2015.06.24
シラカバ

Sirakaba

 

名称・・・白樺(Japanese white birch)

その他呼び名・・・

シラカンバ、オオシラカンバ、樺皮(ガンピ)(一部北海道、東北地方での呼び名)、ホワイトバーチ、樺桜(カバザクラ)、白桜(シロザクラ)、樺(カバ、カンバ)、樺の木(カバノキ)

科目・・・カバノキ科カバノキ(Betula)属(*1)・落葉広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Betula platyphylla var.japonica

産地・・・北海道から本州中部。朝鮮、支那、満州、シベリア、樺太、千島列島、中国東北部、カムチャッカ半島等の乾燥地及び湿地。

色調・・・心材辺材共、帯黄白色、黄白色~淡黄褐色。

性質・・・木理:{通直/交錯、辺心材の境目:不明瞭、肌目:緻密、硬さ:中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.63

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.27

曲げ強度MPa:58

圧縮強度MPa:43

せん断強度MPa:9.4

曲げヤング係数GPa:8.3

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):やや困難、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:やや困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・造作材、家具

丸太のままで山小屋風の内装、船底天井等の竿縁、パルプ材、割り箸、器具、細工物、ナメコ栽培用の原木。

価格・・・☆☆☆☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

斑の模様不明瞭。心材部が非常に少なく、殆どが白太で構成されている。磨くと美しく仕上がる。立木、丸太とも菌の害を受けやすく、変色をしていることがしばしばある。随班というシラカバ独特な柔細胞が塊状に集まって出来る斑点の不正常な組織が、材中の各所に散在している。シラカバは寿命が短くせいぜい80年くらいしか生きられない為、樹高20m、樹径70~80cm位にしかならない。成長は極めて早い為、山が色々な原因で裸地になったような場合に最初に生え始めて、純林・一斉林を形成しやすい。裏日本方面では殆ど見られなく、宮城、山形県では見られない。樹皮は濡れていても燃焼するほど容易に燃やすことができ、北海道、東北地方では樹皮を焚き付けに使っていたことから、シラカバをガンピと呼ぶ。一般に用材としては使われるケースが少なく、木材としての価値より、高原の風物詩として立木の観賞価値が高く有名。

 

備考・・・

マカンバ(=ウダイカンバ)を含めてカバザクラと言うこともあるようです。ただ、「カバザクラ」と言えばシラカバを指し、「サクラ」とだけ言うとマカンバを指す事の方が多いかもしれません。ちなみに本来のサクラ(バラ科)を指す時は、ホンザクラやヤマザクラと呼んでいます。また「蒲桜(カバザクラ)」というのもありますが、これは埼玉県北本市石戸の東光寺境内にある、国の天然記念物に指定された個体で、日本五大桜の内のひとつです。樹種はエドヒガンザクラとヤマザクラの自然雑種と言われていて、シラカバとは全くの別種類です。
カバ(カンバ、カバノキ)という呼び名は、シラカバの他、マカンバやオノオレカンバ等を含めたカバノキ属の総称として使われることもあります。「樺」の読みは今日では「カバ」が一般的ですが、「カンバ」の音も残っていて、木の皮を指す古語の「かには(かにわ)」の発音が変化してきたもののようです。木材業界では古い方が多いせいか、まだ「カバ」より「カンバ」の方が通りが良いです。

 

*1:科目の「Betula属」を和名で「シラカンバ属」ということもあるみたいです。



2015.06.24
スギ

Sugi2

 

名称・・・杉(Japanses cedar)

その他呼び名・・・

椙(スギ)、秋田杉、吉野杉、屋久杉(薩摩杉、本屋久杉)、神代(ジンダイ)杉(茶神代、黒神代)、天竜杉、日田杉、飫肥(オビ)杉、春日杉、土佐杉(魚梁瀬(やなせ)杉)、霧島杉、マキ(古名)

科目・・・スギ科スギ(Cryptomeria)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Cryptomeria japonica D.Don

