木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


イチョウ

Ichou2

 

名称・・・銀杏(公孫樹、鴨脚樹)(*1)(Ginkgo、Maidenhair tree)

その他呼び名・・・乳の木(チチノキ)

科目・・・イチョウ科イチョウ(Ginkgo)属・落葉針葉樹・裸子植物

学名・・・Ginkgo biloba L.

産地・・・日本全国で栽培されている。中国原産とされるが自生地は不明。

色調・・・心材、辺材共淡黄色、帯黄白色。

性質・・・木理:通直~ほぼ通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:緻密、硬さ:中庸~やや硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:やや強

気乾比重:0.55

平均収縮率%(柾目方向):0.09~0.12

平均収縮率%(板目方向):0.15~0.20

曲げ強度MPa:26~46

圧縮強度MPa:41~45

せん断強度MPa:5.2~6.6

曲げヤング係数GPa:3.6~5.6

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:やや強、糊付接着性:中~良好、乾燥:やや困難~良好、塗装性:中

用途・・・造作材、家具

天井板、器具材(碁盤・将棋盤(普及品として)、算盤珠、まな板、洋服の裁板など)、彫刻材(印判、版木、木魚など)、漆器木地

価格・・・☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、45㎜

 

その他・・・

庭木や街路樹としておなじみ。ヨーロッパでは、イチョウは1億年前の中生代に世界中で栄え17属あったとされるが、その後絶滅したと考えられていた。それが日本に存在するというので大反響を引き起こし、進化論の父ダーウィンはイチョウを「生きている化石」と呼んだ。裸子植物門イチョウ綱の中で、唯一の現存している種である。人工造林をするようなことはない為、大量に使われることはない。

 

【その他色調等】:仕上がりは良い。早材(春目)と晩材(秋目)の差が少なく、広葉樹の散孔材と同じく木目はやや不明瞭。太い木に成長すると偽心が出来る。斑の模様不明瞭。材色がカヤ材に似ている。

【その他性質等】:材は緻密で美しい。全体に均質で、狂いも少ない。樹内に栄養を貯蔵するシステムが発達している為大木になりやすく、幅広い板が採れる。

【立木での性質等】:成長が早く、樹高30~40m、樹径5mくらいまで成長する。公害に強く、刈り込みに耐える。葉は扇形で広葉樹に間違えられるが、針葉がつながったもので、秋に黄変する。雌雄異株。秋に黄色の種子を結び、内に白色硬質の核がある。これを「ぎんなん」と言い食用となる。

 

*1:「公孫樹」や「鴨脚樹」と書いてイチョウと読むようです。「公孫樹」は孫の代に実る木という意味から、「鴨脚樹」は葉の形が鴨の足の形に似ていることから付いた漢名のようです。


イペ

Ipe2

 

名称・・・イペ(Ipe)

その他呼び名・・・

タベブイア(タベブヤ)、ラパチョ(ラバッチヨ)、ロッショ、グアヤカン(Guayacan)(パナマでの呼び名)、イペタバコ、Pau d’arco(ブラジルでの呼び名)、Amapa(メキシコでの呼び名)、Cortez(ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカでの呼び名)、Guayacan polvillo(コロンビアでの呼び名)、Fior amarillo(ベネズエラでの呼び名)、Green heart(スリナムでの呼び名)(*1)、Madera negra(エクアドルでの呼び名)、Tahuari、Lapacho negro(パラグアイでの呼び名)

科目・・・ノウゼンカズラ科タベブイア(Tabebuia)属・常緑広葉樹・散孔材・合弁花類(被子植物)

学名・・・

Tabebuia spp.
Tabebuia serratifolia
Tabebuia arellanedae Lorenz、
Tabebuia ipe などを含む

産地・・・ブラジル、ペルーなど南米アマゾン川流域、チリを除く全ての中南米地域。

色調・・・心材は黄色がかった緑褐色、やや緑色を帯びた褐色から黒に近い褐色。辺材は黄白色、白色。

性質・・・木理:(幅の狭い)交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:超硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.96~1.28

平均収縮率%(柾目方向):0.21

平均収縮率%(板目方向):0.29

曲げ強度MPa:181

圧縮強度MPa:97

せん断強度MPa:14.2

曲げヤング係数GPa:22.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):やや困難、鉋掛(カンナガケ):やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・構造材、

