2015.06.25
カリン

Karin2

 

名称・・・花梨(花欄・花林)(Chinese quince)

その他呼び名・・・

印度紫檀(インドシタン)(印度花梨(インドカリン))、ヤエヤマシタン、ナーラ(ナラ)(フィリピンでの呼び名)、リングア(リンクワ)、アンサナ(アングサナ)(インドネシアでの呼び名)、パドウク(パドック)(ミャンマーでの呼び名)、ニューギニアローズウッド(パプアニューギニアでの呼び名)、セナ(マレーシアでの呼び名)、本花梨(ホンカリン)、ビルマカリン(ビルマシタン)、プラドウ

科目・・・マメ科ソラマメ亜科シタン(Pterocarpus)属・広葉樹・環孔性散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Pterocarpus indicus Willd
Pterocarpus macrocarpus(ビルマカリン)

産地・・・タイ、ミャンマーなどの東南アジアに多く、フィリピンを経てニューギニアなど

性質・・・木理:かなり交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗、硬さ:極硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.52~0.74

平均収縮率%(柾目方向):0.12

平均収縮率%(板目方向):0.20

曲げ強度MPa:70~98

圧縮強度MPa:51~54

せん断強度MPa:10.5~11.4

曲げヤング係数GPa:10.4~12.1

加工性・・・鋸挽:やや容易~(困難)、鉋掛:やや容易~(困難)、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:中~困難、塗装性:注意

用途・・・造作材、家具

器具、楽器、装飾材、床柱、床廻り材、スライスドベニヤ、唐木細工、指物、三味線の胴、重構造材、車輌材、羽目板、床張

価格・・・☆☆☆☆☆~

無節材(2000x210x34㎜)150万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

唐木のひとつ。一般に均一な色調を示すことは少なく、縞模様になることが多い。表面仕上は良好。ただ仕上げ時に逆目が立ちやすい。ゆっくりと乾かさないと乾燥によって狂いやすい。磨くと光沢が出て美しい。バラ科の果樹・花木として知られるカリンとは全く別の種類。日本産ナシ科のカリンも榠櫨や花輪と書き全く別の樹種。同属の樹種にアフリカ産のアフリカンパドウク(学名:Pterocarpus soyauxii)がある。同属の類似の種類があり、ローズウッドなどはカリンとして扱われることがある。広義にはシタン類の一種で、中国名では紫檀とされる。斑の模様不明瞭。インドシナに生育し大木になる。通常の樹高は10m、樹径0.8m程度だが樹高30~45m、樹径1.8mにも達する。材の浸漬液(木材を削り試験管に入れて水を注いだもの)を太陽光にかざすと美しい蛍光を発する。シタンやコクタンの代替材として用いられることが多い。シタンよりやや軽軟で材質は劣る。

 

備考・・・

インドシタン=ナーラ=リングア(フィリピン、インドネシア産)が学名:indicusの樹種で、ホンカリン=ビルマカリン=パドウク=プラドウ(タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム産)が学名:macrocarpusの樹種として二つを分けようとしていることもあります。
同属の樹種にアフリカ産のムニンガ(学名:Pterocarpus angolensis)というのもあるみたいです。



2015.06.25
キハダ

Kihada

 

名称・・・木肌(黄蘖、黄膚)(Amur corktree)

その他呼び名・・・

ヒロハノキハダ(*1)、樺太木肌(カラフトキハダ)、キワダ、シコロ(北海道や東北での呼び名・方言)、雌桑(女桑)(メグワ)(本桑と区別する時の呼び名)、黄柏(黄檗)(オウバク、オオバク)

科目・・・ミカン科キハダ(Phellodendron)属・落葉広葉樹・環孔材・被子植物

学名・・・Phellodendron amurense Rupr.

