2015.06.23
ベイマツ

Beimatu

 

名称・・・米松(Douglas fir)

その他呼び名・・・

ダクラスファー、オレゴンパイン、ダグラススプルース、イエローファー、レッドファー、アメリカトガサワラ、ダグラスモミ、メリケンマツ、ピーラ(ベイマツの中でも特に年輪幅の狭い柾目材に対する呼び名)

科目・・・マツ科トガサワラ(Pseudotsuga)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Pseudotsuga menziesii

産地・・・北米大陸の西部。主にブリティッシュコロンビア(カナダ)、ワシントン、オレゴン、ロッキー山脈沿いにメキシコまで。

色調・・・心材は橙赤色から赤褐色、帯黄赤褐色、帯黄淡褐色。辺材は白から淡黄色、帯黄白色、淡桃色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや緻密~粗、硬さ:やや軟~やや硬(硬め中庸)、腐食耐久性(耐朽性):中~やや強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.48~0.55

平均収縮率%(柾目方向):0.14

平均収縮率%(板目方向):0.33

曲げ強度MPa:81

圧縮強度MPa:44

せん断強度MPa:8.8

曲げヤング係数GPa:11.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:良好~やや困難、塗装性:注意

用途・・・構造材、造作材、建具、家具、合板

梁、桁、電柱、集成材、造船

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)65万/㎥(ピーラ)

メーカー・・・ティンバーウェスト、ポータック(Portac)

一般流通サイズ・・・梁:210x105x4000(KD#1\100,000/㎥)

梁:(120~300-30㎜間隔)x105x(3000、4000、5000)

105x45x(3000、4000)

90x45x(3000、4000)

 

その他・・・

ベイマツやダクラスファーという名前がついているが、マツ(Pine)やモミ(Fir)の仲間ではなくトガサワラの仲間。年輪幅が狭い大径木をピーラ(柾目材)と呼ぶ。世界中で上記の地域だけに生息している木で単一種。オレゴン州では古くから植林しているが、原生の木とは違った性質をしている。日本では病害のため、成林は困難とされる。日本の都市部の住宅用構造材のうち桁関係はほとんどこの米松が使われている。日本に輸入されている北米材のうち最近(2007年)では量が最も多くなっている。明治時代から輸入された記録があり、当時はメリケンマツと呼ばれていたようである。

 

【その他色調等】:年輪は鮮明。年輪の幅は一般にイエローファー(心材の橙赤色もの)は狭く、レッドファー(心材の赤褐色もの)は広い。年輪幅は均一。斑の模様不明瞭。木目は強くてきれいだが、時間が経つと黒ずんで汚くなる。

【その他性質等】:木質はやや軽軟(海岸地域産)なものと、やや重厚(山岳地域産)なものがある。軸方向細胞間道(樹脂道)があり、表面にヤニが滲み出てくることがある。イエローファー(年輪が狭く、比重が低い)。レッドファー(年輪幅が広く、比重が高い)。

【その他加工等】:樹脂成分が多いことにより、塗装障害を起こしやすい。表面にでるような用途に用いる場合には十分乾燥する必要あり。

【立木での性質等】:樹高80~100m、樹径2.5~4.0m。丘陵地に生育し殊に谷筋には巨木が群生。



2015.06.22
ベイモミ

Beimomi

 

名称・・・米樅(Fir)

その他呼び名・・・

グランドファー(ローランドファー、ローランドシルバーファー、イエローファー(*1)、ウェスタンバルサムファー、アメリカオオモミ)、ホワイトファー(*2)(ホワイトモミ、コロラドホワイトファー、コロラドモミ、コンコロールモミ、シルバーファー(*3)、バスタードパイン、ホワイトバルサム、バルサムツリー)、ノーブルファー(レッドファー(*1)、ビッグトリー、フェザーコーンレッドファー)、パシフィックシルバーファー(ウツクシモミ、アメリカンホワイトウッド、カナダツガ、アマビリスファー)、バルサムファー、ウェスタンファー、イースタンファー、ファー、ヘム・ファー(ベイツガと一括して)

科目・・・マツ科モミ(Abies)属・針葉樹・裸子植物

学名・・・

Abies spp.

