名称・・・樟(楠(*1))(Camphor wood、Camphor tree)
その他呼び名・・・
クス、アオグス、イシグス、ナンジャモンジャ(ナンジャモンジャノキ)(*2)
科目・・・クスノキ科クスノキ(Cinnamomum)属(*3)・常緑広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)
学名・・・Cinnamomum camphora (L.) Presl
産地・・・本州(関東以南)、四国、九州などの暖地、特に海岸に多い。台湾、中国、済州島にも分布。
色調・・・心材は帯黄紅褐色、黄褐色、紅褐色~部分的に暗緑を帯びた褐色。辺材は淡黄白色、灰白色~淡黄褐色。
性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭(なだらか)~やや不明瞭、肌目:(緻密~)やや粗、硬さ:やや軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):(弱~)強、磨耗耐久性:中
気乾比重:0.41~0.52(平均値)~0.69
平均収縮率%(柾目方向):0.13
平均収縮率%(板目方向):0.25
曲げ強度MPa:69
圧縮強度MPa:39
せん断強度MPa:9.8
曲げヤング係数GPa:8.8
加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~やや困難、鉋掛(カンナガケ):容易~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~注意、乾燥:中~やや困難、塗装性:中
用途・・・造作材、建具、家具
欄間、床柱、仏壇、彫刻用材、タンスの引き出し、衣装箱、器具、楽器、木象嵌、木魚、庭園樹、街路樹、古代には丸木舟
価格・・・☆☆☆
メーカー・・・
一般流通サイズ・・・平割:34㎜、45㎜
その他・・・
「楠(*1)」は南国から渡来した木を意味する。材や葉から樟脳(しょうのう)が採取される。
【その他色調等】:心材の色はどちらかといえば不安定。材はくすんだように見えることもあるが、根瘤(こんりゅう)が付きやすく時に玉杢や葡萄杢などの美しい杢が出ることもある。斑の模様不鮮明。年輪ははっきりしている。仕上りは中庸。
【その他性質等】:耐湿性に優れる。材のままでも芳香が強く、虫害を防ぐ効果がある。
【その他加工等】:乾燥時に狂いが出やすい。加工は容易だが、逆目を起こし易い。
【立木での性質等】:樹高は20m以上、樹径2.0mに達する。成長が早い上に長命。鹿児島県、熊本県、宮崎県には天然記念物の指定を受けている大木がある。特に鹿児島県の「蒲生(かもう)のクス」は有名で目通り周囲約24m、樹高30m、推定寿命850年。
*1:一般的に「楠」の字はクスノキと読みますが、本来は中国のタブノキを指す字で、タブノキと読む事があるようです。
*2:見慣れない立派な樹木に対して地元の人々が付けた愛称のようなもので、モクセイ科のヒトツバタゴもこう呼ばれるようです。
*3:和名をニッケイ属と呼ぶ事もあります。