名称・・・赤松(Japanese red pine)
その他呼び名・・・
雌松(メマツ)、女松(オンナマツ)、日向松(ヒュウガマツ)(霧島松(キリシママツ)、霧島赤松(キリシマアカマツ))(*1)、南部松(ナンブマツ)、津島松(ツシママツ)、山陰松(サンインマツ)(*2)、脂松(ヤニマツ)(肥松(コエマツ))
科目・・・マツ科マツ(Pinus)属・常緑針葉樹・裸子植物
学名・・・Pinus densiflora
産地・・・本州北部から四国、九州に生育。朝鮮にも分布。一般に海辺から離れた地域に見られる。特に宮崎県(日向)、岩手県(南部)、福島県(津島)が産地として有名。
色調・・・心材は黄色を帯びた淡褐色、淡褐白色、多少赤味を帯びたようになっている。辺材は淡い黄白色、白褐色。
性質・・・木理:ほぼ通直、辺心材の境目:やや不明瞭~不明瞭、肌目:粗、硬さ:中庸~やや硬、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:強
気乾比重:0.53
平均収縮率%(柾目方向):0.18
平均収縮率%(板目方向):0.29
曲げ強度MPa:88
圧縮強度MPa:44
せん断強度MPa:9.3
曲げヤング係数GPa:11.3
加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:中、糊付接着性:良好~中、乾燥:良好~やや困難、塗装性:注意
用途・・・構造材、造作材、建具、合板
屋根小屋組の梁(丸太や太鼓払いの形で)、二階梁、根太掛、羽目板、土木材、船舶材、パルプ原料、坑木、経木(きょうぎ)、木毛、箱、床柱、枕木、杭木
価格・・・☆☆
メーカー・・・
一般流通サイズ・・・
その他・・・
日本産針葉樹の中では分布する範囲が最も広い。葉は二葉性で枝先に束生する。乾燥したやせた荒地や、他の樹種は枯れてしまったような二次林に良く育つタフな木。木材としての経済林だけでなく、防風林や土砂防止林として造林されている。ただアカマツは塩に弱い為、潮風の強い浜にはクロマツが植えられている。春から夏にかけて作られた細胞の形が大きく違っている為、木目は鮮明。木質は密。狂いはややあるが、水質に強い。松脂(マツヤニ)が通っている「やにすじ」という部分があり、乾燥が不十分だとこれが表に出て塗装ムラのようにたれてくることがある。細胞間道(樹脂道)を持つ。また大きな生節や脂壷(やにつぼ)もよくある。斑の模様不明瞭。樹高35m、樹径1.5mにもなる。樹皮は亀甲状にはげやすく赤褐色。クロマツより葉が細く柔らかい。アカマツはスギの様な装飾性が乏しく、また脂(ヤニ)がでる為、桧の様に肌との接触部分に使われることが少なく、建築材としての評価は低い方である。建築材の用途としては耐久性がある為、梁などの強度を要する構造材に使用される。ヤニの出ない良材は摩擦部に使うと良く滑る上に、耐久性がある為敷居や鴨居に好んで使われる。ただヤニを特に多く含んだ材は肥松(コエマツ)または脂松(ヤニマツ)と呼ばれ珍重される。コエマツは床の間の地板や飾り棚、座卓、茶道具などに加工され、磨きながら使い込むと飴色の美しい光沢がでる。松茸の取れる木としても有名。
備考・・・
アカマツというと、欧州やロシア産で同属のオウシュウアカマツを指す場合もあります。
*1:宮崎県日向地方に産する脂気の強いアカマツを、ヒュウガマツやキリシママツと呼びます。材色はやや赤味を帯び、杢目は緻密で柔らかい印象があり、主に床柱や造作材として用いられるようです。
*2:山陰地方(島根、鳥取)に生育するアカマツ、クロマツ、アイグロマツを総称して山陰松(サンインマツ)と言います。特に銘木として山陰松と呼ぶ場合はクロマツまたはアイグロマツを主体として、アカマツとは区別され最高級品とされるようです。