Abies grandis(グランドファー)、

Abies concolor(ホワイトファー)、

Abies procera(ノーブルファー)、

Abies amabilis(パシフィックシルバーファー)、

Abies balsamea(バルサムファー)などを含む

産地・・・北米大陸に自生。西部の山岳地帯に多い。

色調・・・心材、辺材共に白から淡い黄白色、ないし淡褐色。白クリーム色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:粗、硬さ:軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.37~0.53

平均収縮率%(柾目方向):0.13

平均収縮率%(板目方向):0.24

曲げ強度MPa:60

圧縮強度MPa:30

せん断強度MPa:7.4

曲げヤング係数GPa:9.3

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:中、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:中

用途・・・構造材、下地材、造作材、建具

木箱、木枠、器具材、パルプ用、土木用材、蒲鉾の板

価格・・・☆

無節材(2000x210x34㎜)40万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜

 

その他・・・

ベイモミとは、グランドファー、ホワイトファー、ノーブルファー、パシフィックシルバーファー、バルサムファーなどの総称。カナダに4種、米国に7種が知られている。また、北米の西部で産出されたものをウェスタンファー、東部で産出されたものをイースタンファーと呼び分けることがある(*4)。日本のモミと良く似たFir属の木はワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州、西部モンタナ州、北部アイダホ州に生育し、これらFir属の樹木はWestern true firとも呼ばれる。ファー類モミ属は北半球の温帯地方に広く分布していて、涼しくて湿気の多いところによく生育するといわれている。ノーブルファーは樹高60~80m、樹径0.7~0.9m。大きいものは樹高100m、樹径1.3mに達する。材質的には日本のモミ類と同じと考えて良いが、ベイモミの方が長く大径の丸太が得られる為より良い品質の製品がとれる。年輪は鮮明で、年輪幅が均一。節が多い。斑の模様不鮮明。木材に臭いがない。耐朽性が低く、地面に接しての利用には適さない。日本にFirだけのロットで輸入されることは殆どなく、Hem-Fir(ヘム・ファー)といってベイツガと一括して取り扱われて輸入されることが多い。また日本に輸入されるのは主にウェスタンファーである。横断面を比較してみると、ベイモミはどちらかというと黄色を帯びている為、より褐色を帯びているベイツガと区別することができる。

 

備考・・・

ベイモミというと、狭義にはノーブルファーのみを指すこともあるようです。

 

*1:イエローファーやレッドファーというと、一般的にはベイマツのほうを指す事が多いと思います。
*2:ホワイトファーというと、Abies concolorの1種類を指す場合のほか、グランドファーやノーブルファー、バルサムファーを含めてそう呼ぶ場合もあるようです。
*3:シルバーファーというと、ヨーロッパ産のモミ属でオウシュウモミ(Abies alba)やミヤマモミ(Abies pectinata)などもそう呼ぶようです
*4:おもに西部はノーブルファー、パシフィックシルバーファー、ホワイトファー、グランドファーが多く、東部はバルサムファーが多いようです。



2015.06.22
ベニマツ

Benimatsu2

 

名称・・・紅松(Korean pine、Kedr)

その他呼び名・・・

朝鮮松(チョウセンマツ)、朝鮮五葉(チョウセンゴヨウ)、朝鮮五葉松(チョウセンゴヨウマツ)、ホンスン、ケードル(ロシアでの呼び名)

科目・・・マツ科マツ(Pinus)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Pinus koraiensis Sieb. et Zucc.

産地・・・極東シベリア、朝鮮、中国黒龍江省沿岸地域。日本では栃木、群馬、長野、岩手など本州中部の亜高山地帯。

色調・・・心材は淡黄褐色ないし淡紅色、淡黄赤色、淡黄薄褐色。辺材は黄白色、淡黄白色、白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.34~0.41(平均値)~0.51

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.36

曲げ強度MPa:67

圧縮強度MPa:33

せん断強度MPa:8.3

曲げヤング係数GPa:8.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易、塗装性:中

用途・・・下地材、造作材、建具

敷居・鴨居、鋳物用の木型、彫刻用材、器具

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・サンギ:48x24x4000(一等\65,000/㎥)

 

