2015.06.28
エゾマツ

Ezomatu

 

名称・・・蝦夷松(Yezo spruce、Hokkaido spruce)

その他呼び名・・・

黒蝦夷松(クロエゾマツ)、黒松(クロマツ)(北海道での呼び名)(*1)

科目・・・マツ科トウヒ(Picea)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Picea jezoensis Carriere

産地・・・北海道、本州の中部山岳地帯、紀伊半島の大峰山(おおみねさん)。千島、サハリン、樺太、中国北東部、朝鮮にも分布。

色調・・・心材、辺材共淡い黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:緻密、硬さ:やや軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):極めて弱~弱、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.35~0.43(平均値)~0.52

平均収縮率%(柾目方向):0.15

平均収縮率%(板目方向):0.29

曲げ強度MPa:69

圧縮強度MPa:34

せん断強度MPa:6.9

曲げヤング係数GPa:8.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):良好~やや困難(樹脂による障害)、釘打保持力:やや弱、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:注意

用途・・・構造材、下地材、造作材、建具、家具

土木材、パルプ材、楽器材(ピアノ響板、ヴァイオリンの甲板)、船舶材、土木材、木毛、経木。

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・サンギ:48x24x3650(\65,000/㎥)

 

その他・・・

北海道ではトドマツと一緒にしてエゾトドと呼ばれる。北海道で主として用いられ、本州で柱や板に使っている杉のようにエゾ・トドが使われている。造作材としては北海道、北陸地方以外での使用は少ない。類似種にアカエゾマツやトウヒ(*2)、ハリモミ、イラモミがあり、何れも酷似している。

 

【その他色調等】: 表面仕上げ良好。美しい光沢を持つが樹脂成分が多い。斑の模様不明瞭。年輪はやや明瞭で、年輪の幅は比較的均一。長期間大気に触れているとかなり色が濃くなる。小さな死節やヤニツボが現れることがある。心辺材の中間にあたる部分に淡紅~赤褐色が現れることがあるが、褐色みの強いものは腐朽の前提である。

【その他性質等】: 割れやすい。比重の割りに強い良材。ほとんど臭いがない。軸方向細胞間道(樹脂道)をもっているが、材面にヤニが滲み出てくることはあまりない。収縮が小さい。

【立木での性質等】:樹高30m以上、樹径1.0m~1.5m。樹皮は黒くて硬い鱗状。

 

*1:一般にクロマツというと日本産でマツ科マツ属の別種類があります。紛らわしいですね。
*2:日本産のトウヒはエゾマツの変種で、学名はPicea jezoensis var.hondoensis です。



2015.06.27
オウシュウアカマツ

Oushuakamatu_2

 

名称・・・欧州赤松(Sosna)

その他呼び名・・・

レッドパイン、ヨーロピアンレッドウッド、ヨーロピアンレッドパイン、スコッチパイン、ノルウェーパイン、ソスナ(サスナ)、ロシア赤松、ソ連赤松、ヨーロッパ赤松、北洋赤松(ホクヨウアカマツ)、レッドウッド、赤松(アカマツ)(*1)

科目・・・マツ科マツ(Pinus)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Pinus sylvestris

産地・・・ヨーロッパ全域、中央アジア、シベリア

色調・・・心材は淡赤褐色ないし赤褐色。辺材は黄白色ないし淡赤色、淡黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:やや不明瞭~明瞭、肌目:(密)~粗まで幅あり、硬さ:中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.47~0.55

平均収縮率%(柾目方向):0.14

平均収縮率%(板目方向):0.31

曲げ強度MPa:64

圧縮強度MPa:28

せん断強度MPa:8.3

曲げヤング係数GPa:8.3

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:中

用途・・・構造材、下地材、造作材、建具、家具

土木用材、梱包用材、パルプ用、坑木、電柱

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)60万/㎥

メーカー・・・IGIRMA-TAIRIKU、ENISEY、TM BAIKAL

一般流通サイズ・・・タルキ:40x30x4000(KD一等B:\80,000/㎥)

タルキ:45x36x3000

タルキ:40x30x(3000、4000)

サンギ:48x24x4000

加工胴縁:40x20x(3000、4000)

 

その他・・・

日本へはスウェーデン、フィンランド、ポーランド、ロシアから大量に輸入されている。現地ではレッドウッドと呼ぶようだが、日本でいうレッドウッドは米国産の別種類(*2)。西アジア一帯では植林され広く栽培されている。

 

