木材

日本各地、世界中から様々な木材が新木場に集まります。
わたしたちはこれらの木の特性を生かして、様々なプロダクトを創りだしています。
ここでは、さまざまな”木”の特徴や魅力をご紹介します。


ベイマツ

Beimatu

 

名称・・・米松(Douglas fir)

その他呼び名・・・

ダクラスファー、オレゴンパイン、ダグラススプルース、イエローファー、レッドファー、アメリカトガサワラ、ダグラスモミ、メリケンマツ、ピーラ(ベイマツの中でも特に年輪幅の狭い柾目材に対する呼び名)

科目・・・マツ科トガサワラ(Pseudotsuga)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Pseudotsuga menziesii

産地・・・北米大陸の西部。主にブリティッシュコロンビア(カナダ)、ワシントン、オレゴン、ロッキー山脈沿いにメキシコまで。

色調・・・心材は橙赤色から赤褐色、帯黄赤褐色、帯黄淡褐色。辺材は白から淡黄色、帯黄白色、淡桃色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:やや緻密~粗、硬さ:やや軟~やや硬(硬め中庸)、腐食耐久性(耐朽性):中~やや強、磨耗耐久性:強

気乾比重:0.48~0.55

平均収縮率%(柾目方向):0.14

平均収縮率%(板目方向):0.33

曲げ強度MPa:81

圧縮強度MPa:44

せん断強度MPa:8.8

曲げヤング係数GPa:11.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易~中、鉋掛(カンナガケ):容易~中、釘打保持力:強、糊付接着性:良好、乾燥:良好~やや困難、塗装性:注意

用途・・・構造材、造作材、建具、家具、合板

梁、桁、電柱、集成材、造船

価格・・・☆☆

無節材(2000x210x34㎜)65万/㎥(ピーラ)

メーカー・・・ティンバーウェスト、ポータック(Portac)

一般流通サイズ・・・梁:210x105x4000(KD#1\100,000/㎥)

梁:(120~300-30㎜間隔)x105x(3000、4000、5000)

105x45x(3000、4000)

90x45x(3000、4000)

 

その他・・・

ベイマツやダクラスファーという名前がついているが、マツ(Pine)やモミ(Fir)の仲間ではなくトガサワラの仲間。年輪幅が狭い大径木をピーラ(柾目材)と呼ぶ。世界中で上記の地域だけに生息している木で単一種。オレゴン州では古くから植林しているが、原生の木とは違った性質をしている。日本では病害のため、成林は困難とされる。日本の都市部の住宅用構造材のうち桁関係はほとんどこの米松が使われている。日本に輸入されている北米材のうち最近(2007年)では量が最も多くなっている。明治時代から輸入された記録があり、当時はメリケンマツと呼ばれていたようである。

 

【その他色調等】:年輪は鮮明。年輪の幅は一般にイエローファー(心材の橙赤色もの)は狭く、レッドファー(心材の赤褐色もの)は広い。年輪幅は均一。斑の模様不明瞭。木目は強くてきれいだが、時間が経つと黒ずんで汚くなる。

【その他性質等】:木質はやや軽軟(海岸地域産)なものと、やや重厚(山岳地域産)なものがある。軸方向細胞間道(樹脂道)があり、表面にヤニが滲み出てくることがある。イエローファー(年輪が狭く、比重が低い)。レッドファー(年輪幅が広く、比重が高い)。

【その他加工等】:樹脂成分が多いことにより、塗装障害を起こしやすい。表面にでるような用途に用いる場合には十分乾燥する必要あり。

【立木での性質等】:樹高80~100m、樹径2.5~4.0m。丘陵地に生育し殊に谷筋には巨木が群生。


ベイモミ

Beimomi

 

名称・・・米樅(Fir)

その他呼び名・・・

グランドファー(ローランドファー、ローランドシルバーファー、イエローファー(*1)、ウェスタンバルサムファー、アメリカオオモミ)、ホワイトファー(*2)(ホワイトモミ、コロラドホワイトファー、コロラドモミ、コンコロールモミ、シルバーファー(*3)、バスタードパイン、ホワイトバルサム、バルサムツリー)、ノーブルファー(レッドファー(*1)、ビッグトリー、フェザーコーンレッドファー)、パシフィックシルバーファー(ウツクシモミ、アメリカンホワイトウッド、カナダツガ、アマビリスファー)、バルサムファー、ウェスタンファー、イースタンファー、ファー、ヘム・ファー(ベイツガと一括して)

科目・・・マツ科モミ(Abies)属・針葉樹・裸子植物

学名・・・

Abies spp.