その他・・・

日本にも分布しているが、市場で取り扱われているものはロシア産のベニマツが主ある。マツ類を硬松と軟松に分けるときにはベニマツは軟松のグループに入れられる。ロシア材では最も有用な樹種として高い評価である。しかしこの樹種は幹の中心部が菌の害を受け易くほとんどといって良い程丸太は空洞になっている為、木材として利用する場合は外側の部分が使われる。2007年現在、製材品に挽かれて輸入されるケースが多くなった。朝鮮では食用のため種子の採取を目的とした林業がある。

 

【その他色調等】: 年輪幅の狭いものが多い。斑の模様不明瞭。

【その他性質等】: 材の狂いは少ない。割れやすいので注意。材種はヒメコマツと同じで若干比重が重く全体的に粘っこい感じがある。軸方向細胞間道(樹脂道)がありそこから滲み出るヤニで材面が汚くなっていることが普通。硬松類に比較すると年輪の中の細胞の形の違いが少なく、そのため年輪はずっと見分けにくくなり木材は軽軟。寸度の安定性があるため古くから木型用材として使われる木材の代表的なものの一つになっている。

【立木での性質等】:山地に生え、樹高35m、樹径1.5mの大木になる事も珍しくない。



2015.06.22
ペルポック

Perupokku2

 

名称・・・ペルポック(Perupok)

その他呼び名・・・

ロフォペタルム、チロ、プルプウレペック、ソンサルン

科目・・・ニシキギ科ロフォペタルム(Lophopetalum)属・広葉樹・{散孔材/環孔材/放射孔材・被子植物

学名・・・

Lophopetalum spp.
Lophopetalum javanicumなどを含む

産地・・・パプアニューギニア、インドネシア、マレーシア、インド、インドシナなど

性質・・・木理:通直~やや交錯、辺心材の境目:不明瞭、肌目:やや緻密、硬さ:軟~やや軟~(硬)、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.34~0.64

平均収縮率%(柾目方向):0.13

平均収縮率%(板目方向):0.22

曲げ強度MPa:59

圧縮強度MPa:39

せん断強度MPa:-

曲げヤング係数GPa:8.0

加工性・・・鋸挽:容易~中、鉋掛:容易、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:中、乾燥:容易~中、塗装性:中

用途・・・造作材、家具、合板

額縁材、天井板、梱包材、脚物家具、引出しの側板、集成材、木製小物

価格・・・☆

無節材(2000x210x34㎜)45万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・平割:36㎜

 

その他・・・

釘打や乾燥の際に割裂しやすい。幅の広い同心円状の柔組織帯をもち、これを年輪に間違えることがある。また、板目面には杉などの針葉樹の板目面に似た年輪様の模様が現れる。ボルネオからの木材が日本市場に目立つようになった頃から、少量だが一定して輸入されている。生木には独特の芳香がある。表面の仕上りは良好。ラミンの代用として用いられている。

 

備考・・・

環孔材に近い散孔材なのでしょうか?明記した資料が見つかりませんでした。強度もせん断強度だけ何故か不明です。



2015.06.22
ホクヨウカラマツ

Hokuyoukaramatu2

 

名称・・・北洋唐松(Listvennitsa)

その他呼び名・・・

ラーチ(ラーチウッド)、グイマツ、ダフリカ(ダフリカ唐松)、シベリア唐松、ソ連唐松、リストベンニッツア(ロシアでの呼び名)

科目・・・マツ科カラマツ(Larix)属・落葉針葉樹・裸子植物

学名・・・Larix gmelinii、Larix dahurica

産地・・・シベリア大陸、樺太、千島、サハリン、沿海州、中国など。

色調・・・心材はやや黄色を帯びた赤褐色、褐色、黄褐色~紅色を帯びた黄褐色。辺材は黄白色、淡黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.51~0.68

平均収縮率%(柾目方向):0.19

平均収縮率%(板目方向):0.37

曲げ強度MPa:100

圧縮強度MPa:45

せん断強度MPa:12.7

曲げヤング係数GPa:11.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):中~やや困難、鉋掛(カンナガケ):中~やや困難、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:中、乾燥:容易(注意要)、塗装性:注意

用途・・・構造材、合板

梁、土台、電柱、枕木、パルプ用、仮設、土木、杭、橋梁、船舶

価格・・・☆(*1)