産地・・・北海道、本州、四国、九州に自生。中国、樺太、朝鮮半島にも分布。

色調・・・心材は緑色を帯びた黄褐色。辺材は白黄色、淡黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗~粗、硬さ:やや軟~やや硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.38~0.49(平均値)~0.57

平均収縮率%(柾目方向):0.15

平均収縮率%(板目方向):0.25

曲げ強度MPa:78

圧縮強度MPa:37

せん断強度MPa:11.3

曲げヤング係数GPa:7.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:中、乾燥:容易~中、塗装性:中

用途・・・造作材、家具

床柱、楽器材、内装材、器具材、薪炭材、指物、単板、天然木化粧合板

価格・・・☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

樹皮の内側が黄色な為「木肌」と呼ばれる。樹皮はベルベリンなどのアルカロイドを含み苦味が有り、生薬名を黄檗(おうばく)といい、健胃剤や火傷の医薬などとして用いる。古くから胃腸薬として知られ、陀羅尼助(だらにすけ)、御百草(おひゃくそう)、熊胆(ゆうたん)などが有名。また黄色の染色剤に用いる。着色してクワ材の代用として使われることがある。オオバノキハダ、ミヤマキハダなどの変種があり、木材は良く似ている。

 

【その他色調等】:光沢があり杢目が非常に美しい。仕上り面は特に良いとは言えない(*2)。年輪ははっきりとしている。道管が大きい為、肌目が粗い。長い時間空気に曝されていると褐色になっていく。

【その他性質等】:広葉樹としては比較的軽く、軟らかい。木材の保存(耐朽性)は低いが、クリに次いで水に強い木として用途に広がりを持っている。乾燥時に狂い易い点や、割れ易い点もある。

【その他加工等】:

【立木での性質等】:それほど蓄積は多くない。樹高25m、樹径1.0m近くにもなる。雌雄異株。幹はまっすぐで、成長が早い。樹皮にコルク層(樹の皮と材の間の部分)が発達していて厚い。10月頃に青黒いぶどうの粒のような丸い実がなる。香りが強く食べると苦いが、この実をシコノヘイと言い、駆虫薬として使う。

 

*1:「ヒノハノキハダ」や「ヒロノハキハダ」と言う事もあるかも知れません。たぶんヒロハノキハダの事だと思いますが。
*2:表面の仕上がりは良好とする資料もあります。



2015.06.25
キリ

Kiri

 

名称・・・桐(Paulownia)

その他呼び名・・・

会津桐(アイズキリ)、南部桐(ナンブキリ)、備後桐(ビンゴキリ)、越後桐(エチゴキリ)、日本桐(ニホンギリ)、シラギリ、泡桐(ホウトウ)、白桐(ハクトウ)(前2つは中国での呼び名)

科目・・・ゴマノハグサ科(*1)キリ(Paulownia)属・落葉広葉樹・散孔材に近い環孔材・合弁花類(被子植物)

学名・・・Paulownia tomentosa

産地・・・日本に野生のものはなく、北海道南部以南で植栽される。最近ではブラジル、パラグアイ、マレーシア、中国、台湾、アメリカ等にも植栽されている。特に会津(福島県)、南部(岩手県)、備後(岡山県から広島県東部)、越後(新潟県)、茨城県などが著名な産地。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:やや粗、硬さ:軟、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.19~0.30