産地・・・本州北部から南は屋久島まで。特に、秋田、天竜(静岡県)、吉野(奈良県)、日田(ヒタ)(大分県)、飫肥(オビ)(宮崎県)、屋久(鹿児島県)、尾鷲(三重県)、智頭(チズ)(鳥取県)などの杉が有名。その他主な造林地に「春日(奈良県)、土佐(高知県)、霧島(南九州)、西川(埼玉県)、木頭(徳島県)、久万(クマ)(愛媛県)がある。

色調・・・心材は淡紅色から赤褐色、時に黒褐色を帯びる。辺材は白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや粗~粗、硬さ:やや軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.30~0.38(平均値)~0.45

平均収縮率%(柾目方向):0.10

平均収縮率%(板目方向):0.25

曲げ強度MPa:64

圧縮強度MPa:34

せん断強度MPa:5.9

曲げヤング係数GPa:7.4

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):中、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:中

用途・・・構造材、下地材、造作材、建具、家具

柱、天井板、磨丸太、器具、造船、梱包用材、電柱、割箸、樽桶材、下駄、指物

価格・・・☆

無節材(2000x210x34㎜)35万/㎥(*1)

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・貫:90x13x3650(一等\75,000/㎥)

柱:105x105x3000

 

その他・・・

日本特産の代表的な樹種。人工植栽は北海道南部にまで及ぶ。太古の昔より水土中に埋もれ火山灰などで青黒褐色に変色した珍奇な杉材を「神代(ジンダイ)杉」と言い、工芸品の製作や高級日本建築の装飾などに用いられる。「屋久杉」は、鹿児島県屋久島に自生する天然杉で樹齢千年を超えたものが屋久杉と呼ばれる。現在は伐採は禁止されているが、土の中に永年埋もれたものを営林署が掘り出し特別指定を受けた業者が商品化している。

 

【その他色調等】:木目は鮮明。古木には鶉杢(うずらもく)や笹杢(ささもく)などが現れ、指物や和家具などの材料として珍重される。斑の模様不明瞭。心材の色にかなり幅が有り、時には黒くなっているものがある。このように黒いものは「クロジン」と呼ばれ、美しいとはいえないので低く評価される。クロジンの杉は含水率が高いので利用上も種々問題がおきる。

【その他性質等】:比較的狂いは少ない。木目に沿って縦に割れやすい。耐水性はやや低い(*2)。特有の匂いを有す。脂気(やにけ)が少ない。材質は天然木であるか否かによってかなり違い、またそれぞれの成長過程や産地によって随分左右される。柾目から見て細かくて細い平行線がたくさん並んだような材は年輪が密ということで、堅くて均一で良い材と評価され「糸柾」と呼んで珍重される。

【立木での性質等】:大きいものでは樹高50m以上にもなり、国産樹種の中では高さ、寿命とも第一位の座を占める。太平洋岸に生息する杉は表杉と呼ばれ、種子からしか新芽が出てこない。中央の山脈を分岐点として、裏日本側に生息する杉は裏杉と呼ばれて、枝が垂れ下がり地面に枝が触れた所から着地して根を下ろし、そこから新芽を出し独立樹に成長する。表杉と裏杉とは性質が大きく違いその用途も変わる。杉の生育に一番良い場所は西日の当たらない谷間や北及び北東に面した山谷、山腹である。

 

*1:価格は一般の杉材の価格です。屋久杉や神代杉などは全く別格の単価で桁が1つか2つ違ってきます。銘木の扱いですよね。
*2:耐水性についてはやや弱いという資料のほかに、強いという資料もあります。幅があるのでしょう。



2015.06.24
スプルス

Spruce

 

名称・・・スプルス(Spruce)