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

針葉樹の中では最も硬く強い。人工造林の日本のカラマツと比べて、年輪幅は一般に狭い。乾燥はかなり早いが、狂いが生じやすい。樹脂分が多いため耐水性が強く腐りにくい。日本のカラマツに比べてやや黄色が強い。軸方向細胞間道(樹脂道)があり、材面にヤニが滲み出てくる。生育環境が厳しいためか、日本のカラマツに比べて、やに壷、入皮、もめなどの欠点が多く出る。これらの欠点のためか、あるいは年輪幅が極端に狭いことが多いためか、木材が脆くなっていて使用中に破損する例がある。人工造林のカラマツと比べ、狂いは少ないとされる。材面の美しさを必要としない用途が主。北海道で小規模ながら造林が試みられたことがある。

 

備考・・・

ラーチの名前で合板として良く流通しています。

 

*1:無節材とかで流通しているのか不明です。需要がないような気がします。



2015.06.22
ポプラ

Popura

 

名称・・・ポプラ(Poplar)

その他呼び名・・・

西洋箱柳(セイヨウハコヤナギ)(イタリアヤマナラシ、ピラミッドヤマナラシ)、コットンウッド(イースタンポプラ、カロリナポプラ)、アスペン(アメリカヤマナラシ、ホワイトポプラ、カナディアンポプラ)

科目・・・ヤナギ科ヤマナラシ(Populus)属(*1)・落葉広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・

Populus nigra var. italica (セイヨウハコヤナギ)
Populus deltoides (コットンウッド)
Populus tremuloides (アスペン)

産地・・・主に北米に分布。現在は全世界で栽培されている。米国東部(コットンウッド)。

色調・・・心材は淡褐色。辺材は白~黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:やや不明瞭、肌目:粗、硬さ:やや軟、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.38(アスペン)~0.40(コットンウッド)

平均収縮率%(柾目方向):0.13~0.24(コットンウッド)

平均収縮率%(板目方向):0.31~0.38(コットンウッド)

曲げ強度MPa:55~62*(コットンウッド)

圧縮強度MPa:31~35*(コットンウッド)

せん断強度MPa:6.3~7.0*(コットンウッド)

曲げヤング係数GPa:8.9~9.8*(コットンウッド)

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易~やや困難、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:良好、乾燥:容易~困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・造作材、家具、合板

内装材、モールディング、玩具、台所用品、ブラインド、包装材、パルプ材、ランバーコアの芯材、マッチの軸木

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)50万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:25㎜、30㎜

 

その他・・・

ヤナギ科ヤマナラシ属のいくつかの広葉樹の総称(*2)。原産地は不明で、欧州説、クリミア説、ヒマラヤ説がある。

 

【その他色調等】:辺材は広い。アスペンには材によって色合いにばらつきがあったり、木目に沿ってくすんだ縞が現れることもある。

【その他性質等】:ネジ・釘打に割れにくい。乾燥は早いが狂いやすく安定性に少々欠ける。乾燥すると無味無臭になる。材質はドロノキに準じる。

【その他加工等】:切削すると材が毛羽立ち、仕上げに手間を要することがある。

【立木での性質等】:樹高30m、樹径1.8m。

 

*1:属名の和名は「ヤマナラシ属」の他に「ハコヤナギ属」や「ドロヤナギ属」とも呼ぶようです。
*2:日本でポプラというと一般にはセイヨウハコヤナギ(Populus nigravar. italica )を指す事が多いようです。
*:最近(2007年)は中国産の合板にポプラが使われています。材質よりもメーカーのせいだと思いますが、精度が悪いです。厚みがバラバラで積層枚数も違ったりしますから驚きです。合板以外で一般に流通してるポプラはあまり聞かないです。



2015.06.22
レッドメランチ

Reddomeranti

 

名称・・・レッドメランチ(Red meranti)

その他呼び名・・・

ライトレッドメランチ(アルモン、メランチテンバガ、メランチマジャウ、メランチサマック、マヤピス)、フィリピンマホガニー(フィリピンでの呼び名)、レッドセラヤ(サバでの呼び名)、レッドラワン(レッドフィリピンマホガニー、アカラワン)、ラワン(他のフタバガキ科の広葉樹も含めた総称としての呼び名)(*1)

