イスノキ

Isunoki2

 

名称・・・柞の木、蚊母樹(*1)(Isu tree、Witch hazel)

その他呼び名・・・

イス、ユスノキ、ユス、ユシノキ、瓢の木(ヒョンノキ)、猿笛(サルブエ)、猿瓢(サルビョウ)

科目・・・マンサク科イスノキ(Distylium)属・常緑広葉樹・散孔材・離弁花類(被子植物)

学名・・・Distylium racemosum

産地・・・本州南部、四国、九州、沖縄。台湾、済州島、中国にも分布。特に鹿児島県が産地として有名。温暖な地に生育。

色調・・・心材は淡い紅褐色ないし紫褐色、暗褐色で、時に濃淡の縞が現れることがある。辺材は紅色を帯びた淡い黄褐色、暗褐色。

性質・・・木理:やや交錯、辺心材の境目:やや不明瞭~不明瞭、肌目:極緻密、硬さ:硬~超硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.75~0.90(平均値)~1.00

平均収縮率%(柾目方向):0.23

平均収縮率%(板目方向):0.43

曲げ強度MPa:127

圧縮強度MPa:64

せん断強度MPa:17.6

曲げヤング係数GPa:13.7

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):やや困難~困難、鉋掛(カンナガケ):やや困難~困難、釘打保持力:強、糊付接着性:やや不良、乾燥:困難、塗装性:高

用途・・・造作材、家具

床柱、床板、敷居、器具材、機械材、楽器材(三味線、琵琶の撥(ばち)など)、彫刻材、木刀、枕木、薪炭材、櫛、挽物(ひきもの)

価格・・・☆☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜

 

その他・・・

ツゲ、シタン、コクタンの模擬材にもなる。立ち木のまま枯らし、さらに長期間風雨にさらしたものを風蝕材といって、これを磨いて床回りに使われる(*2)。日向ではイスノキの皮を剥いで風蝕材としたもの、または埋れ木を「スヌケ」と呼び、高価な床柱として扱われる。主に庭木として栽培される。樹皮と葉の灰は「柞灰(いすばい)」といって、有田焼で釉薬(うわぐすり)を染付ける媒材に用いられる。

 

【その他色調等】:年輪はやや不明瞭。表面の仕上がりは良好。斑の模様不明瞭。

【その他性質等】:日本産で、最も重厚な材の一つ。割れにくい。

【立木での性質等】:樹高10~20m、樹径0.4~1.0m。自生樹では樹高25mの高木になるものも珍しくない。良材は国有林、神社・仏閣などの限られた場所にしかない。

 

*1:「蚊母樹」と書いて「イスノキ」と読むようです。「ぶんぼじゅ」と読むという話もありますが、どうなんでしょう?
*2:京都ではこれを舎利と呼ぶようです。