その他呼び名・・・

唐檜(トウヒ)(*1)、新榧(シンカヤ)、シトカスプルス(シトカトウヒ、米唐檜(ベイトウヒ)、アラスカ桧、コーストスプルス、イエロースプルス)、エンゲルマンスプルス(エンゲルマントウヒ、コロンビアスプルス、マウンテンスプルス、シルバースプルス)、ウェスタンホワイトスプルス(カナダトウヒ、シロトウヒ、ホワイトスプルス)

科目・・・マツ科トウヒ(Picea)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・

Picea sitchensis (シトカスプルス)、
Picea engelmanni (エンゲルマンスプルス)、
Picea glauca (ウェスタンホワイトスプルス)

産地・・・北米大陸。

シトカスプルス:北米太平洋岸が中心。北はアラスカ州南部から南はカリフォルニア州北西部。
エンゲルマンスプルス:北米西部山岳地帯が中心。ロッキー山系をカナダから米国のアリゾナ州ニューメキシコ州のに分布。
ウェスタンホワイトスプルス:北米北部(特にカナダ西部)が中心。

色調・・・心材は帯黄淡紅白色、白色から淡い黄褐色。辺材は乳白色、白色から淡い黄褐色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:緻密、硬さ:中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.35~0.46

平均収縮率%(柾目方向):0.15

平均収縮率%(板目方向):0.25

曲げ強度MPa:70

圧縮強度MPa:37

せん断強度MPa:7.4

曲げヤング係数GPa:10.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):中~多少問題あり、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:注意

用途・・・造作材、建具、家具、合板

器具材、楽器材(ピアノの響板、バイオリンの甲板、ギターの表板など)、パルプ材、箱材、グライダーの骨組み、ボートのオールやマスト

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)60万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:24㎜、30㎜、34㎜

 

その他・・・

スプルスにはシトカスプルスと、エンゲルマンスプルス、ウェスタンホワイトスプルスがある。アラスカのシトカ周辺の材が木目が細かく良材でアラスカ桧と呼ばれる。独立樹で生育していて、群生は稀でシトカ周辺のみ。広義のスプルスは40種類以上ものトウヒ属の樹木の総称で、シベリア大陸のホワイトウッド(北洋エゾ松)も同種で、スプルスと呼ばれる(*2)。

 

【その他色調等】:仕上げは良好。光沢を持つ。斑の模様不鮮明。年輪はややはっきりする程度。材色は時間の経過と共にかなり濃色になるものもある。

【その他性質等】:マツ科特有の脂(ヤニ)もほとんどなく、無味無臭の良材。弾力性がある。寸法の大きな材がとれる。シトカスプルスには次の特有の欠点あり。①胴打ち②ボタン模様(腐れ始めの部分で菌が模様を作った部分)③凍結(水分の氷結で出来る中割)④糠目(ぬかめ)(木目が詰み過ぎて健全な組織が圧迫され弱体化した材質部)⑤霜降り目(柾目に斜めに縞模様が出て髄線のような形の目形の模様が全面に出て汚らしく見える部分)⑥勲章材(成長が遅いために過熟して腐食が始まった部分)。

【立木での性質等】:樹高は60~80mにも達する。ウェスタンホワイトスプルスは小さく、樹高30~50m程度。多くは日陰に生息する。

 

備考・・・

スプルスの中でいくつか種類にわかれていますが、シトカスプルス=米唐檜=アラスカ桧=コーストスプルス=イエロースプルスで、エンゲルマンスプルス=コロンビアスプルス=マウンテンスプルス=シルバースプルス、そしてウェスタンホワイトスプルス=カナダトウヒ=シロトウヒ=ホワイトスプルスのようです。

 

*1:唐檜というと、このスプルスではなく日本産のものもあるようです。
*2:「スプルス」というと欧州産のホワイトウッド(北洋エゾ松)を挙げている資料もありますが、ぼく個人のまわりでは北米産のトウヒ属の方を指すことが多いと思います。ここのスプルスも北米産のものを主体に取り上げています。



2015.06.24
セプター

Seputa2_2

 

名称・・・セプター(Sepetir)

その他呼び名・・・

セペチール、セペティア、スーパ(フィリピンでの呼び名)、シンドラ(シンドール)(インドネシアでの呼び名)、セプターパヤ(セペチールパヤ)

科目・・・マメ科シンドラ(Sindora)属、プセウドシンドラ(Pseudosindora)属・広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Sindora spp. (Sindora coriacea Prain.などを含む)(*1)、
Pseudosindora palustris Sym.