科目・・・フタバガキ科ショレア(Shorea)属Rubroshorea亜属・広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・

Shorea spp.
Shorea negrosensis(レッドラワン)、
Shorea almon(アルモン)、
Shorea leprosula(メランチテンバガ)、
Shorea leptoclados(メランチマジャウ)、
Shorea parvifolia(メランチサマック)、
Shorea squamata(マヤピス)などを含む。

産地・・・タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン等の東南アジア。

色調・・・心材は淡桃色から濃赤褐色。辺材は淡色、淡い黄色から黄白色。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭~不明瞭、肌目:粗、硬さ:軟、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.48~0.74

平均収縮率%(柾目方向):0.12

平均収縮率%(板目方向):0.26

曲げ強度MPa:56

圧縮強度MPa:.32

せん断強度MPa:8.5

曲げヤング係数GPa:7.2

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~中、塗装性:中

用途・・・造作材、建具、家具、合板

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

赤ラワン類(*1)の木で約70種が知られている。ダークレッドメランチを含めて扱うことがあるが、ダークレッドメランチとは材の色調や重厚さが大きく異なる。市場でライトレッドメランチと呼ぶのは、Shorea属のRubroshorea亜属の樹種のうち赤色系でしかも淡色の木材のグループであるため、植物の分類とは必ずしも一致していない。むしろ商取り引き上のグループといえる。本マホガニーの代替材としても用いられる。

 

【その他色調等】:柾目面にリボン杢が認められる。丸太の小口にブリットルハート(縦の繊維が無くなる状態)が認められる。同一樹種であっても、心材の色が生育環境によってずっと濃色になり、ダークレッドメランチといっても差支えないような赤褐色になる。また比重もそれに伴って高くなる。

【その他性質等】:メランチ類の特徴といえるのは軸方向細胞間道(樹脂道)が同心円状に長く連続していること。道管の直径が大きいため、肌目は粗い。辺材はヒラタキクイムシの害を受け易い。丸太の中心部から採取した木材は脆心材という脆い木材の部分を含むので注意。

【その他加工等】:防腐剤の注入は難しいとされている。

 

*1:ラワンは色合いで大きく分けられて、白ラワン類と赤ラワン類、そして黄ラワン類があるようです。レッドメランチはこの赤ラワン類に入るのでしょう。
その他の呼び名で書いた「アルモン」はホワイトラワンに分類されるという資料もありました。ライトレッドメランチ(アルモンなど)は本来レッドメランチと分けるのかも知れません。



2015.06.22
ホワイトアッシュ

Howaitoasshu2

 

名称・・・ホワイトアッシュ(White ash、Small seed ash)

その他呼び名・・・

アメリカタモ、北米タモ、アメリカトネリコ、アメリカアッシュ、アメリカンホワイトアッシュ、ボルチモアアッシュ、オレゴントネリコ(オレゴンアッシュ)、グリーンアッシュ、アッシュ

科目・・・モクセイ科トネリコ(Fraxinus)属・広葉樹・環孔材・合弁花類(被子植物)

学名・・・

Fraxinus americana
Fraxinus pennsylvanica(グリーンアッシュ)、

Fraxinus excelsior(アッシュ)、

Fraxinus latifolia、Fraxinus oregona(オレゴントネリコ)、

Fraxinus anomala、

Fraxinus berlandierana、

Fraxinus caroliniana、

Fraxinus cuspidata、

Fraxinus dipetala、

Fraxinus gooddingii、

Fraxinus greggii、

Fraxinus nigra、

Fraxinus papillosa、

Fraxinus pro

産地・・・北米全域。中東部に多い。ヨーロッパ、西アジア。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗、硬さ:やや硬、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.69

平均収縮率%(柾目方向):0.18

平均収縮率%(板目方向):0.29

曲げ強度MPa:125

圧縮強度MPa:51

せん断強度MPa:13.4

曲げヤング係数GPa:12.2

加工性・・・鋸挽:容易~中、鉋掛:容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~中、塗装性:中

用途・・・造作材、建具、家具、合板

運動器具、バット素材、装飾材、化粧用単板、箱材、フローリング

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)60万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