【その他色調等】: 年輪ははっきりしている。日本のアカマツ以上に木目がはっきりしない為、装飾性は低くペンキ下地などに使われる。斑の模様不明瞭。加工の仕上りは良いほうではない。

【その他性質等】: 腐蝕菌がつきやすい。防腐処理、早期乾燥必要。乾燥後の材の安定性は良い。脂条がかなり多い。軸方向細胞間道(樹脂道)あるため、ヤニがでてきやすい。材質は日本のアカマツに似ているが、少し柔らかい。

【立木での性質等】:大径木が得られやすい。葉は双葉。

 

備考・・・

カビが出やすい感じですね。グリーン材のタルキ等は現地で防カビ処理してるみたいですが、最近環境の問題からか薬剤を弱くしたようで、カビが出た話を良く聞きます。KD材でも雨に濡らしたままにしたら当然カビが出てきます。ま、それは赤松だからってことではないですけど。2009年1月からロシアから丸太の輸出の関税が80%に引き上げられることになっています。その為このオウシュウアカマツも価格が上昇しています。

 

*1:アカマツというと、日本産で同属の別種類を指す場合もあります。
*2:「レッドウッド」という呼び方について上では米国産の別種類と書きましたが、日本で良く流通しているレッドウッドと呼ばれているものは、このオウシュウアカマツだと思います。「レッドウッド集成材」とかです。ちなみに、欧州から輸入されるオウシュウアカマツを「レッドウッド」、ロシアからのものを「アカマツ」と呼んでいるようです。



2015.06.27
オニグルミ

Onigurumi2

 

名称・・・鬼胡桃(Japanese walnut)

その他呼び名・・・胡桃(クルミ)、オトコグルミ、オクルミ

科目・・・クルミ科クルミ(Juglans)属・落葉広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Juglans mandshurica var. sieboldiana (*1)
シノニム(異名):
Juglans sieboldiana Maxim.
Juglans ailanthifolia Carriere
Juglans mandshurica var. sachalinensis

産地・・・北海道から本州、四国、九州に自生。樺太にも分布。特に北海道、東北地方から良材が多く産出する。

色調・・・心材は褐色、暗赤褐色。辺材は灰白色。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗、硬さ:中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.42~0.53(平均値)~0.70

平均収縮率%(柾目方向):0.18

平均収縮率%(板目方向):0.31

曲げ強度MPa:78

圧縮強度MPa:41

せん断強度MPa:10.8

曲げヤング係数GPa:9.3

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好、乾燥:中~やや困難、塗装性:中

用途・・・造作材、家具

フローリング、彫刻材、器具材、銃床、置時計の台枠

価格・・・☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、45㎜

 

その他・・・

北米のウォルナットがこれに類するが、オニグルミの方が多少材質が軟らかい。蓄積が少ない為、量産家具には使われず突板にされて表面の装飾に使われる。オニグルミの樹幹に鉄物を打ち込むと材色が濃くなると言われ、蘇鉄と同様に「鉄を食う木」と言われている。樹皮は染色に用いる。果実は核の中の子葉を食用とし、また油を搾る。ただ日本でクルミの実として売られているのは果実を目的として栽培されているテウチグルミ(Juglans regia var. orientis )から採れるものである。

 

【その他色調等】:年輪はやや不明瞭。表面仕上は良好。斑の模様不明瞭。柔らかい優しい雰囲気が特徴。道管の直径が大きい為肌目は粗い。独特の光沢を持つ。濃色の不規則な縞が出ることがある。

【その他性質等】:粘りがあり、狂いが少ない。硬さにばらつきがあり、安定的に硬い材を揃えるのは困難である。

【その他加工等】:材に油を染込ませて良く拭くと、家具の仕上げ色として有名なウォルナット調仕上と言われる美しい艶がでる。

【立木での性質等】:樹高20~30m、樹径0.7~1.0m。主に山中の湿地に生え、あまり大径木にはならない。

 

*1:学名の「var.」(変種を意味するようです)を「ssp.」(または「subsp.」)(亜種を意味するようです)とする資料もありました。



2015.06.27
オバンコール

Obankooru2

 

名称・・・オバンコール(Ovangkol)

その他呼び名・・・

オバンコル、ムテニエ、エヒー、エヒエ、アマザクエ(コートジボワールでの呼び名)

科目・・・マメ科ジャケツイバラ亜科ギボーティア(Guibourtia)属・広葉樹・散孔材~環孔材(*1)・離弁花類(被子植物)