産地・・・マレーシア、インドネシア、フィリピン、ブルネイ、タイ、カンボジアなどに分布。

色調・・・心材は紅色を帯びた褐色から黄褐色、桃色を帯びるものから濃い赤褐色になるものまである。辺材は麦藁(むぎわら)色。

性質・・・木理:通直~浅く交錯、辺心材の境目:やや不明瞭~明瞭、肌目:やや緻密~やや粗、硬さ:やや硬~硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.57~0.76(*2)

平均収縮率%(柾目方向):0.13

平均収縮率%(板目方向): 0.26

曲げ強度MPa:91

圧縮強度MPa:46

せん断強度MPa:13.5

曲げヤング係数GPa:14.4

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):中~やや困難、鉋掛(カンナガケ):中~やや困難、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好~中、乾燥:中~困難、塗装性:中

用途・・・造作材、建具、家具、合板

床柱、フローリング、内装材、装飾用材、突き板、トラックのボディ、銃床

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

Sindora属はマレーシア、タイ、カンボジア、フィリピン(スマトラ島、ボルネオ島、スラウェシ島、ジャワ島)などに分布していて、約20種が知られている。Pseudosindora属の場合は1種がマレーシアのサラワク州の海岸に近い地域に分布しているのみである。Sindora属とPseudosindora属(セプターパヤ)は良く似ているが、Sindora属の木材には軸方向細胞間道(樹脂道)があり、それが同心円状に配列しており、一方Pseudosindora属は軸方向細胞間道(樹脂道)を持たないので区別できる。両者ともセプターと呼ばれて、同類の木材として取り扱われることが多い。

 

【その他色調等】:樹種によっては、濃色の縞があり美しい材面を持つことがある。また樹種によって心材の色が違っている。木目はつんで綺麗だが交差木目が細かくある。斑の模様不明瞭。生材の美しい木目は空気に触れると黒ずんでくる。わずかに光沢を有し、リボン杢も現れる。

【その他性質等】:材面に油性の感触がある。 強度はヒッコリーと同等。樹脂道があるこどで、一般に横断面にヤニが滲み出ていて、濃色のしみになっている。保存性は樹種により差があり、濃色で重硬なものほど高いとされている。広い辺材を持つ。

【その他加工等】:人工乾燥は容易だが、時間をかけてゆっくり乾燥させないと木口に割れが生じやすい。釘打ちによっても割れやすい。切削時、木に含まれるゴム質が絡み刃物の切れ味を損ねる。表面の仕上がりは良好。

【立木での性質等】:樹高30~45m、樹径1.2m。幹は通直で円筒状をなし、著しい根張りはない。

 

*1:その他Sindora affinisSindora echinocalyxSindora parvifoliaSindora siamensisSindora velutinaCopaifera palustrisCopaifera spp. 等もセプターと呼ばれるようです。
*2:Sindura spp.の値。樹種により幅があり、0.83(Sindura supaMerr. )、0.64~0.72(セプター、パヤ)などの数値もあるようです。



2015.06.24
ゼブラウッド

Zeburauddo2

 

名称・・・ゼブラウッド(Zebra wood)

その他呼び名・・・

ゼブラノ、ゼブラ、アフリカンゼブラウッド、ジンガナ(ザンガナ)

科目・・・マメ科–(Microberlinia)属・広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Microberlinia brazzavillensis A.Chev

産地・・・アフリカに分布し、ガボン、ナイジェリア、カメルーン、タンザニアなどの熱帯雨林、コートジボワール

性質・・・木理:交錯~やや交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗~やや粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.69~0.84