スチーム曲げに適している。表面の仕上りは良好。ステインや艶だし加工で美しく仕上がる。日本のタモやトネリコ、シオジなどに類する。直径1.0m。ヤチダモより少し重く、より粘り、強度がある。衝撃に強い。ただ育った場所により材の性質に差が出て、キリのように軟らかい材もある。24x7.5x300cmの規格品のフリッチが主で丸太の輸入は少ない。市場で取り扱われるホワイトアッシュの類の木材には、グリーンアッシュが含まれているとされている。素地着色を施すと逆目に色が吸い込まれ、色ムラを発生しやすい。

 

備考・・・

ヨーロッパや西アジア産のもの(=アッシュ:Fraxinus excelsior)もホワイトアッシュと言うようです。でもホワイトアッシュと言えば通常は北米産のものの事を指すと思います。
英名がたくさんあったので一応挙げておきます。Biltmore Ash、Biltmore White Ash、Canadian Ash、Cane Ash、Ground Ash、Mountain Ash、Quebec Ash、Red Ash、Smallseed White Ash、White River Ash、White Southern Ash、Dwarf Ash、Singleleaf Ash



2015.06.22
ホワイトウッド

Howaitouddo2_2

 

名称・・・ホワイトウッド(White wood)(*1)

その他呼び名・・・

欧州唐桧(オウシュウトウヒ)(ヨーロッパ唐桧(ヨーロッパトウヒ)、ヨーロッパスプルース、ヨーロピアンホワイトウッド、ノルウェースプルース、ドイツ唐桧(ドイツトウヒ)、ドイツ松(ドイツマツ)(*2))、北洋蝦夷松(ホクヨウエゾマツ)(ソ連蝦夷松(ソレンエゾマツ)、スプルース、エリアンスカヤ(現地ロシアでの呼び名))

科目・・・マツ科トウヒ(Picea)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・

Picea abies (オウシュウトウヒ)、
Picea jezoensis (ホクヨウエゾマツ)(*3)

産地・・・欧州全域、ロシア連邦、シベリア大陸、中国北東部、黒竜江周辺、千島列島、樺太、北海道

色調・・・心材は淡い黄桃色、極淡黄白色。辺材は黄白色、極淡黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:やや緻密、硬さ:軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.47~0.6

平均収縮率%(柾目方向):0.16~0.18

平均収縮率%(板目方向):0.28~0.36

曲げ強度MPa:68*

圧縮強度MPa:30*

せん断強度MPa:7.8~8.8*

曲げヤング係数GPa:9.3*

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易~やや困難(樹脂による障害)、釘打保持力:やや弱、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:注意

用途・・・構造材、下地材、建具

梱包用材、器具材、パルプ用、集成材、ヴァイオリンの表板、ピアノの響板

価格・・・☆

メーカー・・・ストゥーラエンソティンバー(フィンランド)

一般流通サイズ・・・間柱:105x27x3000(KD#1\80,000/㎥)

集成管柱:105x105x3000

カリスジ:105x27x4000

間柱:105x27x3000

72x33x(3000、4000)

 

その他・・・

北米産のスプルース類の代替材として利用られていた。ヨーロッパではオウシュウアカマツと共に最も普通に見られる造林樹種の一つ。ヨーロッパではクリスマツツリーとしてもよく使われる。

 

【その他色調等】:鉋(カンナ)の削り面には光沢が有り、仕上りは良好。斑の模様不鮮明。色が白く揃っていて、節は小さい。

【その他性質等】:乾燥による収縮が比較的小さく、狂いが少ない。脂条が多く見られる。音響的性能が優れている為、楽器用材としても使われる。北海道産エゾマツより比重がやや重たい。比較的欠点が少なく、材質も均一で歩留まりの良い製材原料である。

【立木での性質等】:大陸では樹高30~50m、直径0.6~1mに達するが、スカンジナビア半島のものはあまり大きなものはない。

 

備考・・・

オウシュウトウヒとホクヨウエゾマツを分けている場合も有ります。どちらもホワイトウッドと呼びますが、一般にホワイトウッドと言うと、オウシュウトウヒ(=ヨーロッパ産)の方を指す事が多いかもしれません。

 

