ツガ

Tsuga2

 

名称・・・栂(Japanese hemlock)

その他呼び名・・・

トガ、本栂(ホンツガ)、ツガマツ(トガマツ)

科目・・・マツ科ツガ(Tsuga)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Tsuga sieboldii Carr.

産地・・・本州南部から四国、九州を経て屋久島まで分布。北限は福島県八溝山周辺。特に高知県、和歌山県方面から天然の良質材が産出される。

色調・・・心材は淡褐色、淡黄色。辺材は淡色、帯褐色白色、淡黄色。

性質・・・木理:おおむね通直、辺心材の境目:(明瞭~)不明瞭、肌目:粗、硬さ:中~硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.45~0.50(平均値)~0.60

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.30

曲げ強度MPa:74

圧縮強度MPa:44

せん断強度MPa:8.8

曲げヤング係数GPa:7.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易(*1)、鉋掛(カンナガケ):容易(*1)、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易~やや困難、塗装性:高

用途・・・構造材、造作材

柱、土台、長押、鴨居、敷居、器具材、梱包材、パルプ材、車両、枕木

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

近年は伐採もわずかな為、木材として目に触れることは、非常に少ないと言える(*2)。近縁種の同属に日本産のコメツガ(Tsuga diversifolia )や北米産のカナダツガなどがある。関西地方ではツガの土台と柱で作った家屋は最高のものとして、高い評価を受けている。また、床の間廻りに関西で多用されている。樹皮から得られるタンニンは、漁網の染料にも用いられる。徳川時代の礼服として着用された裃(かみしも)の中に入れて使う腰板は信州産のツガ材に限ると言われていた。

 

【その他色調等】:光沢を持つ。斑の模様不明瞭。小口や柾目から見て、年輪が大変はっきりしている。天然のツガの成長は一般にゆっくりしているため、年輪の幅が狭く、製材品の材面はいわゆる糸柾になっている。年輪の濃い色の部分は夏に育った夏材部、白い部分が春に育った春材部といい、その変化はツガ属特有のもの。

【その他性質等】:木質は針葉樹の中では重硬。鼠にかじられる被害が少ない材質の為、土台や柱に賞用される。割裂性は大きい。狂いやすい。樹脂分成分が多く、脂条(やにすじ)も出やすい。

【その他加工等】:ツガを鉋(かんな)で削ると、材面に白い粉が筋状に見えることがある。かつてはこれを鉱物質の結晶のためとされてきたが、近年になってフロコソイドという有機物質であることがわかった。

【立木での性質等】:樹高30m、樹径1.0mの大木も稀ではない。幹はおよそまっすぐだが、先細りで多少曲がっていたりする。標高が400~1,600m位の乾燥した尾根筋や急斜面を好んで繁殖する。モミとの混生が普通で、ブナ、ミズナラなどの落葉広葉樹やヒノキ、カヤなどの針葉樹、カシ類などの常緑樹としばしば混生して現れる。雪の多い裏日本にはほとんどなく、表日本側に偏る。

 

*1:加工性にやや難があるとも言われます。針葉樹の中では硬い部類に入ることが理由でしょうか。
*2:ツガの名前で日本で良く使われているものは、正確には北米産のベイツガのことです。