学名・・・Guibourtia ehie J.Leonard

産地・・・西アフリカ。コートジボワール、ガーナ、ナイジェリア、ガボンなど。

色調・・・心材は黄褐色ないしチョコレート色、金褐色、黒褐色、灰褐色、茶褐色。灰黒ないし黒色の狭い縞を有する。または鋼色の光沢をもつ縞のものもある。辺材は灰白色、黄白色、灰色。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗、硬さ:硬~超硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.73~0.85

平均収縮率%(柾目方向):0.13~0.21

平均収縮率%(板目方向):0.34~0.38

曲げ強度MPa:123*

圧縮強度MPa:79*

せん断強度MPa:9.9*

曲げヤング係数GPa:17.7*

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):やや困難、鉋掛(カンナガケ):中~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:注意~超困難、塗装性:高

用途・・・造作材、建具、家具、合板

高級家具材、床材、突き板、ロクロ加工材、船室装飾用のフローリング

価格・・・☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、45㎜

 

その他・・・

ウォルナットに良く似た木材。装飾的な利用価値が高い。柾目のリボン模様が綺麗な為、突板化粧合板に加工され内装材に人気がある。板目面に白色の沈積物、やにだまりが見られることがある。斑の模様不明瞭。表面の仕上りは良好。乾燥が難しくゆっくりと乾燥することが要求される。乾燥後は材は安定していて、狂いはでない。白蟻に対する抵抗性は高い。樹高30m、樹径0.6~0.9m。心材が赤褐色をしたブビンガもこれと同属の樹種であるが、ブビンガより材の色が薄い。ヨーロッパではローズウッドの代用材として使う場合もある。色がのりやすく、漂白してからウォールナット色に着色してクルミの代用として使われる。

 

*1:散孔材とする資料と環孔材とする資料の両方ありました。画像で見る感じでは環孔材のような気がしますが、正しくは不明です。



2015.06.25
カキノキ

Kakinoki

 

名称・・・柿の木(Persimmon)

その他呼び名・・・

柿(カキ)、ジャパニーズパーシモン、黒柿(クロガキ)(*1)

科目・・・カキノキ科カキノキ(Diospyros)属・落葉広葉樹・散孔材・合弁花類(被子植物)

学名・・・Diospyros kaki Thunb.

産地・・・日本や中国に分布。本州西部以南に野生のものがあるが、果樹として全国に広く植栽されている。

色調・・・心材は淡い橙褐色、暗褐色。辺材は淡い橙褐色、灰白色。

性質・・・木理:ほぼ通直、辺心材の境目:明瞭~やや不明瞭、肌目:緻密、硬さ:硬~超硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.60~0.85

平均収縮率%(柾目方向):0.10~0.13

平均収縮率%(板目方向):0.27~0.32

曲げ強度MPa:–

圧縮強度MPa:36~41

せん断強度MPa:–

曲げヤング係数GPa:5.6~9.6

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):やや困難~困難、鉋掛(カンナガケ):やや困難~困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:非常に困難、塗装性:中

用途・・・造作材、家具

床柱、和家具、建築用装飾材、茶道具、ゴルフヘッド、紡績シャトル、寄木、象嵌、彫刻

価格・・・☆☆☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

常緑樹の常盤柿(トキワガキ)や、アメリカ産のパーシモンも同属である。また良く似ているものにヤマガキ(Diospyros kaki var.sylvestris )があり、マメガキやシナノガキなども同属である。 属名の「Diospyros(ディオスピロス)」は「神(dios)」+「穀物(pyros)」で「神の食べ物」を意味している。柿渋(青い未熟な柿の果実を潰し、圧搾して出来た果汁を発酵させた物)は漆器の下塗りや渋紙、塗料、防腐剤として用いられる。

 

【その他色調等】:心材のでき方は不規則で、黒色の縞模様や濃淡があることが稀にある。そうした木材をクロガキと言い、希少価値が高く古来から珍重されている。特に黒色のものはコクタンの代用とされる。また、孔雀の羽の模様に似た孔雀杢が現れることがある。斑の模様不明瞭。リップルマーク(縮杢)があり、それにより簡単に他から区別できる。

【その他性質等】:割れやすい。乾燥が困難だが、乾燥後は柿渋が固まり安定した硬質の材料になる。衝撃に対する反発力が強く、ゴルフヘッド、紡績シャトルにされる。

【立木での性質等】:樹高5~10m、樹径1.0mになる。

 

