シタン

Sitan

 

名称・・・紫檀(Rose wood、Black wood)

その他呼び名・・・

・ローズウッド(*1)

・本紫檀(ホンシタン)(シャムローズウッド、パユン(タイでの呼び名)、カムフン(クランフン)(ラオスでの呼び名)、トラック(トラク)(ベトナムでの呼び名))(*2)

・イーストインディアンローズウッド(インディアンローズウッド(インディアンローズ)、インドローズウッド(インドローズ)、ソノケリン(ソノクリン)(インドネシアでの呼び名)、パリサンダー(パリサンドル))(*3)

・ブラジリアンローズウッド(ブラジリアンローズ、ハカランダ(ジャカランダ)、白ジャカランダ(ホワイトローズウッド))(*4)

・手違紫檀(テチガイシタン)(チンチャン(チンチヤン)(タイでの呼び名))(*5)

・ココボロ(サザンアメリカンローズウッド)(*6)

・ホンジュラスローズウッド(ホンジュラスローズ、ニューハカランダ)(*7)

・アフリカンブラックウッド(アフリカコクタン、アフリカンエボニー、セネガルエボニー、グラナディラ(グラナディール、グラナディーロ))(*8)

・マダガスカルローズウッド(*9)

・アマゾンローズウッド(*10)

・ボンベイローズウッド(シッソーシタン)(*11)

 

科目・・・マメ科ソラマメ亜科ツルサイカチ(ヒルギカズラ)(Dalbergia)属・常緑広葉樹(一部落葉樹もあり)・環孔材的な散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・

Dalbergia spp.

Dalbergia cochinchinensis (ホンシタン)、
Dalbergia latifolia (落葉、イーストインディアンローズウッド)、
Dalbergia nigra (落葉、ブラジリアンローズウッド)、
Dalbergia oliveri (テチガイシタン)、
Dalbergia retusa (ココボロ)、
Dalbergia stevesonii (ホンジュラスローズウッド)、
Dalbergia melanoxylon (アフリカンブラックウッド)、
Dalbergia baroni (マダガスカルローズウッド)、
Dalbergia squceana (アマゾンローズウッド)
Dalbergia sissoo (落葉、ボンベイローズウッド)などを含む

産地・・・世界の熱帯から亜熱帯に分布。

・ホンシタン(D. cochinchinensis ):タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムなどの東南アジア沿岸地域

・イーストインディアンローズウッド(D. latifolia ):東インド、マダガスカル

・ブラジリアンローズウッド(D. nigra ):ブラジルのバイア州周辺

・テチガイシタン(D. oliveri  ):タイ、ミャンマー

・ココボロ(D. retusa ):メキシコ、パナマ、コスタリカ、コロンビアなどの中南米

・ホンジュラスローズウッド(D. stevesonii ):中米ホンジュラス

・アフリカンブラックウッド(D. melanoxylon ):タンザニア、モザンビークなどの東アフリカ

・マダガスカルローズウッド(D. baroni ):マダガスカル

・アマゾンローズウッド(D. squceana ):アマゾン川流域の比較的雨季、乾季の少なめな地

・ボンベイローズウッド(D. sissoo ):インド

色調・・・心材は赤紫褐色から紫色を帯びた暗褐色を呈し、黒紫色の縞模様を持つ。辺材は白っぽい淡色、灰白色。

性質・・・木理:交錯~やや交錯、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗~やや粗、硬さ:硬~超硬、腐食耐久性(耐朽性):強~極強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.75(D.nigra)~0.84(D.latifolia)~1.04(D.cochinchinensis)

平均収縮率%(柾目方向):2.71

平均収縮率%(板目方向):5.8

曲げ強度MPa:116(D.latifolia)~208(D.cochinchinensis)

圧縮強度MPa:63(D.latifolia)~(D.cochinchinensis)

せん断強度MPa:14.3(D.latifolia)

曲げヤング係数GPa:12.3(D.latifolia)

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):困難~やや困難、鉋掛(カンナガケ):困難~やや困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~注意、乾燥:困難、塗装性:高

用途・・・造作材、家具

床柱、仏壇、高級家具、キャビネット、内装用、指物、唐木細工、象嵌、突板、ナイフの柄、器具、楽器、ギター

価格・・・☆☆☆☆☆~

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

マメ科ツルサイカチ(Dalbergia)属の広葉樹のうち、赤味を帯びた木肌を持つものを主とした樹木の総称。学名の欄で挙げた樹種の他、この属のさらに数種がシタン(ローズウッド)として知られている。唐木のひとつ。唐木といえばシタン、コクタン、タガヤサンを指す。斑の模様不明瞭。木質は緻密だが肌目は粗く、表面仕上げは良好で磨くと美しい光沢がでる。自動鉋による加工では逆目が生じる為、仕上げは竪鉋(たてかんな)かバフ研磨で行う。樹高15m~24m。新鮮な木材には、バラのような香りをもつものもあり、ローズウッドの名の由来となった。床柱の高級品の代表格はシタンの床柱。シタンは有名ブランドな為、少し色が似ている他の樹種に「~ローズウッド」のような名前を付けた紛い物が良く作られる。加工の際粉塵でかぶれることがあるので注意が必要。塗装は道管が不規則な為、中途半端な膜厚を付けると返って見苦しくなる。完全なオープンポアー仕上げか鏡面仕上げが行われる。

 

備考・・・

カリンもシタンに分類された時期もあるようです。中国では2008年現在もカリンはシタンの分類みたいですが。

 