平均収縮率%(柾目方向):

平均収縮率%(板目方向):

曲げ強度MPa:{000

圧縮強度MPa:{00

せん断強度MPa:{00.0

曲げヤング係数GPa:{00.0

加工性・・・鋸挽:容易~困難、鉋掛:困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:超困難、塗装性:中

用途・・・造作材、家具

床柱、床廻り材、ボタン、突き板(壁面、床板、楽器)、キャビネット、装飾材

価格・・・☆☆☆☆

無節材(2000x210x34㎜)90万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:36㎜

 

その他・・・

濃褐色の縞杢(しまもく)を有するのが特徴。磨くと光沢が出る。板目面は狂いやすく、小割が入りやすい為、乾燥はゆっくり時間をかける必要がある。原木のままで長期間保存すると、腐れや変色を生じることがある。鉋(かんな)加工は困難で逆目や欠けたりする。昭和30~40年代にかけて洋服タンスの化粧板に使われ大流行した。年輪は不明瞭。斑の模様不明瞭。樹高30m、樹径1.0~1.5mくらいのものがある。板目では縞が判らないのでほとんど柾目に製材して突き板加工される。木目が交差して捻れが多いので欠けたりする。旋回木目。無垢材の単独使用は乾燥が難しい為使用例は少ない。リップルマーク(板面に現れるさざ波のような微細な模様)を有する。

 

備考・・・

南米産でウルシ科の広葉樹「ムイラカチアラ(学名:Astronium graveolens、Astronium fraxinfolium)」という樹種もゼブラウッドと言われているようです。



2015.06.24
セランガンバツー

Seranganbatu3

 

名称・・・セランガンバツー(Selangan batu)

その他呼び名・・・

バツー、バンキライ(インドネシアでの呼び名)、バラウ(マレーシアでの呼び名)、ヤカール、ギホ(フィリピンでの呼び名)、サル(サール)(インドでの呼び名)、玉檀(ギョクタン)(中国での呼び名)、イエローバラウ、パラウイ、チェンガイ、ボルネオオーク、テン、レッドセランガン(赤バツウ)、白バツウ

科目・・・フタバガキ科ショレア(Shorea)属(Shorea亜属)・常緑広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・

Shorea spp.
Shorea foxworthyi
Shorea laevis
Shorea astylosa
Shorea maxwelliana
Shorea robusta (サール、サル)、
Shorea guiso (ギホ)、
Shorea obtusa (テン)、
Shorea seminis などを含む

産地・・・インドネシア、インド、スリランカ(セイロン島)、マレーシア、フィリピン、ボルネオ島などの東南アジア

色調・・・心材は黄褐色、濃赤褐色、緑色を帯びた褐色など。辺材は淡色、淡黄色で時々灰色のしみがある。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:やや明瞭、肌目:緻密~やや緻密、硬さ:極硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.84~1.10

平均収縮率%(柾目方向):0.20

平均収縮率%(板目方向):0.43

曲げ強度MPa:113*

圧縮強度MPa:55*

せん断強度MPa:12.7*

曲げヤング係数GPa:15.7*

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):注意(やや困難)、鉋掛(カンナガケ):注意(やや困難)、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:注意、乾燥:注意(やや困難)、塗装性:中

用途・・・造作材、ウッドデッキ
柱、梁、根太、タルキ、敷居、土台、屋根板、器具の柄、重構造物、枕木、橋梁、波止場、船の骨組・甲板、車のスポーク、車軸、窓枠

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・90x20x2000(S4S(四面プレナー)・E4E(面取り)\300,000/㎥)

120x30x(4000、3700、3000、2700、2000)

105x30x(4000、3700、3000、2700、2000)

105x20x(4000、3700、3000、2700、2000)

90x20x(4000、3700、3000、2700、2000)

105x105x(4000、3700、3000、2700、2000)

90x90x(4000、3700、3000、2700、2000)

70x70x(4000、3700、3000、2700、2000)