平均収縮率%(柾目方向):0.09

平均収縮率%(板目方向):0.23

曲げ強度MPa:34

圧縮強度MPa:20

せん断強度MPa:5.4

曲げヤング係数GPa:4.9

加工性・・・鋸挽:容易~中、鉋掛:容易~注意、釘打保持力:中、糊付接着性:良好、乾燥:容易~困難、塗装性:注意

用途・・・造作材、建具、家具

タンス、下駄材、楽器材(琴、琵琶など)、箱材、金庫の内箱材、器具、内装材、羽子板、人形、仮面、彫刻、火鉢

価格・・・☆☆☆☆

無節材(2000x210x34㎜)100万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

心材、辺材共くすんだ白色、淡灰白色、淡褐色。ときに材面がやや紫色を帯びることがある。アクが強く、アク抜きを怠ると年月を経て徐々に黒ずむ。会津桐、南部桐が有名。日本には中国から伝来したとされ、アメリカにも自生する。成長が早く短期間で木材が得られる樹種である。樹高10m。髄は空洞となる。日本の木材中最も軽い。研磨すると光沢が出る。熱伝導率が極めて小さく、発火しにくい。また火に対しては表面が直ぐに焦げて炭化しそれ以上の中が燃えなくなる。水に対する吸湿性、吸水性が著しく小さく、水分による収縮、膨張が殆どない。湿気を通過することが少なく、割れ、狂いが少ない。斑の模様不鮮明。桐は梅雨入り前に伐採され、梅雨の長雨にさらされて灰汁(アク)が抜け綺麗な白銀色になり冴えた光沢が出る。この方法以外では材色が冴えず使用後に木が動いて使い物にならないと言われる。日本桐の他に、台湾桐(タイワンギリ:Paulownia kawakamii)(*2)や九重桐(ココノエギリ:Paulownia fortunei)(*3)などの種類があるが見分けは困難。

 

備考・・・

キリを分類するとニホンギリとタイワンウスバギリ、チョウセンギリ(Paulownia coreana Ueki)、ラクダギリに細分されるそうです。このうちチョウセンギリは材質も良く長命で銘木が多いようで、会津桐はこの種であると言われています。またウスバギリ(Paulownia elongata)という種類もあるようですが、詳細は不明です。
あと生産地名をつけた名称で「島桐」というのもあるようですが、これも詳しく分かりませんでした。

 

*1:ノウゼンカズラ科、もしくは独立のキリ科とする意見もあります。

*2:台湾桐はおもに中国や台湾産のようです。
*3:九重桐は中国、台湾のほか、南米で植栽されているようです。



2015.06.25
クスノキ

Kusunoki

 

名称・・・樟(楠(*1))(Camphor wood、Camphor tree)

その他呼び名・・・

クス、アオグス、イシグス、ナンジャモンジャ(ナンジャモンジャノキ)(*2)

科目・・・クスノキ科クスノキ(Cinnamomum)属(*3)・常緑広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Cinnamomum camphora (L.) Presl

産地・・・本州(関東以南)、四国、九州などの暖地、特に海岸に多い。台湾、中国、済州島にも分布。

色調・・・心材は帯黄紅褐色、黄褐色、紅褐色~部分的に暗緑を帯びた褐色。辺材は淡黄白色、灰白色~淡黄褐色。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭(なだらか)~やや不明瞭、肌目:(緻密~)やや粗、硬さ:やや軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):(弱~)強、磨耗耐久性:中

気乾比重:0.41~0.52(平均値)~0.69

平均収縮率%(柾目方向):0.13

平均収縮率%(板目方向):0.25

曲げ強度MPa:69

圧縮強度MPa:39

せん断強度MPa:9.8

曲げヤング係数GPa:8.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~やや困難、鉋掛(カンナガケ):容易~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~注意、乾燥:中~やや困難、塗装性:中

用途・・・造作材、建具、家具

欄間、床柱、仏壇、彫刻用材、タンスの引き出し、衣装箱、器具、楽器、木象嵌、木魚、庭園樹、街路樹、古代には丸木舟

価格・・・☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、45㎜

 

その他・・・

「楠(*1)」は南国から渡来した木を意味する。材や葉から樟脳(しょうのう)が採取される。

 

【その他色調等】:心材の色はどちらかといえば不安定。材はくすんだように見えることもあるが、根瘤(こんりゅう)が付きやすく時に玉杢や葡萄杢などの美しい杢が出ることもある。斑の模様不鮮明。年輪ははっきりしている。仕上りは中庸。

【その他性質等】:耐湿性に優れる。材のままでも芳香が強く、虫害を防ぐ効果がある。

【その他加工等】:乾燥時に狂いが出やすい。加工は容易だが、逆目を起こし易い。

【立木での性質等】:樹高は20m以上、樹径2.0mに達する。成長が早い上に長命。鹿児島県、熊本県、宮崎県には天然記念物の指定を受けている大木がある。特に鹿児島県の「蒲生(かもう)のクス」は有名で目通り周囲約24m、樹高30m、推定寿命850年。

 

*1:一般的に「楠」の字はクスノキと読みますが、本来は中国のタブノキを指す字で、タブノキと読む事があるようです。
*2:見慣れない立派な樹木に対して地元の人々が付けた愛称のようなもので、モクセイ科のヒトツバタゴもこう呼ばれるようです。
*3:和名をニッケイ属と呼ぶ事もあります。



