キリ

Kiri

 

名称・・・桐(Paulownia)

その他呼び名・・・

会津桐(アイズキリ)、南部桐(ナンブキリ)、備後桐(ビンゴキリ)、越後桐(エチゴキリ)、日本桐(ニホンギリ)、シラギリ、泡桐(ホウトウ)、白桐(ハクトウ)(前2つは中国での呼び名)

科目・・・ゴマノハグサ科(*1)キリ(Paulownia)属・落葉広葉樹・散孔材に近い環孔材・合弁花類(被子植物)

学名・・・Paulownia tomentosa

産地・・・日本に野生のものはなく、北海道南部以南で植栽される。最近ではブラジル、パラグアイ、マレーシア、中国、台湾、アメリカ等にも植栽されている。特に会津(福島県)、南部(岩手県)、備後(岡山県から広島県東部)、越後(新潟県)、茨城県などが著名な産地。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:やや粗、硬さ:軟、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.19~0.30

平均収縮率%(柾目方向):0.09

平均収縮率%(板目方向):0.23

曲げ強度MPa:34

圧縮強度MPa:20

せん断強度MPa:5.4

曲げヤング係数GPa:4.9

加工性・・・鋸挽:容易~中、鉋掛:容易~注意、釘打保持力:中、糊付接着性:良好、乾燥:容易~困難、塗装性:注意

用途・・・造作材、建具、家具

タンス、下駄材、楽器材(琴、琵琶など)、箱材、金庫の内箱材、器具、内装材、羽子板、人形、仮面、彫刻、火鉢

価格・・・☆☆☆☆

無節材(2000x210x34㎜)100万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

心材、辺材共くすんだ白色、淡灰白色、淡褐色。ときに材面がやや紫色を帯びることがある。アクが強く、アク抜きを怠ると年月を経て徐々に黒ずむ。会津桐、南部桐が有名。日本には中国から伝来したとされ、アメリカにも自生する。成長が早く短期間で木材が得られる樹種である。樹高10m。髄は空洞となる。日本の木材中最も軽い。研磨すると光沢が出る。熱伝導率が極めて小さく、発火しにくい。また火に対しては表面が直ぐに焦げて炭化しそれ以上の中が燃えなくなる。水に対する吸湿性、吸水性が著しく小さく、水分による収縮、膨張が殆どない。湿気を通過することが少なく、割れ、狂いが少ない。斑の模様不鮮明。桐は梅雨入り前に伐採され、梅雨の長雨にさらされて灰汁(アク)が抜け綺麗な白銀色になり冴えた光沢が出る。この方法以外では材色が冴えず使用後に木が動いて使い物にならないと言われる。日本桐の他に、台湾桐(タイワンギリ:Paulownia kawakamii)(*2)や九重桐(ココノエギリ:Paulownia fortunei)(*3)などの種類があるが見分けは困難。

 

備考・・・

キリを分類するとニホンギリとタイワンウスバギリ、チョウセンギリ(Paulownia coreana Ueki)、ラクダギリに細分されるそうです。このうちチョウセンギリは材質も良く長命で銘木が多いようで、会津桐はこの種であると言われています。またウスバギリ(Paulownia elongata)という種類もあるようですが、詳細は不明です。
あと生産地名をつけた名称で「島桐」というのもあるようですが、これも詳しく分かりませんでした。

 

*1:ノウゼンカズラ科、もしくは独立のキリ科とする意見もあります。

*2:台湾桐はおもに中国や台湾産のようです。
*3:九重桐は中国、台湾のほか、南米で植栽されているようです。