55x45x(4000、3700、3000、2700、2000)

90x45x(4000、3700、3000、2700、2000)

 

その他・・・

セランガンバツーはインドネシアでの呼び名。セランガンバツーの「バツー」とは石という意味。比重の重いもの(0.84~1.09)をセランガンバツー(白バツウ)、比重の比較的軽いもの(0.8前後)をレッドセランガン(赤バツウ)と呼んでいる。

 

【その他色調等】:外観上はメランチ類と良く似ている。色調は外気に曝せば暗色に変色する。新しく切断した面は光沢があり、また時々蝋様に見える。

【その他性質等】:反り、割れ、ねじれなどにとても強く、耐久性においても10~20年あるといわれている。丸太が大きい為大断面をとることができる。害虫にも比較的強く、日本ではデッキ材として良く使用されている。欠点として材の中に木の成長中に入ったピンが見られることがある。

【立木での性質等】:地域によっては樹高50m、樹径1.0mの大径木もある。



2015.06.24
セン

Sen

 

名称・・・栓(Castor aralia)

その他呼び名・・・

線木(センノキ)、針桐(ハリギリ)、山桐(ヤマギリ)、ボウダラ、ツブ(関西方面での呼び名)、オニセン、ヌカセン、テングウチワ

科目・・・ウコギ科ハリギリ(Kalopanax)属・落葉広葉樹・環孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Kalopanax septemlobus Koidzumi
シノニム(異名):Kalopanax pictus Nakai

産地・・・日本各地に自生するが、多くは北海道。またサハリン(樺太)、朝鮮、中国にも分布

色調・・・心材は淡灰白色、淡灰褐色、淡黄褐色、黄白色。辺材は淡黄白色、白色。

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:(明瞭~)やや不明瞭、肌目:やや粗、硬さ:軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.40~0.52(平均値)~0.69

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.34

曲げ強度MPa:74

圧縮強度MPa:36

せん断強度MPa:7.4

曲げヤング係数GPa:8.3

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~中、塗装性:高

用途・・・造作材、家具、合板

下駄材、漆器下地、器具

価格・・・☆☆☆

無節材(2000x210x34㎜)75万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜、46㎜

 

その他・・・

木材としては「セン」、樹木としては「ハリギリ」と呼ばれる。木材をオニセンとヌカセンと呼び2種あるとすることがある。オニセンは年輪幅が広く、より重硬で乾燥などで狂い易く、ヌカセンは年輪幅が狭く、より軽軟で加工し易い。ヌカセンは家具用に好まれる。一般に樹木の成長が良い若い時期に形成された木材では、年輪幅が広くなるので年輪内に占める環状の道管の部分の割合は少なくなり、繊維の部分の割合が増える。これによりその年輪内の細胞の壁の量が増え比重が増加することになる。逆に樹齢を重ねると年輪幅が狭くなり、比重は低くなる。合板用材としても広く使われ、特に北海道セン合板は海外で高い知名度がある。

 

【その他色調等】:年輪幅は極めて狭く明瞭。板目面は光沢が有り年輪模様が美しい。面白い杢を現わすものもある。木目が高級材のケヤキに似ることから、着色して代替品に使われることがある。違いはケヤキより軽いので判る。斑の模様不明瞭。

【その他性質等】:わりあい大径の材で欠点が少ない。比重の割りに強い。

【その他加工等】:狂いやすいので十分な乾燥が必要。

【立木での性質等】:樹高25m、樹径1m。北海道の東北部方面から良材が出材される。肥沃な地に生育する。枝は太く、若木の時に鋭いとげが多いことからハリギリとも呼ばれる。



2015.06.24
ソフトメープル

Sohutomeipuru2

 

名称・・・ソフトメープル(Soft maple)

その他呼び名・・・

レッドメープル(アメリカハナノキ、ルブラカエデ、アカカエデ、ベニカエデ)、シルバーメープル(ギンカエデ、ギンヨウカエデ)、ボックスエルダー(ネグンドカエデ、トネリコバノカエデ)、ビッグリーフメープル