2015.06.25
クモスギ

Kumosugi

 

名称・・・雲杉(Dragon spruce)

その他呼び名・・・

云杉(ウンスギ)、雲南杉(ウンナンスギ)、中国スプルース、ドラゴンスプルース

科目・・・マツ科トウヒ(Picea)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Picea asperata

産地・・・中国の雲南省・四川省、チベット。

色調・・・心材、辺材共淡い黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:{緻密/粗、硬さ:やや軟、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.5

平均収縮率%(柾目方向):

平均収縮率%(板目方向):

曲げ強度MPa:

圧縮強度MPa:

せん断強度MPa:

曲げヤング係数GPa:

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:{良好/不良、乾燥:{容易/困難、塗装性:高

用途・・・造作材、建具

碁盤・将棋盤

価格・・・☆

無節材(2000x210x34㎜)40万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:24㎜、30㎜、34㎜

 

その他・・・

日本のエゾマツと同属。北米産スプルースと比べても遜色はなく、値段はこちらの方が安い。

 

【その他性質等】:材の安定性は良いが割れやすい。マツ科特有の臭いや樹脂分は少ない。



2015.06.25
クリ

Kuri2

 

名称・・・栗(Chestnut)

その他呼び名・・・

柴栗(シバグリ)、チェストナット、ヤマグリ

科目・・・ブナ科クリ(Castanea)属・落葉広葉樹・環孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Castanea crenata Sieb. et Zucc.

産地・・・北海道西南部から本州、四国、九州に生育。朝鮮などにも分布。福島県、宮城県、岩手県、島根県などに蓄積量が多いとされる。

性質・・・木理:ほぼ通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):強~極強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.55

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.36

曲げ強度MPa:78

圧縮強度MPa:42

せん断強度MPa:7.8

曲げヤング係数GPa:8.8

加工性・・・鋸挽:容易~やや困難、鉋掛:中~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:中~やや困難、塗装性:中

用途・・・構造材、造作材、家具

器具材、土台、土木材、枕木、杭、抗木、車両、ひきもの、装飾材、井桁、橋梁、漆器木地、彫刻材

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜

 

その他・・・

辺材は狭い。材はタンニンを多く含み、年数が経つと徐々に濃くなり栗色から黒褐色に変化する。年輪の境界に大きな道管が帯状に配列して環状になっている為、年輪は明瞭。クリの道管は日本の広葉樹の中では最も大きい部類に入る。弾力に富み狂いが少ない。水湿に良く耐える。釘打などで割れやすく予備穴が必要。樹高は約10m、樹径は0.6m。大径木は少ない。斑の模様不鮮明。いわゆる「名栗(ナグリ)工法」は、兵庫県丹波の職人が六角の丸棒状にしたクリ材の表面を、手斧で波形に削って作ったのが始まり。クリは虫害や腐食に強い為、防腐・防虫処理が無かった時代には家屋の土台として重要視された。表面の仕上りは中庸。土の中に埋めておいたものは、黒味を帯びてきて風流な趣がでてくるので、鏡台や本箱などに使われる。植栽は主に食用にする栗の採取が目的だが、クリが多く分布している地域では、柱にクリを使っていることがあり、総クリ造りという場合もある。



2015.06.25
クロマツ

Kuromatu2

 

名称・・・黒松(Japanese black pine)

その他呼び名・・・

雄松(オマツ)、男松(オトコマツ)、シラホマツ(静岡での呼び名)、脂松(ヤニマツ)(肥松(コエマツ))(*1)、山陰松(サンインマツ)

科目・・・マツ科マツ(Pinus)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Pinus thunbergii

産地・・・本州北部から四国、九州。北海道を除いた日本全土の海岸沿いに生育。朝鮮南部や済州島にも自生する。特に鳥取県と島根県(山陰)産のものは山陰松と呼ぶ。

色調・・・心材は淡い褐色、淡赤褐色、淡い黄褐色。辺材は淡い黄白色、白褐色。

性質・・・木理:ほぼ通直、辺心材の境目:不明瞭~明瞭、肌目:粗、硬さ:中庸~硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.57

