnata Forst.

産地・・・台湾、スリランカを含む東南アジアからパプアニューギニア、ソロモン諸島を経てサモアに分布。

色調・・・心材は桃褐色から濃赤褐色。辺材は淡い褐色から赤褐色、灰白色。

性質・・・木理:通直ないし、やや交錯、辺心材の境目:やや明瞭~明瞭、肌目:やや粗~粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重: 0.58~0.79

平均収縮率%(柾目方向):0.21

平均収縮率%(板目方向):0.27

曲げ強度MPa:101

圧縮強度MPa:44

せん断強度MPa:11.3

曲げヤング係数GPa:12.3

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~やや困難、鉋掛(カンナガケ):容易~注意、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:困難、塗装性:中

用途・・・造作材、家具、合板

床板、キャビネット、椅子・テーブルなどの脚物家具、屋内用構造材

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜

 

その他・・・

およそ3樹種あるが、材質が似ているため一括してタウンと呼ばれている。但し今では樹種は1種で、材質の違いは環境などの因子によるものと考えられている。「タウン」はパプアニューギニアからソロモンでの呼び名。インドネシアのカリマンタン方面では「マトア」と呼ぶ。日本への入荷はパプアニューギニアやソロモン諸島からが多い。メランチなどのように大量には得られない。日本の家具工業は、かつて大量のブナを材料として使ってきていたが、ブナの枯渇に伴ってその代替として、このタウンが取り上げられるようになった。また腐食や磨耗に強いことや、木目や色調が似ていることからマホガニーの代替材としても使われる。

 

【その他色調等】:斑の模様不鮮明。独特の光沢を有し、時に柾目面にリボン杢が現れる。

【その他性質等】:一般に、丸太の形が悪いことが多い。マトアの材質はタウンより少し柔らかく、疎で波状木理もあまりない。

【その他加工等】:表面の仕上がりは良好。釘を打ち込んだ際に損傷が出易いため、工夫が必要。乾燥時に反りや落ち込みが出やすい。

【立木での性質等】:樹高30~40m、樹径0.7~0.8m。