科目・・・カエデ科カエデ(Acer)属・広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Acer rubrum(レッドメープル)、

Acer saccharinum(シルバーメープル)、

Acer negundo(ボックスエルダー)、

Acer macrophyllum(ビッグリーフメープル)

産地・・・アメリカ東部、西海岸地域、カナダ

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:やや不明瞭、肌目:緻密、硬さ:やや硬~硬、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.53(シルバーメープル)~0.61(レッドメープル)

平均収縮率%(柾目方向):3(シルバーメープル)~4(レッドメープル)

平均収縮率%(板目方向):7.2(シルバーメープル)~8.2(レッドメープル)

曲げ強度MPa:61(シルバーメープル)~92(レッドメープル)

圧縮強度MPa:36(シルバーメープル)~45(レッドメープル)

せん断強度MPa:10.2(シルバーメープル)~12.7(レッドメープル)

曲げヤング係数GPa:7.8(シルバーメープル)~11.3(レッドメープル)

加工性・・・鋸挽:容易、鉋掛:やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:困難、塗装性:{低/中/高

用途・・・造作材、建具、家具、合板

モールディング、パレット、梱包材、枕木、壁パネル、バターのコンテイナー、楽器

価格・・・☆☆☆(*1)

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

ソフトメープルは、木質が似ている材を総称して呼んだ名で、ソフトメープルという名の種類があるのではない。ソフトメープル類の樹種のうち用材として重要なのは、レッドメープル、シルバーメープル、ボックスエルダーの3種類。心材は淡褐色から淡赤褐色、淡褐灰色(偽心赤褐色)、時々灰色あるいは緑色を帯びたり、あるいはかすかに紫色を帯びることがある。辺材は灰白色、ほぼ白色。年輪はあまり鮮明でない。美しく仕上がる。ゆっくり乾燥し、狂いはほとんどない。虫害には弱い。斑の模様不明瞭。木理が曲がりくねることもある。シルバーメープルはハードメープルと混生しており、ビッグリーフメープルはオレゴン州に生育している。シルバーメープルにはWhite、River、Water、Swampなどの樹種があり、東部で庭園樹として植林されている。またボックスエルダーも東部にある。樹径1m。ビッグリーフメープルは材質がやや柔らかな木材。ハードメープルよりも一般的に25%程度柔らかいとされる為、強さ硬さへの要求度が特に高くなければほとんどハードメープルと同様に使用されている。時に虫穴からゴミが入ってできた暗い縞模様をもつ材は、壁パネルや家具などに賞用されている。

 

備考・・・

ボックスエルダーは、三つ葉楓種でThree-leaved MapleやAsh-leaf Mapleなどの樹種があるようです。

 

*1:平割材などでは、あまりばら売りをしていません。バンドルで買うか、少量ならハードメープルを使った方が無駄はないでしょう。



2015.06.24
ダークレッドメランチ

Dakureddomeranti2

 

名称・・・ダークレッドメランチ(Dark red meranti)

その他呼び名・・・

セラヤ、レッドラワン(レッドフィリピンマホガニー、アカラワン)、ネメス、タンギール(フィリピンマホガニー)

科目・・・フタバガキ科Shorea属Rubroshorea亜属・広葉樹・散孔材・被子植物

学名・・・

Shorea spp.
Shorea pauciflora(ネメス)、

Shorea curtisii(セラヤ)、

Shorea negrosensis(レッドラワン)、

Shorea polysperma(タンギール)などを含む

産地・・・タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどの東南アジア

性質・・・木理:交錯、辺心材の境目:明瞭~(不明瞭)、肌目:粗、硬さ:やや硬、腐食耐久性(耐朽性):やや弱~中、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.48~0.55~0.74