*1:クロガキと呼ばれるものの中でも、黒い縞に沿って緑色の縞が見えるものが最高とされていて、床柱としてクロガキの良い材は、コクタンやシタンより上位とされるようです。油脂分が多く、からぶきしているだけで美しく光ってきます。



2015.06.25
カツラ

Katura2

 

名称・・・桂(Japanese judas tree、Katsura tree)

その他呼び名・・・

香ノ木(コウノキ)、緋桂(ヒガツラ)、青桂(アオカツラ)、カモカツラ、オカツラ

科目・・・カツラ科カツラ(Cercidiphyllum)属・落葉広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Cercidiphyllum japonicum

産地・・・日本各地。多くは北海道。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:やや軟~中、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:中

気乾比重:0.40~0.50~0.66

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.28

曲げ強度MPa:74

圧縮強度MPa:39

せん断強度MPa:8.3

曲げヤング係数GPa:8.3

加工性・・・鋸挽:容易、鉋掛:容易、釘打保持力:中、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~中、塗装性:高

用途・・・造作材、家具、合板

器具材、彫刻材、鉛筆材、碁・将棋盤、裁縫板、漆器木地、楽器、下駄、寄木、薪炭、木象嵌(もくぞうがん)、化粧用単板

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)60万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:12㎜、60㎜

 

その他・・・

日本特産種。年輪はやや明瞭。朴(ホオ)と材質が良く似ている。靱性が高い為反りにくく、加工性も良い。やや狂いやすい(?)。樹高30m、樹径2mくらい。斑の模様不明瞭。雌雄異株で、雄株をヒガツラ、雌株をアオカツラと呼ぶことがある。また色の濃いものをヒガツラ、淡いものをアオカツラと呼んで区別することもある。彫刻されるカツラ材はヒガツラと呼ばれる材質の良い木でないと、狂って使い物にならない。カツラは山間の肥沃な谷筋の温暖な場所を選んで生息しているが、ヒガツラは特に平らな場所に生育している。有名な産地は北海道の日高支庁、東北の十和田湖周辺で、特に日高の沙流(さる)川、厚別川、新冠(にいかっぷ)川の上流地域が良質材の産地となる。最近では生産量は少なくなってきている。夏から秋に葉を採り、それを乾かして粉にしてお香を作るので、香ノ木とも言う。また京都の加茂神社の春の葵祭りで桂の枝葉が飾りに用いられることから、カモカツラとも呼ばれる。

 

備考・・・

狂いは少ないという資料もあります。ものによってバラツキがあるのでしょう。ちなみに中国でいう「桂」はこのカツラではなく木犀(モクセイ)のことを指すようです。



2015.06.25
カポール

Kapur2

 

名称・・・カポール(Kapur)

その他呼び名・・・

カプール、ボルネオカンファーウッド(*1)、竜脳樹(龍脳樹)(リュウノウジュ)

科目・・・フタバガキ科リュウノウジュ(Dryobalanops)属・常緑広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Dryobalanops spp.
Dryobalanops aromatica
Dryobalanops beccarii
Dryobalanops fusca
Dryobalanops keithii
Dryobalanops lanceolata
Dryobalanops oblongifolia
Dryobalanops oocarpa
Dryobalanops rappa などを含む

産地・・・マレーシア、スマトラ(インドネシア)、ボルネオ。

色調・・・心材は黄色を帯びた赤褐色、暗赤褐色、淡紅褐色。辺材は桃色を帯びた淡い黄褐色。

性質・・・木理:やや通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗~粗、硬さ:中~やや硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.70

平均収縮率%(柾目方向):0.18

平均収縮率%(板目方向):0.35

曲げ強度MPa:116

圧縮強度MPa:62

せん断強度MPa:11.8

曲げヤング係数GPa:13.2

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~注意、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:やや困難、塗装性:注意

用途・・・構造材、造作材、家具、合板

床材、コンクリート型枠用合板、車両用材、船舶用材、器具材

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:18㎜

 

その他・・・

フィリピンには分布が無い。大半は丸太の状態で非常に細かなピンホールの被害を受けていて、装飾性に劣る。樹から芳香のある樹脂の竜脳が得られ、香料、薬用となる。

 

【その他色調等】:斑の模様明瞭。生長輪はない。

【その他性質等】:反りが生じやすく、表面も毛羽立ちやすい。シロアリの抵抗力は無い。殆どアピトンと同じだが、ヤニは全く無い(*2)。メランチ類と同じように同心円状に配列する軸方向細胞間道(垂直樹脂道)がある。木材が新しい時には強烈な樟脳(しょうのう)の様な芳香がある。水分のある所で、鉄と接触していると濃色の汚染が出ることがある。

