スプルス

Spruce

 

名称・・・スプルス(Spruce)

その他呼び名・・・

唐檜(トウヒ)(*1)、新榧(シンカヤ)、シトカスプルス(シトカトウヒ、米唐檜(ベイトウヒ)、アラスカ桧、コーストスプルス、イエロースプルス)、エンゲルマンスプルス(エンゲルマントウヒ、コロンビアスプルス、マウンテンスプルス、シルバースプルス)、ウェスタンホワイトスプルス(カナダトウヒ、シロトウヒ、ホワイトスプルス)

科目・・・マツ科トウヒ(Picea)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・

Picea sitchensis (シトカスプルス)、
Picea engelmanni (エンゲルマンスプルス)、
Picea glauca (ウェスタンホワイトスプルス)

産地・・・北米大陸。

シトカスプルス:北米太平洋岸が中心。北はアラスカ州南部から南はカリフォルニア州北西部。
エンゲルマンスプルス:北米西部山岳地帯が中心。ロッキー山系をカナダから米国のアリゾナ州ニューメキシコ州のに分布。
ウェスタンホワイトスプルス:北米北部(特にカナダ西部)が中心。

色調・・・心材は帯黄淡紅白色、白色から淡い黄褐色。辺材は乳白色、白色から淡い黄褐色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:緻密、硬さ:中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.35~0.46

平均収縮率%(柾目方向):0.15

平均収縮率%(板目方向):0.25

曲げ強度MPa:70

圧縮強度MPa:37

せん断強度MPa:7.4

曲げヤング係数GPa:10.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):中~多少問題あり、釘打保持力:弱、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:注意

用途・・・造作材、建具、家具、合板

器具材、楽器材(ピアノの響板、バイオリンの甲板、ギターの表板など)、パルプ材、箱材、グライダーの骨組み、ボートのオールやマスト

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)60万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:24㎜、30㎜、34㎜

 

その他・・・

スプルスにはシトカスプルスと、エンゲルマンスプルス、ウェスタンホワイトスプルスがある。アラスカのシトカ周辺の材が木目が細かく良材でアラスカ桧と呼ばれる。独立樹で生育していて、群生は稀でシトカ周辺のみ。広義のスプルスは40種類以上ものトウヒ属の樹木の総称で、シベリア大陸のホワイトウッド(北洋エゾ松)も同種で、スプルスと呼ばれる(*2)。

 

【その他色調等】:仕上げは良好。光沢を持つ。斑の模様不鮮明。年輪はややはっきりする程度。材色は時間の経過と共にかなり濃色になるものもある。

【その他性質等】:マツ科特有の脂(ヤニ)もほとんどなく、無味無臭の良材。弾力性がある。寸法の大きな材がとれる。シトカスプルスには次の特有の欠点あり。①胴打ち②ボタン模様(腐れ始めの部分で菌が模様を作った部分)③凍結(水分の氷結で出来る中割)④糠目(ぬかめ)(木目が詰み過ぎて健全な組織が圧迫され弱体化した材質部)⑤霜降り目(柾目に斜めに縞模様が出て髄線のような形の目形の模様が全面に出て汚らしく見える部分)⑥勲章材(成長が遅いために過熟して腐食が始まった部分)。

【立木での性質等】:樹高は60~80mにも達する。ウェスタンホワイトスプルスは小さく、樹高30~50m程度。多くは日陰に生息する。

 

備考・・・

スプルスの中でいくつか種類にわかれていますが、シトカスプルス=米唐檜=アラスカ桧=コーストスプルス=イエロースプルスで、エンゲルマンスプルス=コロンビアスプルス=マウンテンスプルス=シルバースプルス、そしてウェスタンホワイトスプルス=カナダトウヒ=シロトウヒ=ホワイトスプルスのようです。

 

*1:唐檜というと、このスプルスではなく日本産のものもあるようです。
*2:「スプルス」というと欧州産のホワイトウッド(北洋エゾ松)を挙げている資料もありますが、ぼく個人のまわりでは北米産のトウヒ属の方を指すことが多いと思います。ここのスプルスも北米産のものを主体に取り上げています。