木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


アフリカンマホガニー

 

名称・・・アフリカンマホガニー(African mahogany)

その他呼び名・・・カヤ(*1)、アフリカ桃花心木(アフリカマホガニー)、アカジョアフリカ、マホガニーアフリカン、ドライマホガニー(*2)

科目・・・センダン科アフリカマホガニー(Khaya)属・常緑広葉樹・散孔材(環孔材)・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Khaya spp.
Khaya ivorensis
Khaya anthotheca
Khaya grandifoliola
Khaya senegalensis を含む。

産地・・・西アフリカから中央アフリカにかけて広く分布。

色調・・・心材は淡桃褐色から濃赤褐色、紅褐色で時にやや紫色を帯びることがある。辺材は淡黄褐色、灰白色。

性質・・・木理:交錯(~通直)、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗~やや粗、硬さ:やや硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:中~強

気乾比重:0.49~0.80~1.49

平均収縮率%(柾目方向):0.15

平均収縮率%(板目方向):0.21

曲げ強度MPa:78~83

圧縮強度MPa:46

せん断強度MPa:12~14

曲げヤング係数GPa:8.9~9.2

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:容易~注意、塗装性:注意

用途・・・造作材、建具、家具、合板

内装材、壁パネル、窓枠、楽器、突板、造船、ボート建造、キャビネット、箱

価格・・・☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:52㎜

 

その他・・・

材により色調や材質に幅がある。しばしば美しい杢目が現れる。木理が交錯することが多い為、柾目面にはリボン杢がはっきりと出ている。表面の仕上がりは良好。上手く仕上げると材面に光沢が出る。しかし注意しないと切削面が毛羽立ってくることがある。斑の模様不明瞭。キクイムシ等の虫害に侵されやすい。狂いやすい。が乾燥は比較的容易で狂わない(*3)。粘りがある。樹高45m、樹径1.8mにもなる。本マホガニー(ホンジュラスマホガニー)と同種の巨木で、High forestと呼ばれる西アフリカの熱帯降雨林から採れる。本マホガニーよりも木理の交錯が著しく、肌目はより粗い。材質は良く、ホンジュラス物にも劣らない。現地の消費は少なく、殆どが輸出される。天然の本マホガニーが殆どなくなってしまった今日では、天然で最も本マホガニーに近いのはこのアフリカンマホガニーであると思われる。

 

*1:カヤというと日本産でイチイ科の針葉樹であるカヤ(榧)もあります。日本で「カヤ」と言えば、ほぼイチイ科の方を指す事が多いでしょう。
*2:ドライマホガニーという呼び名は、アフリカマホガニー属の中でも特にKhaya senegalensis に対して呼んでいる名前です。学名にもあるようにセネガル周辺で採れるもののようです。
*3:『乾燥時に反りやすいため注意が必要』という資料もありました。基本的に狂いやすいけど、乾燥後は安定しているということでしょうか?。ご存知の方いましたら、教えて下さい。


アマリロ

Amarero

 

名称・・・アマリロ(Amarello、Pau Amarelo)

その他呼び名・・・アマレロ、イエローハート、パウアマレロ

科目・・・ミカン科–(Euxylophora)属・広葉樹・散孔材?・被子植物

学名・・・Euxylophora paraensis

産地・・・南米、ブラジル

性質・・・木理:{通直/交錯、辺心材の境目:{明瞭/不明瞭、肌目:{緻密/粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.72~0.80

平均収縮率%(柾目方向):

平均収縮率%(板目方向):

曲げ強度MPa:111*

圧縮強度MPa:63*

せん断強度MPa:13.8*

曲げヤング係数GPa:13.8*

加工性・・・鋸挽:容易、鉋掛:容易、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:{良好/不良、乾燥:中、塗装性:{低/中/高

用途・・・家具

フローリング、スポーツ器具、内装材

価格・・・☆☆☆☆☆~

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

白蟻等の害虫や、菌類に強い。絶滅危惧種

 

