名称・・・黒檀(Ebony)
その他呼び名・・・
エボニー、カマゴン、烏文木(ウブンボク)、烏木(ウボク)、黒木(クロキ)、本黒檀(ホンコクタン)(真黒(マグロ)、ブラックエボニー)、縞黒檀(シマコクタン)(マッカサル、ゼブラウッド(*1)、マッカーサーエボニー)、青黒檀(アオコクタン)、斑入黒檀(フイリコクタン)(*2)
科目・・・カキノキ科カキノキ(Diospyros)属・常緑広葉樹・散孔材・合弁花類(被子植物)
学名・・・
Diospyros spp.
Diospyros philippensis Gurke、
Diospyros ebenum、
Diospyros discolor、
Diospyros montana、
Diospyros rumphii、
Diospyros mollis、
Diospyros marmorata、
Diospyros celebica などを含む
産地・・・インドネシア(スラウェシ島)を中心にタイ、ミャンマー、スリランカ、ヒマラヤ、ニューギニアなどの東南アジア全域に生育。またアフリカの一部にも分布。
色調・・・心材は黒色。もしくは、黒色と淡赤色や褐色、桃色、黄褐色の帯が交互に配列して縞目を有する。辺材は淡い赤色、灰白色。
性質・・・木理:通直(不規則なこともある)、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:超硬、腐食耐久性(耐朽性):強、磨耗耐久性:強
気乾比重:0.85~1.09
平均収縮率%(柾目方向):0.19
平均収縮率%(板目方向):0.32
曲げ強度MPa:125~161
圧縮強度MPa:56~62*
せん断強度MPa:15.8~17.6*
曲げヤング係数GPa:13.5~20.2
加工性・・・鋸挽(ノコビキ):困難、鉋掛(カンナガケ):困難、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:超困難、塗装性:注意
用途・・・造作材、家具
床柱、床材、唐木細工、仏壇、床柱、象嵌(ぞうがん)材、楽器材、工芸品、彫刻、合板の化粧表板、ゴルフのクラブヘッド
価格・・・☆☆☆☆☆
メーカー・・・
一般流通サイズ・・・
その他・・・
唐木(からき)の代表的な一種(*3)。年輪ははっきりしない。油が多く、磨けば磨くほど金属のような光沢がでる。斑の模様不明瞭。割れやすい為、釘止めは無理である。色調により、本黒檀、縞黒檀、青黒檀、斑入黒檀に大別される。本黒檀とは、全体が真っ黒なものを言い、真黒(マグロ)とも称する。主にDiospyros ebenumのような樹種から採取される。また、縞黒檀とは、黒色と紅褐色または灰褐色の縞杢を有したものを言い、模様の出方によっては非常に派手な感じになる。主にDiospyros discolor やDiospyros rumphii から採れる。青黒檀とは、青緑色を帯びた黒色のものを言い、光沢は少なく最も重硬。主にDiospyros mollis から採れる。斑入黒檀とは、黒色と黄褐色で美しい斑模様をつくったものを言い、最も高価。Diospyros marmorata が代表的なものとされ、Diospyros celebica も同様の材面をもつ。インドのスリランカ島から出る真黒材は、微かな縞模様があり色が多少紫がかっていて美しく、床柱の最高級品とされる。あまり青味が強くなると青黒檀と呼ばれランクが下がる(*4)。品格のランクは、微かに縞の出るインド産の板目のそろった床柱を主席とし、縞黒檀は少し行形式がかかった物として次席と考えられる。柾目柱の採れる大物はあまり無く、成長が遅い木の為、乱伐され良材が枯渇してきている。最近は南に産地が下がり、インドネシアのスラウェシ(旧セレベス)島の中部からの出材が多くなっているが、黒色の薄い物が多く、縞物が主体で縞の色は薄く縞幅も疎になり品格に欠ける。ただ、最近は縞がある方がよく好まれて装飾的な用途に用いられているようである。属名の「Diospyros(ディオスピロス)」は「神(dios)」+「穀物(pyros)」で「神の食べ物」を意味している。柿の仲間からの木であり、果実は美味で食用となるものがあるが、なかには有毒なものもある。
備考・・・
万年筆の軸や、ボーリングの球などに使われる硬質ゴムのエボナイトは、外観がコクタン(エボニー)に似ていることからエボナイトと名付けられたそうです。
*1:ゼブラウッドというと、アフリカ産でマメ科のゼブラノなど、別種類を指すこともあります。
*2:その他、アラン、カユマラム、ボルネオエボニー(ボルネオコクタン)、バヒアローズウッド、リオローズウッドなどと呼ぶことがあるようですが、1つの資料でしか確認できませんでした。詳細は不明です。
*3:唐木には、他にシタンやタガヤサン、カリンなどがあります。
*4:『コクタンの中で、最も高級なのが青黒檀』という話もあります。青黒檀はコクタンの中では最も重硬で緻密ですが、光沢に乏しく、青緑がかって見えるが故にコクタンとしては上質なものには扱われない。というのが一般的みたいですけど。