【その他加工等】:少し石灰分を含んでいる(放射組織の中にシリカ(ケイ酸塩)の小さい塊を含んでいる)個所もあり、鉋刃の切れ味を鈍らせる。その為製材や加工の際、硬い金属の刃物を使った上で刃の交換を早くする必要がある。接着性は尿素系接着剤には良好だが、フェノール系接着剤には適さない傾向がある。

【立木での性質等】:巨木で樹径2.0m以上のものが多い。

 

*1:ボルネオカンファーウッドの「カンファー」とは「カンフル(=樟脳)」のことです。ちなみに樟脳は主にクスノキから採れます。
*2:横断面で見ると、垂直樹脂道に濃色のヤニが滲み出ていることもあるようですので、全く無いと言うと語弊があるかも知れません。



2015.06.25
カヤ

Kaya2

 

名称・・・榧(Japanese nutmeg tree、Japanese torreya、Japanese plum yew)

その他呼び名・・・

榧の木(カヤノキ)、本榧(ホンガヤ、ホンカヤ)、シロガヤ、カエ

科目・・・イチイ科カヤ(Torreya)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Torreya nucifera Sieb. et Zucc.

産地・・・本州中南部から四国、九州の主として暖帯に生育。朝鮮、済州島にも分布。

色調・・・心材は褐色を帯びた黄色、黄白色。辺材は黄白色、白色。

性質・・・木理:ほぼ通直、辺心材の境目:やや不明瞭、肌目:緻密、硬さ:やや硬~硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.45~0.53(平均値)~0.63

平均収縮率%(柾目方向):0.14

平均収縮率%(板目方向):0.24

曲げ強度MPa:78

圧縮強度MPa:34

せん断強度MPa:12.3

曲げヤング係数GPa:7.4

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~困難、塗装性:高

用途・・・建具、家具

風呂桶、水桶、船舶材(和船の船底材、船縁)、碁盤・将棋盤、彫刻材、車両材、漆器の生地、算盤玉、数珠、櫛、洋傘の柄、鍬の台、戸板

価格・・・☆☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

成長は極めて遅く、蓄積量は少ない。種子は食用や薬用とし、また油を搾る。カヤの名前の由来は、この木を燃やすと煙に薬用成分があり蚊を追いやる効果があることから蚊遣り木と言われ、これが詰まってカヤになった。カヤでつくった碁盤・将棋盤は最優秀とされ、特に宮崎県日向地方と奈良県春日山が産地として有名。イヌガヤはイヌガヤ科に属する全く別の樹木である。

 

【その他色調等】:表面の仕上りは良好で、光沢があり緻密で美しい。経年変化が美しく、独特なしぶい黄金色になる。早材から晩材への移行が非常に緩やかなため、年輪はあまりはっきりしない。年輪幅は狭く、波状を呈することがある。斑の模様不明瞭。

【その他性質等】:独特の匂いがある。樹脂分が多い。弾力に富む。白蟻に対しても大変耐久力が高いとされている。特に水湿に強い。

【立木での性質等】:樹高20~35m、樹径3.0mに達する。雌雄異株。葉は扁平線状、革質で厚く、先端は鋭い。

 

備考・・・

アフリカンマホガニーの事も「カヤ(Khaya)」と呼びます。カタカナで表記されたらどちらを指しているか区別つきにくいですね。



2015.06.25
ガラッパ

Garappa

 

名称・・・ガラッパ(Garapa)

その他呼び名・・・

ガラパ、アマゾンアマリロ、ブラジルセランガンバツー、ガラペーラ

科目・・・マメ科Apuleia属・広葉樹・{散孔材/環孔材/放射孔材・被子植物

学名・・・

Apuleia leoiocarpa、

Apuleia praecox

産地・・・ブラジルのパラ州から中部のバイア州、エスプリトサント州、南部のリオグランデ・ド・ソル州に至る海岸線熱帯雨林地帯、ウルグアイ、パラグアイ、アルゼンチン

性質・・・木理:{通直/交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.83

平均収縮率%(柾目方向):0.17~0.20

平均収縮率%(板目方向):0.33~0.38

曲げ強度MPa:125*

圧縮強度MPa:54*

せん断強度MPa:110.7*

曲げヤング係数GPa:14.0*

加工性・・・鋸挽:困難、鉋掛:困難、釘打保持力:強、糊付接着性:{良好/不良、乾燥:やや困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・構造材、造作材