Abies grandis(グランドファー)、

Abies concolor(ホワイトファー)、

Abies procera(ノーブルファー)、

Abies amabilis(パシフィックシルバーファー)、

Abies balsamea(バルサムファー)などを含む

産地・・・北米大陸に自生。西部の山岳地帯に多い。

色調・・・心材、辺材共に白から淡い黄白色、ないし淡褐色。白クリーム色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:不明瞭、肌目:粗、硬さ:軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.37~0.53

平均収縮率%(柾目方向):0.13

平均収縮率%(板目方向):0.24

曲げ強度MPa:60

圧縮強度MPa:30

せん断強度MPa:7.4

曲げヤング係数GPa:9.3

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:中、糊付接着性:良好、乾燥:容易、塗装性:中

用途・・・構造材、下地材、造作材、建具

木箱、木枠、器具材、パルプ用、土木用材、蒲鉾の板

価格・・・☆

無節材(2000x210x34㎜)40万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・平割:34㎜

 

その他・・・

ベイモミとは、グランドファー、ホワイトファー、ノーブルファー、パシフィックシルバーファー、バルサムファーなどの総称。カナダに4種、米国に7種が知られている。また、北米の西部で産出されたものをウェスタンファー、東部で産出されたものをイースタンファーと呼び分けることがある(*4)。日本のモミと良く似たFir属の木はワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州、西部モンタナ州、北部アイダホ州に生育し、これらFir属の樹木はWestern true firとも呼ばれる。ファー類モミ属は北半球の温帯地方に広く分布していて、涼しくて湿気の多いところによく生育するといわれている。ノーブルファーは樹高60~80m、樹径0.7~0.9m。大きいものは樹高100m、樹径1.3mに達する。材質的には日本のモミ類と同じと考えて良いが、ベイモミの方が長く大径の丸太が得られる為より良い品質の製品がとれる。年輪は鮮明で、年輪幅が均一。節が多い。斑の模様不鮮明。木材に臭いがない。耐朽性が低く、地面に接しての利用には適さない。日本にFirだけのロットで輸入されることは殆どなく、Hem-Fir(ヘム・ファー)といってベイツガと一括して取り扱われて輸入されることが多い。また日本に輸入されるのは主にウェスタンファーである。横断面を比較してみると、ベイモミはどちらかというと黄色を帯びている為、より褐色を帯びているベイツガと区別することができる。

 

備考・・・

ベイモミというと、狭義にはノーブルファーのみを指すこともあるようです。

 

*1:イエローファーやレッドファーというと、一般的にはベイマツのほうを指す事が多いと思います。
*2:ホワイトファーというと、Abies concolorの1種類を指す場合のほか、グランドファーやノーブルファー、バルサムファーを含めてそう呼ぶ場合もあるようです。
*3:シルバーファーというと、ヨーロッパ産のモミ属でオウシュウモミ(Abies alba)やミヤマモミ(Abies pectinata)などもそう呼ぶようです
*4:おもに西部はノーブルファー、パシフィックシルバーファー、ホワイトファー、グランドファーが多く、東部はバルサムファーが多いようです。


ベニマツ

Benimatsu2

 

名称・・・紅松(Korean pine、Kedr)

その他呼び名・・・

朝鮮松(チョウセンマツ)、朝鮮五葉(チョウセンゴヨウ)、朝鮮五葉松(チョウセンゴヨウマツ)、ホンスン、ケードル(ロシアでの呼び名)

科目・・・マツ科マツ(Pinus)属・常緑針葉樹・裸子植物

学名・・・Pinus koraiensis Sieb. et Zucc.

産地・・・極東シベリア、朝鮮、中国黒龍江省沿岸地域。日本では栃木、群馬、長野、岩手など本州中部の亜高山地帯。

色調・・・心材は淡黄褐色ないし淡紅色、淡黄赤色、淡黄薄褐色。辺材は黄白色、淡黄白色、白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:緻密、硬さ:軟~中庸、腐食耐久性(耐朽性):弱~中、磨耗耐久性:弱

気乾比重:0.34~0.41(平均値)~0.51

平均収縮率%(柾目方向):0.17

平均収縮率%(板目方向):0.36

曲げ強度MPa:67

圧縮強度MPa:33

せん断強度MPa:8.3

曲げヤング係数GPa:8.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):容易、鉋掛(カンナガケ):容易、釘打保持力:強、糊付接着性:良好~中、乾燥:容易、塗装性:中

用途・・・下地材、造作材、建具

敷居・鴨居、鋳物用の木型、彫刻用材、器具

価格・・・☆

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・サンギ:48x24x4000(一等\65,000/㎥)

 

その他・・・

日本にも分布しているが、市場で取り扱われているものはロシア産のベニマツが主ある。マツ類を硬松と軟松に分けるときにはベニマツは軟松のグループに入れられる。ロシア材では最も有用な樹種として高い評価である。しかしこの樹種は幹の中心部が菌の害を受け易くほとんどといって良い程丸太は空洞になっている為、木材として利用する場合は外側の部分が使われる。2007年現在、製材品に挽かれて輸入されるケースが多くなった。朝鮮では食用のため種子の採取を目的とした林業がある。

 