平均収縮率%(柾目方向):0.17~0.20

平均収縮率%(板目方向):0.27~0.32

曲げ強度MPa:89*

圧縮強度MPa:50*

せん断強度MPa:8.9*

曲げヤング係数GPa:9.9*

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~注意、乾燥:容易~やや困難、塗装性:注意

用途・・・構造材、造作材、家具

床材、土木材、船舶材、枕木、坑木、橋、港湾の杭・桁・扉、水門

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

樹皮は黒褐色。二葉松類で葉はアカマツよりも太くて剛く、より低地、海岸近くに多い。アカマツに比べ、幹が曲がったものが多く、枝は太い。また樹脂分も多い。辺材がアカマツよりも多く、重硬。大きな生節や脂壷(ヤニツボ)のあらわれるものがある。樹高30~35m、0.5~0.8m。斑の模様不明瞭。水湿に良く耐える。表面の仕上がりはあまり良くない。ただ樹脂分が均質に含まれている為、面材として使用する場合、長い年月空ぶきして磨くと重厚な光沢のあるものに仕上がる。水分の多い土中で強い耐腐朽性があるが、反面、湿度の高い空気中ではかなりの早さで腐食が始める。水中耐久性を利用して、クロマツは橋や水門などに使われる。樹齢150年以上になると銘木として扱われるが、マツクイムシなどの害により優良な老木は減少している。樹幹から松脂(マツヤニ)やテレピン油を採る。古くから防砂林、防風林などとして植えられてきた。白砂青松(はくしゃせいしょう)と言われるようにクロマツは日本の代表的な風景には欠かせず、三保の松原、静岡の千本松原、東海道の松並木、島根の関の五本松などのクロマツは有名である。

 

備考・・・

北海道でクロマツというとトウヒ属のエゾマツを指す事があるようです。
三河松(ミカワマツ)または三河黒松と呼ばれるクロマツは、愛知県の三河産で葉性、皮性の優れたものの総称で盆栽で有名なようです。建築用材としては、ミカワマツの呼び名はあまり馴染みがなさそうです。

 

*1:大径木のアカマツやクロマツなどから取れた板材のうち、特に脂気の多いものをヤニマツまたはコエマツと呼びます。力強く明瞭な杢目と飴色の光沢をもち、床の間の地板として良く使われています。



2015.06.25
ケヤキ

Keyaki

 

名称・・・欅(Zelkova)

その他呼び名・・・

本欅(ホンケヤキ)、槻(ツキ)、ツキケヤキ、ケヤ

科目・・・ニレ科ケヤキ(Zelkova)属・落葉広葉樹・環孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Zelkova serrata

産地・・・本州、四国、九州に自生。朝鮮。

色調・・・心材は黄褐色、帯黄紅褐色、赤褐色。辺材は灰白色、淡黄褐色、帯黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗、硬さ:やや硬~超硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.47~0.69~0.84

平均収縮率%(柾目方向):0.16

平均収縮率%(板目方向):0.28

曲げ強度MPa:98

圧縮強度MPa:49

せん断強度MPa:12.7

曲げヤング係数GPa:11.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:困難~中、塗装性:高

用途・・・構造材、造作材、建具、家具

寺社建築、大黒柱、臼、杵(きね)、電柱腕木、太鼓の胴、器具、彫刻、突板加工されて床の間の床板・違い棚・地板など。

価格・・・☆☆☆☆☆~

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

日本を代表する樹木。年輪は明瞭で光沢がある。耐湿性に優れる。弾力に富み、曲木になる性質をもつ。斑の模様繊細。狂いやあばれが落ち着くまでに、かなりの乾燥時間を要する。古くはツキとも呼ばれ、また類似種と区別するためホンケヤキと呼ばれることもある。玉杢(たまもく)、牡丹杢(ぼたんもく)、泡杢(あわもく)、如鱗杢(如輪杢)(じょりんもく)、葡萄杢(ぶどうもく)、笹杢(ささもく)などの美しい木目模様が現れることがある。特にケヤキの如鱗杢はあらゆる杢の中で最高級とされる。杢の出る部分は樹皮上に親指で押したような丸い窪みがあって、樹皮を剥ぐとコブが見え、この下の材が玉杢の出る部分である。日本一のケヤキは、新潟県十日町市松之山町湯山の大ケヤキで、樹高35m、目通り(目の高さの幹の周囲長)13.3m、枝は東西に35m南北に18m張り出し、推定で1,000トンの巨木で、樹齢1,900年と言われている(*1)。また、東京都府中市馬場大門のケヤキ並木も有名で、樹齢は約300~800年と推定されている。