屋外デッキ、土木構造材、梁、桁、橋梁部材、根太材、景観材、床板、窓枠、ドア枠

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・105x20x3000(\350,000/㎥)

90x20x(1800、2100、2400、2700、3000、3300、3600、4000)

105x20x(1800、2100、2400、2700、3000、3300、3600、4000)

120x20x(1800、2100、2400、2700、3000、3300、3600、4000)

105x30x(2000、2500、3000、4000)

90x90x(2000、3000、4000)

 

その他・・・

樹高25~30m、樹径0.6~0.9m。辺材は5cm程度。時経過による退色は少ない。表面はなめらかで、美しく光沢がある。多少の木痩せがある。中間部分のひび割れは少ないが、曲がり、木口割れがある。イペ材と比べて量的には少ない。釘打は不可能で、道穴、ボルト締めが必要。乾燥の際、ひび割れが発生いやすい。中国では「金象牙」と呼ばれている。



2015.06.25
カラマツ

Karamatu2_2

 

名称・・・唐松(Larch、Japanese larch)

その他呼び名・・・

落葉松(カラマツ、ラクヨウショウ)、富士松(フジマツ)、日光松(ニッコウマツ)、天カラ、日本唐松(ニホンカラマツ)

科目・・・マツ科カラマツ(Larix)属・落葉針葉樹・裸子植物

学名・・・

Larix kaempferi (Lamb.) Carrière
シノニム(異名):

Larix leptolepis (Sieb. et Zucc.) Gordon

産地・・・天然分布は本州中部から北部。人工造林は北海道や、東北地方、本州中部の寒冷地帯でされている。

色調・・・心材は褐色、紅褐色。辺材は白色、帯褐色白色、黄白色。

性質・・・木理:通直~やや交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.40~0.50(平均値)~0.60

平均収縮率%(柾目方向):0.18

平均収縮率%(板目方向):0.28

曲げ強度MPa:78

圧縮強度MPa:44

せん断強度MPa:7.8

曲げヤング係数GPa:9.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):中~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:中~やや不良、乾燥:注意、塗装性:要注意

用途・・・構造材、下地材、家具

土台、梁、屋根板、仮設、土木、杭丸太、電柱、鉄道枕木、船舶、パレット、ダンネージ(荷敷き材)

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

日本特産(*1)。スギ、ヒノキ、マツに次いで多く植林されている。老齢によって成長が遅くなったようなカラマツは「天カラ」(天然カラマツ)と呼ばれ、銘木として高い値段で取引される。日本のマツ類の中で落葉するのはカラマツだけ。樹皮はタンニンを含み染料にする。

 

【その他色調等】:材に節が出ることが多く、脂壷(ヤニツボ)などのキズがあらわれることがある。仕上げ面は粗い。脂気が多く年数を経ると樹脂が染み出て木肌が赤味がかり、風格のある美しさをたたえるようになる。心材の色は若い間は比較的淡色で、大木になると濃色になる。春から夏にかけて形づくられる細胞の形の違いが大きい為年輪がはっきりとわかる。斑の模様不明瞭。木目は均質。

【その他性質等】:割れやすい。耐水性がある。ヤニっぽい臭いがある。軸方向細胞間道(樹脂道)をもちヤニが材面に滲み出てくる。縦断面に脂条(ヤニスジ)がある。材質は天然林と人工林とでかなり違いがある。

【その他加工等】:若い造林木からの木材は乾燥の際とくに割れや狂いが出易く、利用する上で問題になっている。 また乾燥が充分でないと加工した後にヤニが出てきて塗装むらのように垂れてくることがある。

【立木での性質等】:樹高20~30m、高いもので50mほどになる。樹径は1.0mくらい。幹はまっすぐだが、ねじれのあるものが多い。雌雄同株。富士山や日光、浅間山、軽井沢、八ヶ岳など火山地帯の天然林がよく知られている。天然のカラマツは信州唐松が有名。天然木は標高1,000~2,500m位に生育する。明治の中頃から北海道に移入され、最も主要な人工植栽樹になっている。最近では東北地方、本州中部の寒冷地帯の造林樹種として注目され、造林面積が増加してきたが、どちらかといえば全国というより産地周辺の地域で利用される量が多いようである。

 

*1:北欧産のカラマツもあります。北洋唐松とかシベリア唐松と呼んでいます。



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