【その他色調等】: 年輪幅の狭いものが多い。斑の模様不明瞭。

【その他性質等】: 材の狂いは少ない。割れやすいので注意。材種はヒメコマツと同じで若干比重が重く全体的に粘っこい感じがある。軸方向細胞間道(樹脂道)がありそこから滲み出るヤニで材面が汚くなっていることが普通。硬松類に比較すると年輪の中の細胞の形の違いが少なく、そのため年輪はずっと見分けにくくなり木材は軽軟。寸度の安定性があるため古くから木型用材として使われる木材の代表的なものの一つになっている。

【立木での性質等】:山地に生え、樹高35m、樹径1.5mの大木になる事も珍しくない。


ペルポック

Perupokku2

 

名称・・・ペルポック(Perupok)

その他呼び名・・・

ロフォペタルム、チロ、プルプウレペック、ソンサルン

科目・・・ニシキギ科ロフォペタルム(Lophopetalum)属・広葉樹・{散孔材/環孔材/放射孔材・被子植物

学名・・・

Lophopetalum spp.
Lophopetalum javanicumなどを含む

産地・・・パプアニューギニア、インドネシア、マレーシア、インド、インドシナなど

性質・・・木理:通直~やや交錯、辺心材の境目:不明瞭、肌目:やや緻密、硬さ:軟~やや軟~(硬)、腐食耐久性(耐朽性):弱、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.34~0.64

平均収縮率%(柾目方向):0.13

平均収縮率%(板目方向):0.22

曲げ強度MPa:59

圧縮強度MPa:39

せん断強度MPa:-

曲げヤング係数GPa:8.0

加工性・・・鋸挽:容易~中、鉋掛:容易、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:中、乾燥:容易~中、塗装性:中

用途・・・造作材、家具、合板

額縁材、天井板、梱包材、脚物家具、引出しの側板、集成材、木製小物

価格・・・☆

無節材(2000x210x34㎜)45万/㎥

メーカー・・・

一般流通サイズ・・平割:36㎜

 

その他・・・

釘打や乾燥の際に割裂しやすい。幅の広い同心円状の柔組織帯をもち、これを年輪に間違えることがある。また、板目面には杉などの針葉樹の板目面に似た年輪様の模様が現れる。ボルネオからの木材が日本市場に目立つようになった頃から、少量だが一定して輸入されている。生木には独特の芳香がある。表面の仕上りは良好。ラミンの代用として用いられている。

 

備考・・・

環孔材に近い散孔材なのでしょうか?明記した資料が見つかりませんでした。強度もせん断強度だけ何故か不明です。


ホクヨウカラマツ

Hokuyoukaramatu2

 

名称・・・北洋唐松(Listvennitsa)

その他呼び名・・・

ラーチ(ラーチウッド)、グイマツ、ダフリカ(ダフリカ唐松)、シベリア唐松、ソ連唐松、リストベンニッツア(ロシアでの呼び名)

科目・・・マツ科カラマツ(Larix)属・落葉針葉樹・裸子植物

学名・・・Larix gmelinii、Larix dahurica

産地・・・シベリア大陸、樺太、千島、サハリン、沿海州、中国など。

色調・・・心材はやや黄色を帯びた赤褐色、褐色、黄褐色~紅色を帯びた黄褐色。辺材は黄白色、淡黄白色。

性質・・・木理:通直、辺心材の境目:明瞭、肌目:粗、硬さ:硬、腐食耐久性(耐朽性):中~強、磨耗耐久性:{弱/中/強

気乾比重:0.51~0.68

平均収縮率%(柾目方向):0.19

平均収縮率%(板目方向):0.37

曲げ強度MPa:100

圧縮強度MPa:45

せん断強度MPa:12.7

曲げヤング係数GPa:11.8

加工性・・・鋸挽(ノコビキ):中~やや困難、鉋掛(カンナガケ):中~やや困難、釘打保持力:{弱/強、糊付接着性:中、乾燥:容易(注意要)、塗装性:注意

用途・・・構造材、合板

梁、土台、電柱、枕木、パルプ用、仮設、土木、杭、橋梁、船舶

価格・・・☆(*1)

メーカー・・・

一般流通サイズ・・・

 

その他・・・

針葉樹の中では最も硬く強い。人工造林の日本のカラマツと比べて、年輪幅は一般に狭い。乾燥はかなり早いが、狂いが生じやすい。樹脂分が多いため耐水性が強く腐りにくい。日本のカラマツに比べてやや黄色が強い。軸方向細胞間道(樹脂道)があり、材面にヤニが滲み出てくる。生育環境が厳しいためか、日本のカラマツに比べて、やに壷、入皮、もめなどの欠点が多く出る。これらの欠点のためか、あるいは年輪幅が極端に狭いことが多いためか、木材が脆くなっていて使用中に破損する例がある。人工造林のカラマツと比べ、狂いは少ないとされる。材面の美しさを必要としない用途が主。北海道で小規模ながら造林が試みられたことがある。

 

備考・・・

ラーチの名前で合板として良く流通しています。

 

*1:無節材とかで流通しているのか不明です。需要がないような気がします。