*1:1996年頃に枯死の為に伐採され、今は跡だけが残っているようです。



2015.06.25
コウヤマキ

Kouyamaki2

 

名称・・・高野槙(Japanese umbrella pine)

その他呼び名・・・

本槙(ホンマキ)、槙(マキ)(*1)、クサマキ(*2)、金松(キンマツ)(*3)

科目・・・コウヤマキ科(*4)コウヤマキ(Sciadopitys)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Sciadopitys verticillata Sieb. et Zucc.

産地・・・本州中部から四国、九州の山地に自生。木曾と高野山に特に多い。

色調・・・心材は淡い黄褐色~淡い黄色。辺材は白色、乳白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭~明瞭、肌目:緻密、硬さ:中庸、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:弱

気乾比重: 0.35~0.42(平均値)~0.50

平均収縮率%(柾目方向):0.13

平均収縮率%(板目方向): 0.23

曲げ強度MPa:74

圧縮強度MPa:30

せん断強度MPa:5.9

曲げヤング係数GPa:7.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:中

用途・・・造作材

天井板、板類、器具材、枕木、土木材、船舶材、風呂桶、流し板、碁盤、飯櫃(めしびつ)、細工物、庭園樹、防火樹、古墳時代には棺材

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

日本の特産種。現在は非常に少なくなっていて、材として一般に目にすることは少ない。一属一種。紀州の高野山の木が特に有名であった為、高野槙と名付けられた。日本の木の中でも特に良い品質の木という意味で呼ばれる「木曾五木」(*5)のひとつ。また世界の三大庭園樹は、ヒマラヤシーダー(ヒマラヤスギ)とアロウカリア(ナンヨウスギ)およびコウヤマキと言われている。樹皮は槙肌(まきはだ)と呼ばれて和船、桶などの隙間に充填材として使われていた。

 

【その他色調等】: 辺材は狭い。年輪幅も一般に狭い。光沢がない。斑の模様不明瞭。年輪が波状になっていることもある。

【その他性質等】: 材の保存性は中程度だが、水湿には良く耐える。割裂性は大きい。脂気がやや多く、材には脂臭い特有の匂いがある。

【その他加工等】:仕上がりは中庸。

【立木での性質等】:樹高20~30m、樹径0.6~0.8m。全体的に蓄積量は少ない。春開花し、マツカサに似た球果をつける。成長が極めて遅く、植林には不適とされている。

 

*1:マキと言うと、「真木」とも書いて木材として優れたスギやヒノキの総称としても使われます。また、マキ科のイヌマキやラカンマキを指す事もあります。
*2:クサマキと言うと、コウヤマキよりマキ科のイヌマキを指す事が多いかもしれません。また、方言によってはヒバを指したりもするようです。漢字も「草槙」や「臭槙」などあって、非常にあいまいです。
*3:「金松」の字は中国特産のイヌカラマツを指す事もあるようです。
*4:以前はスギ科に含まれていましたが、コウヤマキ科として独立したようです。
*5:木曾五木とは、木曾檜、椹(サワラ)、翌檜(アスナロ)、鼠子(ネズコ)、高野槙の五つです。



2015.06.25
コクタン

Kokutan2

 

名称・・・黒檀(Ebony)

その他呼び名・・・

エボニー、カマゴン、烏文木(ウブンボク)、烏木(ウボク)、黒木(クロキ)、本黒檀(ホンコクタン)(真黒(マグロ)、ブラックエボニー)、縞黒檀(シマコクタン)(マッカサル、ゼブラウッド(*1)、マッカーサーエボニー)、青黒檀(アオコクタン)、斑入黒檀(フイリコクタン)(*2)

科目・・・カキノキ科カキノキ(Diospyros)属・常緑広葉樹・散孔材・合弁花類(被子植物)