土台、梁、窓枠、ドア、ウッドデッキ(重歩行用)、フローリング、船舶材、桟橋、木橋、枕木、電柱、杭、工場の床、車体、轆轤(ろくろ)細工、器具柄、ステッキ、弓、釣竿、化粧単板

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)60万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・90x20x2400(S4S:四面プレナー・E4E:面取り\450,000/㎥)

150x40x(1800~4200、300㎜ピッチ)

120x30x(1800~4200、300㎜ピッチ)

105x20x(1800~4200、300㎜ピッチ)

90x20x(1800~4200、300㎜ピッチ))

100x100x(1800~4200、300㎜ピッチ)

90x90x(1800~4200、300㎜ピッチ)

70x70x(1800~4200、300㎜ピッチ)

 

その他・・・

数種あり、熱帯アメリカ産の重硬な木材の代表的なものの一つ。日本では最近話題になるようになった。原木が大きい分、5m以上の材も成材可能なため港湾施設など広い面積のデッキなどにも対応。

 

【その他色調等】:表面の仕上りは良好。心材は新鮮な時は黄緑色であるが時が経てば緑色を帯びた褐色になる。時には色の違いによる不均一な筋がでる。

【その他性質等】:反りやひび割れが少なく材の安定性が高い。耐水性、防虫性に優れる。道管中に黄色いラパコールを含んでいることが特徴で、この成分が防虫効果をもたらす。防虫処理不要の状態で屋外の使用に十分耐える。病中害、白蟻に対する抵抗性は高いが海虫に対しては弱い。

【その他加工等】:製材時にラバーコールのよる皮膚炎を起こすことがあるので注意が必要。

【立木での性質等】:中南米から採れるイペは樹高40m、径1.3mの大径木。

 

*1:その他の呼び名で「Green heart」と書きましたが、クスノキ科のグリーンハートという別種類があります。スリナムでグリーンハートと言えばたぶんクスノキ科の方のことを言ってると思います。


ウォルナット

Walnut2

 

名称・・・ウォルナット(Black walnut)

その他呼び名・・・

ブラックウォルナット、アメリカンウォルナット、アメリカンブラックウォルナット、イースタンブラックウォルナット、ウォールナット(オールナット)

科目・・・クルミ科–(Juglans)属・落葉広葉樹・散孔材ないし半環孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Juglans nigra L.

産地・・・アメリカ東部、カナダのオンタリオ州など。特にミズーリー、オハイオ、インディアナなどが主産地。

性質・・・木理:一般に通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗、硬さ:やや硬、腐食耐久性(耐朽性):やや弱~中、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.63

平均収縮率%(柾目方向):0.16

平均収縮率%(板目方向):0.23

曲げ強度MPa:100

圧縮強度MPa:52

せん断強度MPa:9.3

曲げヤング係数GPa:12.3*

加工性・・・鋸挽:容易~中、鉋掛:容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~中、塗装性:高

用途・・・{構造材、{下地材、造作材、建具、家具、{合板

工芸用材、銃床材、フローリング材、内装パネル材、楽器材、突き板

価格・・・☆☆☆☆☆

無節材(2000x210x34㎜)120万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:30㎜、45㎜

 

その他・・・

不規則な濃淡の縞を有することが多い。狂いは少ない。ペンキやステインによくなじみ、艶出し加工で美しく仕上がる。衝撃に強い。斑の模様不鮮明。粘りがある。経年変化によりタンニンの影響で黒くなる。水を含むと腐りやすい。木理はしばしば不規則になり、このことが材面の化粧的な価値を高める。日本のオニグルミがウォルナットに属する。チーク、ローズウッド、マホガニーと並んで世界的な高級材。またチーク、マホガニーと共に世界三大名木のひとつ。蓄積は非常に少なくなっている。同属にアメリカ西海岸に生育するカリフォルニアウォルナット(学名:Juglans california)とヒンズウォルナット(学名:Juglans hindsii)があり、材面がブラックウォルナットと良く似ており、区別することは難しい。これら2種は市場ではクラロウォルナットと呼ばれている。

 

備考・・・

同属で、東南アジア(インド)や中東(イラン)産のイーストインディアンウォルナット(セイヨウグルミ、ペルシャクルミ)(学名:Juglans regia)もウォルナットと呼ばれるようです。


ウリン

Urin2

 

名称・・・ウリン(Ulin)