備考・・・

木材加工時に皮膚炎などの健康被害を起こす木材に挙げられているみたいです。有害性分が含まれる切り屑等が皮膚に長時間付着しないよう心掛ける必要がありそうです。
学名をキョウチクトウ科のAspidosperma sp.として、イエローハートと分けている資料もありましたが、その1つのみしか確認できませんでしたので真偽は不明です。ちなみに学名のsp.は「属まではわかるが種小名がわからない」といった意味らしく、これは「Aspidosperma属の一種」という意味になるようです。
アマリロといえば別種でマメ科のアマゾンアマリロ(=ガラッパ)を指すこともあるようです。
流通量が少ないので金額も良くわかりませんでしたが、少なくても100万/㎥はする感じです。


アメリカンシカモア

Amerikansikamoa

 

名称・・・アメリカンシカモア(American sycamore)

その他呼び名・・・

アメリカスズカケノキ、プラタナス(*1)、アメリカンプレーンツリー、シカモア(*2)、セイヨウボタンノキ、ボタンウッド(バトンウッド)、ボタンボールツリー(バトンボールツリー)(*3)

科目・・・スズカケノキ科スズカケノキ(Platanus)属・落葉広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・Platanus occidentalis

産地・・・北米東部~南部。

色調・・・心材は淡い褐色~淡い赤褐色。辺材は白色~淡い黄色。柾目面に濃い赤色の帯びをもつ。

性質・・・木理:通直~交錯、辺心材の境目:やや不明瞭、肌目:緻密、硬さ:軟~やや硬、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.51

平均収縮率%(柾目方向):0.21~0.24

平均収縮率%(板目方向):0.27~0.32

曲げ強度MPa:70*

圧縮強度MPa:40*

せん断強度MPa:9.9*

曲げヤング係数GPa:9.9*

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~注意、塗装性:高

用途・・・造作材、家具

床材、内装材、装飾材、突き板

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)50万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

温帯から亜熱帯にかけて街路樹として世界的に分布している。樹高30m以上。水湿に弱い。縮み杢の出た材は装飾材として使われる。独特の光沢がある。衝撃に強いが、乾燥時に割れやすい。

 

*1:プラタナスというと、スズカケノキ(Platanus orientalis)や、モミジバスズカケノキ(Platanus x acerifolia:スズカケノキとアメリカンシカモアの交配種)も含まれるようです。
*2:シカモアというと、ヨーロッパ産でカエデ科のホワイトシカモア(Acer pseudoplatanus)を指す場合があります。またシカモアというともうひとつ、日本の楓(カエデ)(学名:Acer sp.)を指す場合も有ります。カエデはカエデ科の落葉広葉樹の総称です。またカエデはメープルとも言います。
*3:この材が割れにくく、肉切り台やボタンに利用されることから、ボタンウッド等と呼ばれるようです。


アユース

Ayuusu

 

名称・・・アユース(Ayous)

その他呼び名・・・

オベチェ(オベキ)、ワワ、サンバ、オワワ、ブッシュメープル、アフリカンメープル、アフリカンホワイトウッド

科目・・・アオギリ科トリプロチトン(Triplochiton)属・広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・Triplochiton scleroxylon

産地・・・熱帯アフリカに分布し、ナイジェリア、ガーナ、コートジボワール、カメルーン、ギニアに多い。

色調・・・心材、辺材共淡黄白色ないしクリーム色、白色。

性質・・・木理:やや交錯、辺心材の境目:不明瞭、肌目:粗、硬さ:軟、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.32~0.39

平均収縮率%(柾目方向):0.11

平均収縮率%(板目方向):0.19

曲げ強度MPa:52

圧縮強度MPa:27

せん断強度MPa:6.9

曲げヤング係数GPa:5.9

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:{良好/不良、乾燥:{容易/困難、塗装性:高

用途・・・造作材、建具、合板

室内装飾材、家具用芯材、引出し材、ハイヒールの踵、着色したスライスドベニア

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)60万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:24㎜、34㎜、45㎜