学名・・・

Diospyros spp.
Diospyros philippensis Gurke、
Diospyros ebenum
Diospyros discolor
Diospyros montana
Diospyros rumphii
Diospyros mollis
Diospyros marmorata
Diospyros celebica などを含む

産地・・・インドネシア(スラウェシ島)を中心にタイ、ミャンマー、スリランカ、ヒマラヤ、ニューギニアなどの東南アジア全域に生育。またアフリカの一部にも分布。

色調・・・心材は黒色。もしくは、黒色と淡赤色や褐色、桃色、黄褐色の帯が交互に配列して縞目を有する。辺材は淡い赤色、灰白色。

性質・・・木理:通直(不規則なこともある)、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:超硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.85~1.09

平均収縮率%(柾目方向):0.19

平均収縮率%(板目方向):0.32

曲げ強度MPa:125~161

圧縮強度MPa:56~62*

せん断強度MPa:15.8~17.6*

曲げヤング係数GPa:13.5~20.2

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):困難、鉋掛(カンナガケ):困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:超困難、塗装性:注意

用途・・・造作材、家具

床柱、床材、唐木細工、仏壇、床柱、象嵌(ぞうがん)材、楽器材、工芸品、彫刻、合板の化粧表板、ゴルフのクラブヘッド

価格・・・☆☆☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

唐木(からき)の代表的な一種(*3)。年輪ははっきりしない。油が多く、磨けば磨くほど金属のような光沢がでる。斑の模様不明瞭。割れやすい為、釘止めは無理である。色調により、本黒檀、縞黒檀、青黒檀、斑入黒檀に大別される。本黒檀とは、全体が真っ黒なものを言い、真黒(マグロ)とも称する。主にDiospyros ebenumのような樹種から採取される。また、縞黒檀とは、黒色と紅褐色または灰褐色の縞杢を有したものを言い、模様の出方によっては非常に派手な感じになる。主にDiospyros discolorDiospyros rumphii から採れる。青黒檀とは、青緑色を帯びた黒色のものを言い、光沢は少なく最も重硬。主にDiospyros mollis から採れる。斑入黒檀とは、黒色と黄褐色で美しい斑模様をつくったものを言い、最も高価。Diospyros marmorata が代表的なものとされ、Diospyros celebica も同様の材面をもつ。インドのスリランカ島から出る真黒材は、微かな縞模様があり色が多少紫がかっていて美しく、床柱の最高級品とされる。あまり青味が強くなると青黒檀と呼ばれランクが下がる(*4)。品格のランクは、微かに縞の出るインド産の板目のそろった床柱を主席とし、縞黒檀は少し行形式がかかった物として次席と考えられる。柾目柱の採れる大物はあまり無く、成長が遅い木の為、乱伐され良材が枯渇してきている。最近は南に産地が下がり、インドネシアのスラウェシ(旧セレベス)島の中部からの出材が多くなっているが、黒色の薄い物が多く、縞物が主体で縞の色は薄く縞幅も疎になり品格に欠ける。ただ、最近は縞がある方がよく好まれて装飾的な用途に用いられているようである。属名の「Diospyros(ディオスピロス)」は「神(dios)」+「穀物(pyros)」で「神の食べ物」を意味している。柿の仲間からの木であり、果実は美味で食用となるものがあるが、なかには有毒なものもある。

 

備考・・・

万年筆の軸や、ボーリングの球などに使われる硬質ゴムのエボナイトは、外観がコクタン(エボニー)に似ていることからエボナイトと名付けられたそうです。

 

*1:ゼブラウッドというと、アフリカ産でマメ科のゼブラノなど、別種類を指すこともあります。
*2:その他、アラン、カユマラム、ボルネオエボニー(ボルネオコクタン)、バヒアローズウッド、リオローズウッドなどと呼ぶことがあるようですが、1つの資料でしか確認できませんでした。詳細は不明です。
*3:唐木には、他にシタンやタガヤサン、カリンなどがあります。
*4:『コクタンの中で、最も高級なのが青黒檀』という話もあります。青黒檀はコクタンの中では最も重硬で緻密ですが、光沢に乏しく、青緑がかって見えるが故にコクタンとしては上質なものには扱われない。というのが一般的みたいですけど。