その他呼び名・・・

ベリアン(ビリアン)、タブリン、テリアン、ボルネオアイアンウッド、柚檀(ユタン)、ボルネオ鉄木(ボルネオテツボク)、マラガンガイ、アイアンウッド

科目・・・クスノキ科–(Eusideroxylon)属・常緑広葉樹・{散孔材/環孔材/放射孔材・被子植物

学名・・・

Eusideroxylon malagangai、

Eusideroxylon zwageri

産地・・・インドネシア、マレーシア原産、ボルネオ、フィリピン

性質・・・木理:通直~やや交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.92~1.04

平均収縮率%(柾目方向):0.24

平均収縮率%(板目方向):0.44

曲げ強度MPa:185*

圧縮強度MPa:89*

せん断強度MPa:18.1*

曲げヤング係数GPa:18.3*

加工性・・・鋸挽:容易、鉋掛:容易、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:困難、乾燥:困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・浮桟橋、橋梁、ウッドデッキ、船舶材、床材

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・90x20x3000(S4S\350,000/㎥)

90x20x(2000、2700、3000、3700、4000)

105x20x(2000、2700、3000、3700、4000)

105x30x(2000、2700、3000、3700、4000)

120x30x(2000、2700、3000、3700、4000)

70x70x(2000、2700、3000、3700、4000)

90x90x(2000、2700、3000、3700、4000)

55x45x(2000、2700、3000、3700、4000)

 

その他・・・

色のバラツキが少ない。心材は薄褐色だが、乾燥すると濃褐色へ変色する。材質が安定していて、割れ、反り、曲がり等の狂いが少ない。白蟻、フナクイ虫等の虫害に強い。木材に含まれている樹液(タンニン)が染み出すことがある。加工によってとても滑らかな表面に仕上げる事ができる。心材は極めて注入処理がしにくい。0.5%までのシリカを含む。1950年から1996年7月まで輸出禁止であったため、日本ではあまりなじみのない名前だが、現地では100年耐える木として伝えられ、欧米諸国では高い評価を得ている。


エスピーエフ(SPF)

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名称・・・SPF

その他呼び名・・・

科目・・・–科–(–)属・針葉樹・裸子植物

学名・・・

産地・・・北米、カナダBC州内陸部からアルバータ州及びそれ以西の各州。

色調・・・心材、辺材共白色~黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:{緻密/粗、硬さ:軟、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:

平均収縮率%(柾目方向):

平均収縮率%(板目方向):

曲げ強度MPa:

圧縮強度MPa:

せん断強度MPa:

曲げヤング係数GPa:

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:{良好/不良、乾燥:{容易/困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・構造材、下地材

価格・・・☆

メーカー・・・TLOKO、CANFOR

一般流通サイズ・・・(*1)ツーバイフォー(2x4):90x40x3660(KD一等\65,000/㎥)

2x4:90x40x(2340、3050、3660、4270、4880、5490、6100)

2x6:143x40x(〃)

2x8:190x40x(〃)

2x10:241x40x(〃)

2x12:292x40x(〃)

 

その他・・・

スプルース(Spruce:トウヒ類)、パイン(Pine:マツ類)、ファー(Fir:モミ類)の略。商業上の用語。性質にそれ程の差異がなく特に樹種を区別する必要のないものを一括して販売する為に設けられた名称。カナダ産SPFと区別してアメリカ西部一帯の内陸部に生育しているものをアメリカ産SPFと呼ぶ。多くはディメンションランバー(厚さ2~4インチの表面仕上げした針葉樹製品)として出荷される。主要な樹種はカナダ産SPFがホワイトスプルース、エンゲルマンスプルース、ロッジポールパイン、アルパインファーの4種類で、その他フランクスプルース、バルサムファー、ジャックパインが一体となっている。アメリカ産のSPFの主要な樹種はエンゲルマンスプルース、シトカスプルース、ロッジポールパインの3種類で、その他ジャックパイン、バルサムファー、イースタンスプルース、ノルウェーパイン等がある。

 

備考・・・

いわゆるツーバイフォー(2x4)材です。ツーバイ材とも呼んでいます。2x4住宅の骨組みに使われています。2007年8~9月くらいにベイツガとかオウシュウアカマツが値上がりして、代わりに値上がりの少ないSPFのツーバイ材がタルキとかに使われたりしていました。

 

*1:一般流通サイズで書いた寸法は呼び寸法です。実際の寸法は若干小さいです。言ってる寸法と実際の寸法が違っているなんて、分かりにくいですよね。ちゃんと寸法通りにできてる木材既製品もあるので私には理由は良くわかりません。