 

その他・・・

青変菌の害を受け易い為、乾燥を早くする必要がある。加工する際に粉塵でアレルギーを引き起こすことあり、注意が必要。仕上りは良くない。樹高40m以上、樹径1.2m。アフリカで最大級の樹木に成長する。淡色な為、塗装の色の仕上りを均一にしようとする時には大変有利。


イエローバーチ

Yellowbirch1

 

名称・・・イエローバーチ(Yellow birch)

その他呼び名・・・

キハダカンバ、アメリカミネバリ、バーチ(*1)、スイートバーチ(*2)、ペーパーバーチ(*3)、ホワイトバーチ、レッドバーチ(*4)、グレーバーチ、シルバーバーチ、スワンプバーチ、カナディアンシルキーバーチ、カーリーバーチ(*5)

科目・・・カバノキ科カバノキ(Betula)属・落葉広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Betula alleghaniensis(イエローバーチ)
Betula lenta(スイートバーチ)、

Betula papyrifera(ペーパーバーチ)

産地・・・アメリカの東部。主に北部及び五大湖沿岸州。

色調・・・心材は淡い紅褐色からクリーム色、帯黄紅褐色、赤褐色。辺材は白色、帯黄白色、淡黄色。心材は樹によって色の違いがかなりある。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.71

平均収縮率%(柾目方向):0.27

平均収縮率%(板目方向):0.35

曲げ強度MPa:114

圧縮強度MPa:56

せん断強度MPa:5.2

曲げヤング係数GPa:13.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:困難、塗装性:高

用途・・・造作材、建具、家具、合板

キャビネット、内装パネル材、フローリング、玩具、軽飛行機、アイスクリーム箆(へら)、楊枝、舌押さえ(医者が使う使い捨てのもの)、轆轤(ろくろ)加工された紡績糸巻き用具の柄、靴の木型

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:25㎜、30㎜

 

その他・・・

北米産のカンバ類の代表的な樹種。表面の仕上がりは美しい。艶出し加工に適する。粘りが有り、曲げ性能に優れる。収縮率がやや高く、乾燥が不十分であると狂いが出やすい。木目はやや不鮮明で特徴がないが、材面が均質で綺麗に仕上がる。年輪の境に色の濃い線があり、かなりはっきり見える。斑の模様不明瞭。衝撃に強い性質がある。虫害を受けやすい。樹高18~24m、樹径0.75m。バーチは代表的なイエローバーチ(Yellow birch)の他にスイートバーチ(Sweet birch)やペーパーバーチ(Paper birch)があり、分布は五大湖周辺である。また太平洋岸にWestern paper birchがある。材色が白いのでホワイトバーチ(White birch)とも呼ぶ。日本産のマカバ(マカンバ)やミズメがこれと同属で、性質はほとんど同じである。

 

*1:カバ類のことを総称して英語でバーチといいます。その為「バーチ」とだけいうと樺(カバ)=マカンバ(ウダイカンバ)を指すこともあります。
*2:スイートバーチは他にアメリカミズメ、アメリカンブラックバーチ、アメリカンバーチ、カタン、ケベックバーチ、ハードバーチなどの呼び名があるようです。
*3:ペーパーバーチは他にパピリフェラカンバ、アメリカシラカンバなどの呼び名があるようです。
*4:イエローバーチの辺材とペーパーバーチは材色が白い為、一括して「ホワイトバーチ」の名で扱われます。こちらは日本産のシラカンバに似ています。またイエローバーチの心材で赤味があるものは「レッドバーチ」と言われることもあるようです。
*5:カーリーバーチという呼び名は樹種ではなく、木目に美しい縮杢(ちぢみもく)(カーリー杢)の現れたシラカバを指すのかもしれませんが、詳細は不明です。


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