平均収縮率%(柾目方向):0.15

平均収縮率%(板目方向):0.28

曲げ強度MPa:100

圧縮強度MPa:49

せん断強度MPa:10.0

曲げヤング係数GPa:11.7

加工性・・・鋸挽:容易~中、鉋掛:容易、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:良好、乾燥:注意、塗装性:注意

用途・・・建具、家具、合板

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

柾目面にはリボン杢が認められる。丸太の小口のブリットルハート(縦の繊維がなくなる状態)が認められる。ライトレッドメランチを含めると約70種ある。この類の木材はShorea属のRubroshorea亜属の樹種からの木材のうち濃色のものをいう。この類の一種であるタンギールはフィリピンマホガニーと呼ばれ、米国市場へさかんに輸出されたことがある。本物のマホガニーとは全く違う木材だが、色が似ていることからこう名付けて売り込んだのだと思われる。メランチ類の特徴である同心円状に配列する軸方向細胞間道(樹脂道)が多数はっきりと見える。濃色の木材だが成長が良いとライトレッドメランチのように淡色になり比重が低くなるので見分けがつかなくなる。気乾比重がライトレッドメランチ類は0.64以下、ダークレッドメランチ類は0.64以上0.80以下というような区別の仕方がされている。元来この類がラワンやメランチ類の典型的なもの。南洋材のなかのいわばスタンダードといえる。辺材はキクイムシ類の害を受ける。防腐剤の注入はしがたい方である。乾燥時に狂いが出やすい。

 

備考・・・

その他の呼び名にある「レッドラワン」というと、レッドメランチもそう呼ぶことがあるようです。ただ本来はダークレッドメランチのほうが近い感じがします。



2015.06.24
タウン

Taun2

 

名称・・・タウン(Taun)

その他呼び名・・・

マトア、カサイ、マルガイ、ソロモンマホガニー、ニューギニアマホガニー、蕃竜眼(バンリュウガン)

科目・・・ムクロジ科ポメティア(Pometia)属・常緑広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Pometia pinnata Forst.

産地・・・台湾、スリランカを含む東南アジアからパプアニューギニア、ソロモン諸島を経てサモアに分布。

色調・・・心材は桃褐色から濃赤褐色。辺材は淡い褐色から赤褐色、灰白色。

性質・・・木理:通直ないし、やや交錯、辺心材の境目:やや明瞭~明瞭、肌目:やや粗~粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重: 0.58~0.79

平均収縮率%(柾目方向):0.21

平均収縮率%(板目方向):0.27

曲げ強度MPa:101

圧縮強度MPa:44

せん断強度MPa:11.3

曲げヤング係数GPa:12.3

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~やや困難、鉋掛(カンナガケ):容易~注意、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:困難、塗装性:中

用途・・・造作材、家具、合板

床板、キャビネット、椅子・テーブルなどの脚物家具、屋内用構造材

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜

 

その他・・・

およそ3樹種あるが、材質が似ているため一括してタウンと呼ばれている。但し今では樹種は1種で、材質の違いは環境などの因子によるものと考えられている。「タウン」はパプアニューギニアからソロモンでの呼び名。インドネシアのカリマンタン方面では「マトア」と呼ぶ。日本への入荷はパプアニューギニアやソロモン諸島からが多い。メランチなどのように大量には得られない。日本の家具工業は、かつて大量のブナを材料として使ってきていたが、ブナの枯渇に伴ってその代替として、このタウンが取り上げられるようになった。また腐食や磨耗に強いことや、木目や色調が似ていることからマホガニーの代替材としても使われる。

 

【その他色調等】:斑の模様不鮮明。独特の光沢を有し、時に柾目面にリボン杢が現れる。

【その他性質等】:一般に、丸太の形が悪いことが多い。マトアの材質はタウンより少し柔らかく、疎で波状木理もあまりない。

【その他加工等】:表面の仕上がりは良好。釘を打ち込んだ際に損傷が出易いため、工夫が必要。乾燥時に反りや落ち込みが出やすい。

【立木での性質等】:樹高30~40m、樹径0.7~0.8m。