*1:ローズウッドと言うと、南米産のクスノキ科の樹木もあるようですが、材木として使われるものではなく、精油を得て香料やアロマテラピーに利用されるものです。
また、一般にローズウッドと言うとイーストインディアンローズウッドを指す事が多く、厳密な意味での本来のローズウッドと言うと、ブラジリアンローズウッドを指すようです。
広義のローズウッドは8科20属にも及ぶようです。インド産の紅木(コウキ)(レッドサンダルウッド:Pterocarpus santalinus)も広い意味のシタンに含まれることがあるようです。


Honshitan3_3

*2:ホンシタン・・・暗紫褐色。交差木目が多く、イーストインディアンローズウッドより加工しにくい。
日本でいうシタンは厳密にはこのホンシタン(Dalbergia cochinchinensis )と呼ばれるタイ産のものを指すようです。しかしタイが原木伐採禁止になり、産地がラオスへ、そして今ではカンボジア、ベトナム辺りへと移っているようです。

 

 

 

 

 

 

East_indian_rosewood2_5

*3:イーストインディアンローズウッド・・・全体に紫色が強く、黒色の縞を持つ。
イーストインディアンローズウッドをホンシタンと呼ぶ場合もあります。
ソノケリンとは、イーストインディアンローズウッドをインドネシアで植林した造林木である為、成長が早いことにより木目が粗いと言われるようです。
イーストインディアンローズウッドや、ブラジリアンローズウッドのことをボンベイブラックウッドと呼ぶと言う資料も一部ありましたが、ボンベイブラックウッドと言えば同じマメ科のタガヤサン(Cassia siamea )を指す事が多いでしょう。
イーストインディアンローズウッドをボンベイローズウッドと呼ぶと言う資料もありました。

 

 

 

Jacaranda3_2

*4:ブラジリアンローズウッド・・・くっきりとした黒い筋が見られる。
ブラジリアンローズウッドはワシントン条約の絶滅危惧種に指定され、国外への移出が禁止されています。
ハカランダ(ジャカランダ)というと、南米産のノウゼンカズラ科のキリモドキ(Jacaranda mimosifolia)とも呼ばれる観葉植物もあります。樹高15mにもなる常緑樹のようです。もちろんここのマメ科のハカランダ(=ブラジリアンローズウッド)とは全くの別物です。ちなみにハカランダ(Jacaranda)はスペイン語読みで、ジャカランダは英語読みまたは現地ブラジルでの読みのようです。
ブラジリアンローズウッドをサントスローズウッドと呼ぶと言う資料もありましたが、サントスローズウッドは、同じマメ科のモラド(Machaerium scleroxylon )と言われる別属の別種類を指すようです。またブラジリアンローズウッドをバヒアローズウッドや、リオローズウッド、カヴィナ、ジャカランダパルドなどと呼ぶと言う資料もありましたが、その資料だけしか確認できず、詳細は不明です。ちなみにリオローズウッドとはカキノキ科のアフリカンエボニーを指すという資料もあります。
稀にブラジリアンローズウッドに対してもパリサンダーと言うことがあるようですが、一般的にはイーストインディアンローズウッドのことを指すでしょう。ちなみにリオグランデパリサンダーと言う樹木もありますが、これは上にも挙げましたモラドのことで、パリサンダーとは別物です。
白ジャカランダとは、白太(辺材)の部分が多いブラジリアンローズウッドの若木のことです。

 

Techigaishitan_2

*5:テチガイシタン・・・材色は変化に富み、ホンシタンより色は淡い。
シタンは古くから利用されているものの、その実態はあまりはっきりされていないようです。テチガイシタンについても、その正体について諸説あるとのことで、上でテチガイシタンに指定した樹種は、「そう言われている」程度でしょうか。
テチガイシタンのことを、ミャンマーではマタラン、ラオスではカンピと呼ぶという資料もありました。wikiの記事、もしくはその流用のものしか確認できず、詳細は不明です。

 

 

 

 

 

Cocobolo3

*6:ココボロ・・・色調は赤、黄、オレンジ、黒などを含み、明るめ。

 

 

 

 

 

 

 

 

Honduran_rosewood

*7:ホンジュラスローズウッド・・・桃褐色から紫色で、ブラジリアンローズウッドより明るいブラウンの色目。ホンジュラスローズウッドは古くからマリンバに使われているようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

African_blackwood2

*8:アフリカンブラックウッド・・・色味はコクタンに似ている。クラリネット用材として知られているのはこのアフリカンブラックウッドです。

 

 

 

 

 

 

 

 

Madagascar_rosewood

*9:マダガスカルローズウッド・・・ココボロとアマゾンローズウッドの中間の性質。マダガスカルローズウッドは、ブラジリアンローズウッドをマダガスカル島に移植して育てた木とも言われているようです。起源はそうなのでしょうが、この二つは学名も異なるように、生育地域や気候の違いから現在では別種と考えて良いと思います。
ボアデローズ(Bois de rose)と呼ばれ海外で流通しているDalbergia maritima や日本国内でパリサンダーの名前で流通しているDalbergia greveana の2種もマダガスカルローズウッドと呼ばれるらしいですが、詳細は不明です。

 

 

 

 

 

Amazon_rosewood

*10:アマゾンローズウッド・・・若干色に赤味がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

Bombay_rosewood

*11:ボンベイローズウッド・・・黄褐色から暗褐色。少し赤味がある以外はイーストインディアンローズウッドに似ている。インド産のせいかボンベイローズウッドもインディアンローズウッドと呼ばれるようです。