*1:米国でホワイトウッドというとイエローポプラ(ユリノキ)を指す事があるようです。もちろん上でいってるホワイトウッドとは別物です。
*2:ドイツマツというと、ジャーマンスプルース(学名:Picea excelsa )を指す場合もあります。
*3:学名をPicea jezonensis とする資料もいくつかありましたが、たぶんPicea jezoensis で良いと思います。ちなみに北海道産のエゾマツも、いわゆるホクヨウエゾマツとは生育地や環境が違う為、性質は若干異なるようですが学名はPicea jezoensis で同じです。



2015.06.22
ホワイトオーク

Howaitoooku

 

名称・・・ホワイトオーク(White oak)

その他呼び名・・・

アメリカンホワイトオーク、ウェスタンホワイトオーク、アパラチアンオーク、チェリーオーク、チェストナットオーク、ポストオーク、オーバーカップオーク、スワンプチェストナットオーク、チンカピンオーク、バーオーク、スワンプホワイトオーク、ライブオーク、オレゴンホワイトオーク、ノーザンホワイトオーク、サザンホワイトオーク

科目・・・ブナ科コナラ(Quercus)属・落葉広葉樹・環孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Quercus alba L.(ホワイトオーク)
Quercus prinus(チェストナットオーク)、

Quercus stellata(ポストオーク)、

Quercus lyrata(オーバーカップオーク)、

Quercus mishauxii(スワンプチェストナットオーク)、

Quercus muehlenbergii(チンカピンオーク)、

Quercus marcrocarpa(バーオーク)、

Quercus bicolor(スワンプホワイトオーク)、

Quercus vieriniana(ライブオーク)、

Quercus garryana(オレゴンホワイトオーク)

産地・・・北米大陸一帯に広く分布。中でもアメリカ東部やカナダに多い。ヨーロッパにも見られる。

色調・・・心材は淡黄褐色、灰褐色、淡褐色ないし濃褐色、褐色、赤褐色、時に桃色を帯びる。辺材は淡黄白色、白色、淡白色、淡褐色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗~やや粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.68~0.75

平均収縮率%(柾目方向):0.21

平均収縮率%(板目方向):0.39

曲げ強度MPa:121

圧縮強度MPa:59

せん断強度MPa:13.7

曲げヤング係数GPa:14.1

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~やや困難、鉋掛(カンナガケ):容易~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:中~良好、乾燥:やや困難、塗装性:中

用途・・・造作材、家具、合板

床材、船舶材、枕木、ウィスキーやブランデーの樽材、桶材、化粧用単板、器具

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)50万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、60㎜

 

その他・・・

ホワイトオークは次のいくつかの樹種の総称。ホワイトオーク(White oak)、チェストナットオーク(Chestnut oak)、ポストオーク(Post oak)、オーバーカップオーク(Overcup oak)、スワンプチェストナットオーク(Swamp chestnut oak)、チンカピンオーク(Chinkapin oak)、バーオーク(Bur oak)、スワンプホワイトオーク(Swamp white oak)、ライブオーク(Live oak)。産出地によりノーザンホワイトオークとサザンホワイトオークを区別して販売することもある。大きな放射組織がある為、柾目面に美しいシルバーグレイン(虎斑:とらふ)が現れる。斑の模様鮮明。仕上りは良好。衝撃に強い。丸太により材色の違いが大きい為注意が必要。釘打は穴あけ加工が望ましい。ヒラタキクイムシの虫害にあいやすい。レッドオークと比べると狂いが出やすい。辺材の幅は狭い。一般に収縮率が高い為、乾燥の際に狂いが出たり板目面に小割が入りやすい。樹径1.5m。ホワイトオークの導管孔にはチロース繊維構造を持っていて、樽にして液体の容器にしても液漏れせずに通気もする。この特性はウィスキーやブランデーの醸造に最適でオークの持つタンニンが酒に溶け込み芳醇な香りを醸し出す。「オーク」という言葉はカシ類とナラ類を意味しているが、ホワイトオークは後者で日本のミズナラに良く似ている。ただミズナラよりも全体的に木目が荒く、色が白いのが特徴。

 

備考・・・

「ホワイトオーク」というと、特定の樹種であるQuercus albaを指す場合と、似ている樹種を総称している場合とがありますが、一般的には後者の方が多いようです。ホワイトオークの中でライブオークだけは日本のカシに近く常緑で、半環孔材のようです。